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トヨタが2022年も「世界販売1位」となることがほぼ確定。現時点で2位のVWに214万台の差をつけており、事実上ここからVWにの逆転は不可能だと報じられる

2022/12/26

トヨタ

| トヨタ、フォルクスワーゲンともにそれぞれの事情に翻弄される |

おそらくフォルクスワーゲンはここから中国のシェアを失い続けるだろう

さて、トヨタが26日に2022年11月までの世界販売台数を公表し、フォルクスワーゲンの販売を上回って3年連続にて首位となるであろうことが明らかに。

トヨタの発表によると、1~11月における世界販売台数は956万台にのぼり、現時点でフォルクスワーゲングループの742万台(前年比9%減)を214万台上回っていて、フォルクスワーゲンはここからの逆転がまず不可能だと思われるため、トヨタの「世界販売1位」は確定だと考えていいのかもしれません。

フォルクスワーゲンは中国市場で大きく沈む

トヨタとフォルクスワーゲングループとは「抜きつ抜かれつ」を繰り返している関係性ではありますが、コロナ禍に突入して以降フォルクスワーゲンは販売が振るわず、2021年の11月までの販売においても9%減を記録しています。

これは中国市場におけるロックダウンの影響だとされ、かつフォルクスワーゲンは中国市場にて世界販売のおよそ40%を賄っているため、中国が動かないことによる影響を大きく受けたということになります(トヨタに占める中国市場の割合は20%程度)。

ただ、ぼくはこのフォルクスワーゲンの中国市場での低迷については今後も長引くだろうと考えていて、その理由は「現在の中国市場において、フォルクスワーゲンに取って代わることができる中国車が多数登場したから」。

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フォルクスワーゲンは中国市場に早くから進出し、先行者利益を得ることでその販売を拡大してきましたが、中国の自動車市場黎明期であればまだ良かったものの、現在のように中国に自動車メーカーが数百も誕生してしまった状態ではその存在意義がおびやかされるのは無理のないところかもしれません。

しかもフォルクスワーゲンの価格帯は「普及層」であり、中国の自動車メーカーの価格帯の多くはVWと同じもしくはそれ以下なので、フォルクスワーゲンが中国車に食われてしまうのは当然の成り行きだとも考えています。

これがベントレーやロールスロイスのような高級車、フェラーリやランボルギーニのようなスーパーカーであれば、中国はまだそれらに対抗できるクルマを作ることができないので「安泰」ではあるものの、すでに中国車は「日常の移動手段」としてのクルマであれば、他の国の自動車メーカーよりも安くデザインが良く(中国人の嗜好にマッチしている)機能に優れるクルマをつくることができるので、おそらく今後もフォルクスワーゲンにとっての苦境が続くものと思われます(この苦境はトヨタにとっても同じだが、トヨタにおける中国市場のシェアが少ない分、トヨタは影響を受けにくい)。

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そしてこれから時代は「エレクトリック」へと向かいますが、バッテリーの多くは中国のメーカーが製造しているという事実もあり、よってバッテリーの「入手」「価格」においても中国の自動車メーカーが一歩有利な立場にあると考えてよく、つまりは中国の自動車メーカーは「より安価で、より大量に」EVを生産できるため、今後EVへとシフトしてゆくフォルクスワーゲンは今よりもさらに苦しくなるかもしれません(ぼくは、フォルクスワーゲンの中国の販売はほとんどなくなってしまうんじゃないかとまで考えている)。

ちなみにですが、メルセデス・ベンツもフォルクスワーゲン同様に、ワールドワイドの販売における40%を中国に依存していて、そしてEVにおいては中国の自動車メーカーの製品に歯が立たない状態となっています。

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なお、トヨタは中国のみならず世界でも「EVで出遅れている」メーカーの一つですが、その出遅れによって「EVが売れなくて困る(そもそもEVのラインアップが少ない)」という状況にに至っておらず、見方を変えれば「ほかの欧米自動車メーカーの失敗を見て戦略を練り直すことが可能」だったのかもしれません。※怪我の功名のようなものか

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ただ、世界的に見るとEVは成長分野であることに違いはなく、フォルクスワーゲンは2022年に前年比25%増の36万台を販売し、しかしトヨタが販売したのは2万台のみだとされていて、ここが今後どう動くかにより、大きく両者のバランスが変わってくるのかも。

そのほかの市場はこうだった

そして2022年のトヨタ/フォルクスワーゲンの販売につき、トヨタだとむしろ中国での販売が増加し(+2%)、加えて東南アジアでの販売も成長を記録。

中国ではカローラやカムリの好調、東南アジアだとSUVの販売が伸びたようですね(インドネシアで+10%、タイで+20%と大きく伸びた)。※夏に生産能力を増強したことがその勝因

一方で日本と北米では10%販売が減っていて、これは両市場での主力車種が「半導体を多く使用する車種であったため、半導体不足の影響を大きく受けて供給が追いつかなかった」からだといい、依然マイクロチップ問題は強く自動車業界に影響を与えているという印象です。

一方のフォルクスワーゲンは(中国以外の)アジア太平洋地域では6%増にとどまり、欧州市場では7%の減少を喫しています。

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半導体不足の影響はまだまだ続く

なお、トヨタは11月に「2022年には年間で970万台を生産する」としていた計画を50万台下方修正していますが、これはもちろん需要が減ったのではなく半導体がまだまだ不足しているため。

この「970万台」にも半導体不足が織り込まれているのだと考えてよく、しかし下方修正したところを見るに、事態は想定よりも深刻だったのかもしれません。

ただ、最悪の事態を脱したという意見もあり、2024年には(早ければ)半導体不足が解消されるという報道も見られるので、部品調達や生産が正常化したときに改めて「その自動車メーカーの本当の需要」が明らかになるのでしょうね。

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参照:NIKKEI

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