
Image:Stellantis
| 6か月の空白を経て、新ステランティスCEOが正式決定 |
これほどの逆境での「船出」を経験するCEOはほかにいないかもしれない
苦境に陥ったステランティスから前CEOであるカルロス・タバレス氏が退任してはや6か月。
この間「CEOの空白機関」が続いていたわけですが、今回ついに2025年6月23日付でアントニオ・フィローザ氏が新たなCEOとして就任すると発表されています。
ステランティスは現在世界第3位の自動車メーカーではあるものの、いまだかつてない逆境に立たされており、今こそ新たなリーダーシップが求められているという状況です。
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アントニオ・フィローザ氏とは?~ステランティス生え抜きの技術者~
アントニオ・フィローザ氏は1999年にフィアットへ入社して以来、キャリア全体をステランティスおよびその前身企業で積み重ねてきた生え抜きのエンジニアですが、経歴を見るとマネジメント領域での経験も豊富であり、まさに適任と言える人物なのかもしれません。
主な経歴:
- 1999年:フィアット入社、南米部門にてキャリアを開始
- 2016年:アルゼンチンFCAの責任者に就任
- 2018年:中南米地域のCOO(最高執行責任者)に昇進
- 2023年:ジープブランドCEOに就任
- 現在はステランティスのアメリカ地域COO兼チーフ・クオリティ・オフィサーも兼任
ステランティス会長、ジョン・エルカン氏のコメント:
「この6か月間、アントニオと密接に仕事をしてきましたが、北米・南米をまたぐ強力なリーダーシップと実行力は、まさに今のステランティスに必要な資質です。」
苦境の中での船出:新CEOが直面する課題とは?
フィローザ新CEOの前に立ちはだかるのは、数々の市場での失策と売上不振であり、主な問題は以下の通り。
商品企画、生産と品質、販売など「およそ全ての方面」にわたり課題山積という状況です。
直近の主要な課題:
- ジープブランドをはじめとする各ブランドの販売不振
- ラム REVなどの主要新型車の投入遅延
- 電動ダッジ・チャージャー・デイトナの販売不調
- EVシフトにおける混乱(EVベース車両へのICE追加対応など)
- 2024年初のピークから3分の1以下に暴落した株価
特に、米国市場では激化するEV競争において方向性の再考が求められており、ブランド価値の再構築と新商品の明確なポジショニングが急務であるとも報じられていますね。
更にステランティスでは「マセラティ」など傘下のブランドのいくつかに身売りの話も出ており、保有する13のブランドについても「売却か、再建か」の選択を迫られることになりそうです。
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アントニオ・フィローザ, ステランティスCEO
まとめ:新体制でステランティスは再浮上できるか?
アントニオ・フィローザ氏は、生え抜きでありながらグローバルな視野と実務経験を併せ持つリーダーだと目されており、今後のステランティスが再び競争力を取り戻すためには、以下のような対策が求められ、ステランティスの今後の復活劇に注目が集まるところです。
- ブランドごとの明確な再編戦略
- EV・ICE双方でのラインアップ最適化
- 顧客志向の再徹底
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参照:Stellantis