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ポルシェ「航続距離と軽量化との二択というのなら、我々は間違いなく軽量化を選びます」。電動化された次期718は軽量化を最優先し走行可能距離が削られる可能性も

2023/10/20

ポルシェ

| 現在の技術の範囲であれば、バッテリーサイズを縮小する以外の選択肢はないであろう |

ただしいずれはポルシェも「軽量なEV」を作ることができるようになるものと思われる

さて、ポルシェは718ボクスター/ケイマンの後継モデルを「ピュアエレクトリックカー」として開発していますが、その次期718につき、(ポルシェによれば)満充電あたりの航続距離よりも「軽量性」を優先させる、とのこと。

これはポルシェにて911と718つまりスポーツカーラインアップを担当するフランク・モーザー氏がカーメディアに対して語ったものだとして報じられており、「航続距離と軽量性との二択であれば、我々は後者を選ぶでしょう。我々は航続距離のチャンピオンになりたいわけではないですし、そもそも718はミュンヘンからハンブルクまで(およそ900km)をノンストップで走ろうというクルマではありません。適切な航続距離を持たせることにはなりますが、もっとも重要なのは”スポーツカー”と言えるレベルにまで重量を抑えることです」といった見解が紹介されています。

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現時点では718ボクスター/ケイマン後継モデルのスペックは謎である

なお、この718ケイマン/ボクスター後継モデルについて、過去には何度かスパイショットが公開されているものの、そのスペックはナゾのまま。

つまりは加速性能、最高速はもちろん、航続距離や車体重量、さらには車体構造すらわかっておらず、そのスペックが「想像を超える」のか「ガッカリ」なのかも不明です。

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参考までに、現在ポルシェ唯一のEVであるタイカンには79.2kWh~93.4kWhサイズのバッテリーが積まれており、その車体重量は約2,000kg~2,300kg。

つまりは非常に重いクルマとなっていますが、その重量の多くを占めるのはバッテリーだとされていて、しかしそれでもテスラ・モデルSに比較すると「それほど長いとは言えない」航続距離にとどまります。

Porsche-Boxster-EV (2)

よって、電動化された新型718ケイマン/ボクスターを軽量化するのであれば、相当にそのバッテリーサイズを縮小する必要があり、つまるところ航続距離が大きな犠牲となるのかも。

ただ、そこでひとつの希望なるのが「シリコンバッテリー」で、これはエネルギー密度が現行の(一般的な)バッテリーに比較して20%ほど高いといい、つまりは同じ容量(重量)のバッテリーであれば20%多く走ることができ、同じ走行距離で良いのであれば20%軽くなるという可能性を示唆しています(実際にはそう単純な計算ではないけれど)。

ポルシェ
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そしてフランク・モーザー氏は(幸いなことに)「2トンも重量がある2ドアのスポーツカーを作るつもりはありません」ともコメントし、続けて「我々のスポーツカーの伝統は”軽い”ということです。つまりは重量を抑えるということにいつも主眼を置いており、しかし同時に衝突安全基準や歩行者保護など様々な規制を満たす必要も出てきます。そうやってクルマはどんどん重くなってゆくのですが、軽いクルマを作ることは本当に難しいのです」。

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なお、ポルシェはこの「重量」を1つの大きな理由として911の電動化を避けており、先日は「ミッションX」の実現はバッテリーの重量問題によってまだまだ先になる、とも。

こういった事実を考慮すると、2024年に発表されるであろう新型718ボクスター/ケイマンにはブレイクスルー的技術が採用される可能性は低く、よって既存技術の範囲内で対応するとなると、やはり犠牲となるのは航続距離なのかもしれません。

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実際のところ、2,000馬力を誇り、数々の加速記録を持つリマック・ネヴェーラですら、その重量(約2,300kg)に起因してニュルブルクリンクにて”7分を切ることはできず”、ポルシェとしてはこういった事態を避けたいのだと思われ、「電動化のための電動化」ではなく、「ガソリン車ではできないことをしたり、到達できない領域に行くために電動化を行わなければ意味がない」と考えているのでしょうね。

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ただ、「軽いEV」が皆無なわけではなく、ケータハムはなんと1,190kgという驚異的な軽さを誇るプロジェクトVを発表していますし、ポルシェの軽量化への情熱と経験を持ってすれば、これに近い、もしくは超えることが可能な軽量性を持つスポーツカーを作ることが可能となるのかもしれません。

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参照:The Drive

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