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ポルシェが「注入された燃料が合成燃料(Eフューエル)かどうかを簡単に判別するデバイス」を特許出願。これによってEUの定めた条件をクリアする”抜け穴”となるか

ポルシェが「注入された燃料が合成燃料(Eフューエル)かどうかを簡単に判別するデバイス」を特許出願。これによってEUの定めた条件をクリアする”抜け穴”となるか

| ポルシェは合成燃料に「スポーツカーの未来と可能性」を見出している |

しかし合成燃料に対する温度感は国や地域、自動車メーカー間でバラバラである

さて、現在まだ「あやふや」ではあるものの、今のところ欧州(EU)では2035年以降に内燃機関を搭載する新車の販売ができなくなる見込みであり、しかしこの規制の「例外(対象外)」が”合成燃料のみで走行可能なクルマ”。

つまり2035年以降であっても、合成燃料でしか走れない車両であれば「内燃機関」を積んでいても新車にて販売を行うことができ、ポルシェやランボルギーニ、ブガッティなど一部のハイパフォーマンスカーメーカーはここに一縷の望みを見出しています。

ただ、「合成燃料でか走行できない」というただし書きがちょっとした曲者で、つまりそのクルマはガソリンを燃焼させて走ってはならず、しかしこれは外部からの判別が困難なため、車両に「ガソリンが注入されていると検知した場合は車両が動かなくなるようにせねばならない」という”条件”が含まれているわけですね。

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ポルシェはこの「抜け道」を見つけたようだ

ちなみにこの合成燃料(代替燃料、あるいはEフューエル)はガソリンと同じように扱うことができ、ガソリン車にも「無改造で」使用できるとされ、実際にポルシェはクラシックモデルにこの合成燃料を注入して走らせるイベントを開催済み。

そしてこの「無改造」で合成燃料を使用できるということは、自動車メーカーからすると「新しく(合成燃料に適応させるための)投資を行わなくても済む」ということを意味するのですが、「ガソリンでも合成燃料でも走れてしまう」となるとEUの定める条件に適合せず、よって自動車メーカーは「注入された燃料が合成燃料なのかガソリンなのか」を判別し、ガソリンが注入されたと判断すれば「動かすことができない」クルマを作らねばなりません。

これ自体はまだ「大きな問題」ではないものの、この「2035年に内燃機関禁止」を掲げているのは主に欧州であり、それ以外の多くの地域ではまだまだガソリン車の販売が可能であるため、自動車メーカーは(合成燃料対応車を2035年以降も販売するのであれば)「欧州向け」と「そうでない地域向け」に作り分ける必要があり、ここでコストの上昇が懸念されることに。

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そこで今回報じられるのが「ポルシェが見つけた抜け道」で、今回ポルシェが「ガソリンなのか合成燃料なのか」を匂いで判別するセンサーに関する特許を出願したことから明らかになっています。

この特許では、燃料注入口の中と燃料配分システム内に1つずつセンサーが設置され、片方の読み取り値を他方と比較することで「ガソリンなのか合成燃料なのか」を判別することができるといい、この方法であれば(コストがさほどかからないので)すべての地域向けのクルマにあらかじめ装備しておき、欧州向け車両のみを(設定で)ONにしておけばOKということとなるわけですね。

なお、現時点では「すでに販売されたクルマ」に対してのガソリン禁止法案が可決されたわけではないので、現在販売されているクルマが「2035年以降に走れなくなる」ことはありませんが、いつ何時「以前に販売されたクルマに遡ってガソリンエンジンが使えなくなる」という取り決めがなされないとも限らず、しかし今回のポルシェによる特許だと「既存車両にも簡単にあとづけできる」ため、クラシックカーのオーナーも安心してガソリン車を所有できるとしています。

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