VW ID. Buzzのキャンパー仕様「カリフォルニア」の販売が延期？車両総重量が3.5トンを超え通常の免許では運転できなくなる可能性。日本でも同様か

｜　EU、日本ともに車両総重量が3.5トンを超えると一般的な免許では運転できない　｜

重量級EVの増加を考慮し、運転免許制度の変更が必要になるのかも

さて、先日フォルクスワーゲンは「キャンプ仕様」のID.Buzz、「ID.バズ・カリフォルニア」の発売をアナウンスしていますが、その余韻冷めやらぬ中で「発売がエンジされる」との報道。

なお、その延期の理由は「重量」だといい、このID.バズ・カリフォルニアの車体重量は3,000kgオーバーとなる見込みだそうですが、これに「定員」「積載可能重量」とプラスすると、EUでの一般的な運転免許（カテゴリーB）で許される”運転可能な”重量である3,500kgを超える可能性が非常に高く（ちなみにカテゴリーBの乗車定員は8名）、なんらかの調整を要すると判断されたようですね。

このままだとID.バズ・カリフォルニアを運転するには「C1免許」が必要に

そしてこのまま発売すると、EUの顧客はID.バズ・カリフォルニアを運転するのに「C1」なる運転免許（7.5トンまで運転できる）を別途取得する必要があり、しかしフォルクスワーゲンは「顧客にとって、このハードルはあまりに高い」と考えているというのが今回の報道の内容です。

参考までに、日本だと「平成29年3月11日までに取得した普通免許」であれば車両総重量5トンまでを運転できるのですが、「平成29年3月12日以降に取得した普通免許」であれば車両総重量3.5トンまでしか運転できず、それ以上の受領のクルマを運転仕様となると準中型自動車免許もしくは中型自動車免許を取得する必要があり、（ID. Buzzに関し）EUと同じ問題が生じます。

ここで「車両総重量」について補足しておくと、これは「車両重量に対し、フル乗車・フル積載した際の重量」。

まず車両重量とは「そのクルマのガソリンを満タンにし、そして冷却水やオイルも注入して「走れる状態」とした際の重量（電気自動車であればガソリンや一部油脂は不要ではあるが）で、この状態では人や荷物は載っていないということになります。

そして今回問題となっている「車両総重量」については、「乗員がフル乗車したと仮定した重量を加えたもの」。

具体的には乗員ひとりあたり55kgと計算しますが、ID.Buzzが8人乗りであったならば55×8＝440となり、車両重量が3,000kgだと仮定すれば車両総重量は3,440kgとなります。

なお、普通車の場合は（貨物車や商用車とは異なり）最大積載量が明確に定められておらず、車検証にも記載がありませんが、ミニバンやSUVなど荷物を乗せる可能性が高いクルマの場合は乗員以外にも重量を加算している場合があり、たとえば「車体重量1,500kgに対し乗員5名の275kgに加え、荷物を200kg載せたと仮定して」合計1,975kgを車両総重量として車検証に記載する例もあるもよう。

そしてIDバズもまた「荷物を乗せる可能性が高い」クルマであり、乗車定員のほかに荷物の重量をプラスする可能性がありますが、その場合は車両重量＋乗車定員である3,440kgに荷物をプラスすれば3,500kgを軽く超えてしまうので、日本においても普通免許では運転できないことになりそうです。

なお、この「荷物分を加算するかどうか」はだれがどこでどう決めるのかは不明であり、自動車メーカーが決めるのか、それともお上が指導するのかは明確ではなく、もし「調整の余地があれば」フォルクスワーゲンは「8人全員が乗って、さらに荷物をフル積載することはない」ということで（車検証上の）車両総重量を3,500kg以下とする可能性も出てきそう。

ただ、今後EVが増えてくるに際し、大型サルーンでも同様の問題が生じる懸念もあり、2017年に道路交通法の改正により「普通免許で運転できるクルマの重量」が引き下げられたばかりではありますが、むしろ今からは「普通免許で運転できるクルマの重量」を引き上げないといけないのかもしれませんね。

実際のところEUではEVの普及にともない「現実に即するよう」カテゴリーB免許で運転できる重量の引き上げの検討がなされているといい、現実的に、これが障害となってEUではハマーEVやフォードF-150ライトニングなどの電動版ピックアップトラックを販売することが難しくなっていることも報じられています。

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参照：Edison