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メルセデス・ベンツの少量限定ブランド「ミトス」第一号、AMGピュアスピード発表。限定250台、F1、ル・マン、タルガ・フローリオ、ミッレミリアなどの歴史が凝縮される

メルセデス・ベンツの少量限定ブランド「ミトス」第一号、AMGピュアスピード発表。限定250台、F1、ル・マン、タルガ・フローリオ、ミッレミリアなどの歴史が凝縮される
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| コンセプト メルセデスAMG ピュアスピードは「欲張り」な一台であり、車両のあらゆる部分に同社のモータースポーツの歴史を見出すことができる |

もちろんすべての車両には「買い手」がついていると考えて良さそうだ

さて、メルセデス・ベンツがウワサされていた「ミトス」シリーズ第一弾のプレビューとして、「コンセプト メルセデスAMG ピュアスピード」を発表。

限定台数は250台(けっこう多い)、そしてそのルックスは伝統よりも革新を思わせるもので、事前に伝えられていた「1960年代のメルセデス・ベンツのレーシングカーをイメージしたクラシカルなルックスを持ち、コレクター向けとして非常に限られた数のみが販売される」という内容とは乖離があるものの、これはこれでかなりカッコいいんじゃないか、と考えています。

なお、現段階では「コンセプト」という名称が与えられていて、よって市販モデルにはなんらかの変更が加えられる可能性もありますが、ドアミラー含む各部の仕様を見るに「非常に現実的」であり、「ほぼ」この姿で発売されるのではないかと考えています。

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コンセプト メルセデスAMG ピュアスピードはモナコにて発表

このコンセプト メルセデスAMG ピュアスピードは、F1モナコ グランプリの開催に合わせてモナコ(会場に設置した特別会場)にて発表されており、メルセデスAMG ペトロナスF1チームのレーシングドライバー、ルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルもプレゼンテーションに参加したのだそう。

なお、このクルマはルーフやフロントグラスを持たない”スピードスター”に属しますが、F1マシンに採用される「ハロ(HALO)」風のバーが装着されており、ここを見ても「過去のクラシカルなレーシングカー」よりは「近代のF1マシン」をイメージしたということがわかります。

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コンセプト メルセデスAMG ピュアスピードはこんなクルマ

コンセプト メルセデスAMG ピュアスピードにつき、メルセデス・ベンツのGクラス/マイバッハ部門責任者、ミハエル・シーベ氏いわく「エキサイティングで、エネルギーを与え、息を呑むような」「パフォーマンスとドライビングプレジャーを体験する最も直接的な方法を提供する」スポーツカー。

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乗員を風雨から隔てるものは何もなく、濾過されていない光、空気、情熱をすべての感覚で体験でき、純粋で妥協のないレースカー直結のデザイン、革新的な素材、最新のテクノロジーが用いられており、入手できるのは「最も熱心なメルセデスベンツ愛好家とコレクター250人のみ」と説明されています。

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ハイライトの1つは、従来の車両でのAピラーを置き換えるハロシステムで、もちろんこれはモータースポーツの最高クラス(つまりF1)から直接派生したものであり、2018年以降のF1マシンに装着が義務付けられている構造。

コンセプト メルセデスAMG ピュアスピードにおいても、F1マシン同様に車体に接続されたブラケットによって固定され、もちろんF1マシン同様の保護性能を発揮します(フロントガラスがないスピードスターだと、多くの国では合法に登録ができないが、このハロはその対策であり、これによって法規を満たせるのかもしれない)。

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このハロは空気力学的に最適化された設計を持ち、さらにコンセプト メルセデスAMG ピュアスピード用に特別に設計、製造された”エアロダイナミクス効果に優れる”2つのヘルメットも付属するそうですが、このコンセプトカーでは独自のカラーリングや装備、さらにダッシュボード上に備わるIWCシャフハウゼンによるカスタムクロックといった特徴も。

なお、メルセデスAMGはIWCシャフハウゼンとパートナーシップ関係にあることからこのクロックが実現したのだと思われますが、ミッレミリアを走ったレーシングカーに装着されていたような「ダッシュボード上のストップウォッチ」ではないところもちょっと意外です。

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コンセプト メルセデスAMG ピュアスピードの(デザイン上の)インスピレーションはメルセデスAMG Oneから得たといい、たしかにノーズや各部ウイングレット、そして発表時の「前後でフェードするカラーリング手法」などはAMG Oneを連想させるところ。

車体上部はメルセデス・ベンツのデザイン言語でもあるセンシュアル・ピュアリティ(可能的純粋)を体現すべく”なめらかで丸みをおびた”形状を持ち、一方で車体下部はシャープかつテクノロジーを連想させる構造を持ち、これらが視覚上のコントラストを織りなしています。

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全体的なスタイリングとしては、メルセデス・ベンツが好むロングノーズ、そして新しく解釈された「シャークノーズ」が用いられ、フロントには(サイズの大きな)ダーククロームメッキ仕様のメルセデス”スリーポインテッドスター”。

フロントフードにはエアアウトレットが追加され(反面、パワードームは控えめである)、コクピット前方には小さなデフレクターが装着されています。

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ホイールは「スター」形状、そしてエアロダイナミクス性能向上を目的としたカーボンファイバー製カバーが装着され、これはブレーキの冷却とダウンフォース獲得のためのエアフロー最適化に貢献するのだそう。

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コンセプト メルセデスAMG ピュアスピードには(最新の要素のほか)過去へのオマージュも見られ、 シート後方にある2つのフライングバットレスは、スターリング・モスとデニス・ジェンキンソンが1955年にイタリアで開催されたミッレミリアにてドライブした300SLRを連想させる造形です(この公道レースにおいて、時速157kmという驚異的な平均速度を記録して優勝した )。

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ちなみにこのボディカラーは「ル・マン・レッド」、車体後方はグラファイト・グレー(その間にはストロボ風のAMGパターンが入る)だと紹介されており、これは1924年にシチリア島で開催されたタルガ・フローリオ・レースで優勝したメルセデス・ベンツのレーシングカーから着想を得たもの。

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当時のレーシングカーはナショナルカラーにペイントされることが一般的で、しかしこの際の(メルセデスの)レーシングカーはイタリア車のようなレッドにペイントされていたそうですが、その理由は「イタリアの地元ファンが、(イタリア勢を優位に立たせるため)イタリア車以外の走行の邪魔をすることがあった」からで、メルセデス・ベンツはこれを避けるため、車体をレッドに塗って「イタリア車のように」見せかけたとされています。

実際のところメルセデス・ベンツのこの試みは見事成功し、クリスチャン・ヴェルナーがステアリングホイールを握るメルセデス製2リッターレースカーは 6時間32分37.4時間、レース距離432キロを経てチェッカーフラッグを受けることとなったわけですね。

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そしてこの「10」というのはその際のレーシングカーが掲げていたナンバーでもあり、メルセデス・ベンツはここにも「過去の歴史へのオマージュ」を体現していることになりますが、この「ミトス第一号」につき、ミッレミリア、タルガ・フローリオ、F1、そしてル・マン(ボディカラー)など、メルセデス・ベンツが関わってきた様々なモータースポーツの凝縮と言えるクルマに仕上がっているように思います(ただしル・マン24時間レースではいい記憶がないはずだ)。

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参照:Mercedes-Benz

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