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ケータハム「プロジェクトV」正式発表。286馬力を発生するピュアEV、しかし伝統の軽量哲学を貫き車体重量はGR86よりも軽い1,190kgに。なお価格は1230万円

ケータハム「プロジェクトV」正式発表。286馬力を発生するピュアEV、しかし伝統の軽量哲学を貫き車体重量はGR86よりも軽い1,190kgに。なお価格は1230万円

| プロジェクトVはその構造、レイアウトを見るだけでも「ケータハムが何を目指し、どこにこだわったか」が手に取るようにわかるクルマ |

おそらく大規模自動車メーカーではここまで割り切ったクルマを作ることは難しいだろう

さて、先日より「新型ピュアエレクトリックスポーツカーを発表する」としていたケータハム。

ティーザー画像からは「ケータハムらしからぬクーペボディ、先進的なスタイリング」を持つであろうことを見て取ることができましたが、ついにケータハムがそのニューモデル「プロジェクトV」の詳細について公式に情報を公開することに。

ここでこの「プロジェクトV」の内容を見てみましょう。

ケータハム「プロジェクトV」はこんなクルマ

ケータハムというブランドそのものの最大の特徴は「軽量、シンプル」、そしてそこから生み出されるドライビングダイナミクスとドライビングプレジャーということになるかと思いますが、このプロジェクトVにおいても軽量哲学が貫かれ、さらには「日常性」もプラスされているのが特筆すべき点。

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ケータハムによれば「俊敏性」についても重きが置かれ、まずスペックから見てみると、車体重量1,190kg、0-100km/h加速4.5秒以下、バッテリー容量55kWh、一回の満充電あたり航続距離400km(WLTP)、最高速は230km/hといった数字がアナウンスされています。※150kWのDC急速充電器を使用した場合、20%から80%までの充電時間はわずか15分

参考までに、先日発表された(英国の軽量スポーツカーを意識した)国産EVスポーツ、エイムEVスポーツ01の重量が1,425kgであることを考慮すると、このプロジェクトVがいかに軽いかということもわかりますね。※ただしエイムEVスポーツはバッテリー容量が大きくデュアルモーターセットアップを採用している

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そこでプロジェクトVの構造を見てみると、バッテリーパックをフロア前後に分散させることでシートポジションを下げており、この構造は「チェスト型」バッテリー搭載方法を採用することになるロータス、そしてポルシェとは異なる手法です。※こちらのほうが重心を下げることが可能となる

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そしてこのシャシーはカーボン製モノコックと組み合わせられ・・・。

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上から見るとこう。

エレクトリックモーター(286馬力)はリアに搭載され、重量物が車体中央に集中していることがわかりますね。

なお、車体サイズは全長4,255ミリ、全幅1,893ミリ、全高1,226ミリ(この数字がドアミラー込みだと考えた場合、アルピーヌA110に近い数字である)。

GR86にも近いサイジングを持ち、しかし(EVにもかかわらず)GR86よりも軽いということには軽い驚きを覚えます。

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ケータハムはプロジェクトVについてこう語る

ケータハム・カーズ社のCEO、ボブ・レイシュリー氏はこのプロジェクトVについて、「どのような形やサイズ、そしてEVであろうとも、ケータハムであるかぎり、私たちが他と一線を画している点、すなわち軽量でシンプルであること、そして比類のないドライビング・エクスペリエンスを提供することに忠実でなければなりません」とコメント。

一方でプロジェクトVのチーフ・デザイナーであるアンソニー・ジャナレリー氏(ライカン・ハイパースポーツのデザイナーとしても知られる)は、「軽さを維持し、ドライバーの関与を最適化するためには、あらゆる機能につき、重量の観点から正当化してゆく必要があります」と語っており、つまりこのプロジェクトVは「軽さ最優先」で様々なことが決められたと考えていいのかもしれません。

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スタイリングを見てみると、オーバル型のヘッドライト、(おそらくはケータハムの伝統を意識した)グリルエリアに低いフロントフードを持っていますが、このフロントフードはクラムシェルを採用したためにすっきりしたデザインを持っています。

一方でフロントアンダーにはアグレッシブなウイングレットが与えられ、そのポテンシャルをアピールしているかのようですね。

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サイドは大きく絞られ、クラシカルなスポーツカーやレーシングカーのように丸みを帯びた断面を持ち、その下には整流効果を期待したであろうウイングも。

なお、ホイールはフロントが19インチ、リアが20インチ、装着されるタイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4S。

サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式を採用し、電動式パワーステアリングを取り入れることで「ノーマル、スポーツ、スプリント」という走行モードに応じ、ステアリングとサスペンション、そして加速特性を変化させることができるとアナウンスされています。

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ルーフからリアにかけてのラインは非常に美しく、そして前後フェンダーは「筋肉質」。

あらゆる面においてシンプルなデザインが貫かれており、ミニマルな美しさを持っていると思います。

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なお、現在8万ユーロ(現在の為替レートにて1230万円くらい)以下での発売を目指して開発が継続されているそうですが、ドアミラー含む細部を見ても「このまま生産が可能だと思われる」要素を持つため、市販モデルが「こんなはずじゃなかった・・・」という事態にはまずならなんじゃないかと考えています(プロジェクトVは2025年後半から2026年前半の発売予定)。

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レトロな要素に加え、未来そしてパフォーマンスを感じさせるデザインを持ち、なによりも軽さ、そして強靭さ(さらにはこれまでのケータハムにはなかった日常性)を持ち合わせていると考えてよく、「ケータハムがエレクトリックスポーツクーペを発売したところで、他社との差別化は難しいだろう」と考えていたぼくの事前予想をアッサリと(もちろんいい意味で)裏切ってくれたクルマでもあり、市場投入が待ち遠しいクルマがまた一台増えた、という印象です。

ケータハム・プロジェクトVのインテリアはこうなっている

そしてこちらはケータハム・プロジェクトVのインテリアですが、(非常に)珍しい2+1シートレイアウトが採用され、ケータハムによれば、キャビンの柔軟性を向上させるとともに、後席乗員の快適性を高めている、とのこと(オーソドックスな2+2レイアウトもオプションで用意されている)。

ダッシュボードのデザインは、センタータッチスクリーンとデジタルメーターを持つにもかかわらずレトロな雰囲気が満載となっていて、「3連メーター」「トグルスイッチ」などクラシカルなスポーツカーが持つ昔ながらの要素を再現しています。

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そして左右シートの接近度合いから見ても、このプロジェクトVが「可能な限り重量物を車体中央に寄せようとしていること」がわかり、かつバッテリーの配置等から判断するに、明確なプライオリティのもとに設計され、そこに妥協がないということも判断できます。

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こちらが「センター」リアシート。

内装にシートを組み込むという離れ業を見せていますが、こういった部分からも「一つのパーツで複数の機能を兼ねる」「それによって軽量化を実現する」という哲学を感じ取ることが可能です(セブンを通じてロータスから受け継いだ基本思想だとも考えられる)。

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なお、ボブ・レイシュリーCEOいわく「プロジェクトVはセブンの代わりではなく、セブンを補完するものであり、ケータハムの核となる価値を維持することで、既存の顧客層にアピールし、さらに新しいファンをブランドに引きつけることができると信じています」。

つまりはセブンも生き残るという事実もここで判明しており、ケータハムはラインアップの拡大によって成長を図るということになりそうですね。

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参照:Caterham

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