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BMWで17年務めたデザイナーが中国・長安自動車に移籍、そこで発表したAvatr 011がカッコいいと話題に。なぜ欧州有力デザイナーは中国の自動車メーカーに移るのか

2022/09/04

BMWで17年務めたデザイナーが中国・長安自動車に移籍、そこで発表したAvatr 011がカッコいいと話題に。なぜ欧州有力デザイナーは中国の自動車メーカーに移るのか

| カネのこともあるだろうが、おそらくは伝統や組織に縛られず、デザイナーとしてやりたいことをできるのが中国なんじゃないだろうか |

デザイナーはもともと自己表現意欲が強く、中国自動車メーカーは高いデザイン性を求めており、両者の需要が「マッチ」するのでは

さて、このところ話題となっているのが中国車のデザイン性の向上。

まだまだ一部では「コピー」から抜け出すことができていないものの、一部自動車メーカーでは脱コピーを図って独自のデザインを行い、高い評価を得ているケースも見られます。

実際のところ、マクラーレンやBMW、ピニンファリーナにてデザイナーを務めたフランク・ステファンソン氏も「最近の中国車のデザインは侮れない」という動画を自身のYoutubeチャンネルへと公開していますね。

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なぜ中国車のデザイン性は急激に向上したのか?

そこで気になるのが「なぜ中国の自動車メーカーは急速にデザイン性を向上させたのか」。

その答えの一つが「欧州自動車メーカーの著名デザイナーを引き抜いているから、もしくは著名デザイン事務所にデザインを依頼しているから」。

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そして中国のテックルールズ、そのほか多くの中国自動車メーカーはイタルデザインやジウジアーロ(GFG)などのデザインハウスにデザインを委託していることが報じられていますね。

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そのほか多くのデザイナーが中国に流れる

ただしこういった「多くの人が知っている」デザイナーを引き抜いたりせずとも、各自動車メーカーに務めていた「中堅クラス」のデザイナーも多く中国の自動車メーカーに流れているといい、長安自動車のEVブランド「アバター(Avatr)」に加わったナダー・ファギザデ氏もその一人。

同氏は17年間BMWに在籍し、i3S、i8ロードスター、iNextコンセプトからX3、X4、6シリーズクーペ / グランクーペ / コンバーチブルなど、ほぼすべての主要BMW製品に関わったと言われます。

近年の自動車デザインは、チーフデザイナー一人の意向によって決まるものではなく、世界各地の支社やデザイン拠点のアイデアをミックスさせることが多く、よって「誰の作品」だと言うことが難しくなっていますが、そんな中でもナダー・ファギザデ氏は重要な役割を果たしてきたと考えられます。

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そして今回公開されたのが、同氏が主導してデザインしたエレクトリッククロスオーバー、Avatr「011」。

これは750ボルトの充電技術、ファーウェイ製Inside LiDARを搭載した自律走行技術を備え、時速62マイル(100km)まで3.98秒で加速できCLTCサイクルにて一回の満充電あたり最大680kmに走行が可能なクルマ。

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フロントは中国人が好む「丸っこいフェイスに細長いヘッドライト」を持つもので(実際のところNIOはじめ多くの自動車メーカーがこのデザインを採用)、しかしリアだとセダンとクロスオーバー、クーペの特徴を融合させたスポーティーなデザインをもたせることに成功しています。

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なぜ多くのデザイナーが中国に渡るのか?

そこで気になるのがなぜ多くのデザイナーが中国の自動車メーカーに移籍するのか。

もちろん「お金」という理由もあるかもしれませんが、もしかすると大きな理由は「クリエイティビティの発揮」に関係しているのかも、と考えることも。

上述の通り現代の自動車は「世界各地で売れるよう、各地の意見を寄せ集めて作ったもの」で、たとえばフロントは北米のデザイン案、リアは欧州案、ディティールは日本案といったぐあいにミックスされることも。

そうなるとデザイナーの意向の多くは無視され、「ブランドのヘリテージ」「製造コスト」「マーケティング」といった商業的要素によってどんどん日和ったデザインになってしまい、結果的にできたものは「誰のデザインとも言えないシロモノ」になってしまうのかもしれません。

ちなみに(カウンタックをデザインした)マルチェロ・ガンディーニは、ブガッティEB110のフロントに(ブガッティ伝統の)ホースシューグリルを付けるか付けないかでモメにモメ、途中でデザイナーを降板しており、クライスラー傘下にてデザインしたランボルギーニ・ディアブロでも同様の問題が生じています。

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もともとデザイナーという人々は、ほかの人々に比べて美意識が高く、自己表現意欲も強いと考えられますが、そういったデザイナーたちにとって「偉い人」からデザインをこうしろああしろと言われるのは自分自身を否定されているように感じられるんじゃないかと思うわけですね(やりにくいこと極まりない)。

ただ、中国にせよ、韓国(ヒョンデ)にせよ、デザイナーに与える自由度はかなり高いといい、つまり会社は「カネは出すが口を出さない」傾向にあるものと思われ、そして後発だけあって、技術よりも見た目での差別化が有効だと考えている可能性もありそうです(技術で勝負するには相当に長い時間がかかり、かつ勝てる見込みも低いが、デザイン勝負だとそうではない)。

よって中国の自動車メーカーはデザインに対して非常に重きを置き、かつデザイナーに対して大きな裁量を与えているのだとも想像でき、つまりデザイナーにとっては「働きやすい」環境なのかもしれません。

加えて中国の自動車メーカーは歴史が浅く、守るべきヘリテージもないので、デザイナーからすると「他人が考えたデザインを踏襲し、それを取り入れなければならない=自分の存在意義を主張できない」欧州の歴史ある自動車メーカーより、「これから自分たちでその伝統を作ってゆく」ことにダイナミズムを感じるであろうことも間違いなさそうで、よって中国に多くのデザイナーが活路を見出すのは「カネじゃなく」「中国のほうが自分のやりたいことができ、価値を発揮できる」という理由があるのかもしれません。

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