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VW史上最大の「謎」、フェートンの2代目が開発されていた!なぜ6リッターW12エンジンを積み、全然売れなかったのに14年も販売されたのか・・・

VW史上最大の「謎」、フェートンには2代目が開発されていた!なぜ6リッターW12エンジンを積み、全然売れなかったのに14年も販売されたのか・・・

| 当時のフォルクスワーゲン会長は絶大な権力を持ち、そしてとにかく大きくパワフルなクルマが好きだった |

そしてその退任とともにフェートンは販売終了に

さて、フォルクスワーゲンは2002年に「フェートン」なる高級セダンを発表していますが、これはなんと6リッターW12エンジンを積むという超高級車(2016年まで販売されている)。

そしてこの「フェートン発表20周年」を記念して今回フォルクスワーゲンがサプライズにて「2代目となるはずだった」フェートン”D2”のプロトタイプを公開しています。

VW-Phaeton-D2-3s

フォルクスワーゲン・フェートンはこんなクルマ

このフェートンについてはちょっと長い説明を要するのですが、そもそもは当時のフォルクスワーゲン会長であったフェルディナンド・ピエヒ氏が企画したクルマ。

このフェルナンド・ピエヒ氏はポルシェ創業者一族で、とにかく大きなクルマ、排気量の大きなクルマが大好きで、フォルクスワーゲン会長職に就いたのちにはブガッティ、ランボルギーニ、ベントレーを続々併合し、1999年に6.3リッターW18エンジンを積んだコンセプトカー、ブガッティW18/3シロンを作ったり・・・。

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2000年にはこれまた8リッターW18エンジンを積んだアウディ・ローゼマイヤーをリリースしたことも。

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そして2002年に発売されたのが「フェートン」というわけですが、まさに「デカいクルマ、大排気量のクルマ」が大好きなフェルディナンド・ピエヒ氏の悲願だったのかもしれません。

そして発売以降フォルクスワーゲンは何度か危機を迎え、様々なクルマが販売中止に追い込まれるものの、ディーゼル不正事件以降であってもこのフェートンは生きながらえており、なんと2016年まで14年にわたり(全然売れなかったにもかかわらず)販売が続きます。

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ただ、2016年に販売が終了したのにも理由があり、それは2015年にフェルディナンド・ピエヒ氏がフォルクスワーゲンの会長職を退任したため」。

さすがに退任してすぐに販売終了というわけにもゆかず「1年後」にフェートンの販売が終了することになっているわけですが、「フォルクスワーゲンブランドからW12エンジン搭載のとんでもない高級車を発売」「しかも全く売れないのに14年間も販売し続ける」「退任直後に販売終了」といったところからもフェルディナンド・ピエヒ氏がどれだけ強い権力を持っていたかがわかるかと思います(普通に考えればこんなクルマなど発売できようもなく、発売したとしても赤字を垂れ流し続けたとすればすぐに販売終了となる)。

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フェルディナント・ピエヒ氏は「2代目フェートン」すら企画していた

そしてこのフェートンについて、なんと2代目が企画されていたといい、おそらくはフェルディナント・ピエヒ氏在任中に開発が進められていたものだと思われますが、同氏が退任した後に当然ながらこの第二世代フェートンの計画は「葬り去られる」ことに。

ただしフェルディナント・ピエヒ氏は当然ながらこれを発売するつもりで計画しており、そのためガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドのバリエーションを含む幅広いエンジンレンジを検討していたといい、プラットフォームはMLBをベースとしています。

なお、最大のトピックは604馬力を発生する6リッターW12エンジンを搭載する計画を持っていたことで、さらにはカメラが前方の道路をスキャンし、段差やカーブに備えてアダプティブ・エア・サスペンションを動作させる「電動ロール安定化システム」も搭載されていたもよう。

これはのちにアウディに搭載されるアクティブサスペンションやベントレーのダイナミックライドのベースになるものだといい、このフェートンD2がいかに先進的なクルマであったかがわかります。

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そしてこのフェートンのインテリアには15インチの巨大なタッチスクリーンと12.3インチのデジタルメータークラスターを備えたフルデジタルコックピットが搭載され、さらには電気的に濃度を変更できるエレクトロクロミックガラス(リアウインドウ)、半自動運転も備えていたようですね。

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さらにはベンチレーションやマッサージ機能を備えた豪華なリアシート、シートバックのタブレット型タッチスクリーンなど快適性も追求されており、2代目フェートンは初代以上に赤字を生み出しそうなクルマだったということになりそうです。

参考までに、「フェートン(Pheaton)」の名称はギリシア神話の太陽神である「ヘーリオス」の息子の名前から取られた、と言われます。

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参照:Auto Motor Und Sport

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