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フェラーリF8トリブート/F8スパイダーの受注が世界規模で終了し、ついにV8ミドシップが一つの時代の終焉を迎える。なぜフェラーリのモデルサイクルはここまで短くなったのか?

2022/03/16

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| フェラーリはある日突然「注文できなくなったりする」のが恐ろしい |

とにかくフェラーリおオーダーするにはディーラーとの密なコンタクトが必要

さて、フェラーリが欧州市場でもF8トリブートとF8スパイダーの受注を停止したとして話題に。

これについては、ぼくも昨年末あたりに複数のフェラーリディーラーから(もう注文ができないといい)話を聞いており、「ついにフェラーリは段階的にV8エンジン搭載モデルを終了させることになるのか・・・」と思ったものです。

ちなみにフェラーリは公的に「どのモデルの受注を終了させる」と発表することはほとんどなく、GTC4ルッソや812スーパーファストについてもネット上で「受注が停止されたようだ」と話題になり、そこでカーメディアがフェラーリの広報に確認を取ると「ええそうですよ。そのとおりです」とアッサリ答えるということが通例となっています。

F8/F8スパイダーはフェラーリV8モデルの集大成

なお、フェラーリF8/F8スパイダーは、フェラーリいわく「V8モデルの集大成」。

488ピスタ同様のスペックを持っているものの、その乗り味はいくぶんマイルドに仕上げられており、非常に幅広い層に訴求できるという性質を持っていること、「電動化されていないV8エンジンを搭載する最後のミドシップモデル」ということから大きな人気を集めており(欧州だとフェラーリの販売の1/3を占める)、ぼくは2020年11月の時点で「オーダーは可能だが、実際にオーダーした分が生産されるかはわからず、それを理解した上でないと注文を受けることができない」とも説明を受け、さらに2021年12月には「もう注文を受けない」と聞いているのですが、2019年に登場したモデルとしては異例の速さでそのライフを終えるということになりそうです。

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ただ、この理由としてはいくつかが挙げられ、まずは当然ながら「電動化への移行」。

フェラーリ内で電動化車両の比率を高めることでメーカー内でのCO2総排出量を引き下げる狙いがあるのだと思われ、これによって「自然吸気V12エンジン搭載モデル」の延命を図るのかもしれません(CO2排出量が規定値を超えることによる罰金の額を小さくできる)。

フェラーリ

フェラーリの市販車における最大の目標は「価値の向上」

そしてもうひとつは「生産台数の制限」。

フェラーリは自社のクルマの価値を高めることを非常に重要視しており、そのための戦略のひとつが生産台数の制限。

この「台数制限」につき、限定と銘打って発表されるモデルでなくても適用されるというウワサがあり、フェラーリはモデルごとに生産台数を設定していて、その生産台数上限に受注が達した場合、その受注を打ち切るというものです。

つまりフェラーリは「期間」ではなく「台数」という区切りにて各モデルを生産していると言われていて、これは十分に理解できる話でもありますね。

なお、フェラーリは年間生産1万台に達しており、そうなると懸念されるのが「希少性の低下」。

実際に数年前、フェラーリが「1万台」という当面の目標を掲げた際、フェラーリファンや株主からはその排他性を危惧する声が噴出し株価も大きく下げたことがあるので、これはフェラーリとしては非常に大きな問題かと考えてよく、しかしフェラーリはそれをカバーするためにモデルラインアップを増やすことになり(現在は296GTB、SF90ストラダーレ、SF90スパイダー、ローマ、ポルトフィーノがあり、812GTS、812コンペティツォーネ、812コンペティツォーネA、F8トリブート、F8スパイダーの生産も残っている)、よって「総生産台数は増加しようとも、1モデルあたりの生産台数は増やさない」というスタンスを維持することになりそうです。

ちなみにフェラーリは(前CEO時代ではありますが)「1モデルあたりのライフサイクルを早める」とも述べていますが、これも希少性を確保しつつも「より多くの顧客にアピールする機会を設ける」という最善の方法なのでしょうね。

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そのため、これからのフェラーリは「各モデルの寿命が短くなる」とも考えられ、実際にSF90ストラダーレ/SF90スパイダーの受注もそろそろ締め切られるというウワサもあり、296GTBについても、今からぼくが注文し、納車されるころには「後継モデルに切り替わっている」のかもしれません。

フェラーリのエントリーモデルは今後どうなる?

そこで気になるのがF8トリブート/F8スパイダーの後継。

296GTB/296GTSがこれに該当すると考えることもできますが、スタート価格が3710万円~ということを考慮すると、マクラーレンやランボルギーニと比較してかなり高額で、このもう一つ下になんらかの(ミドシップ)モデルが追加される可能性が大。

上述の通り、フェラーリが「総販売台数を伸ばしても、1台あたりの販売台数を増やさない」ためにはモデルラインアップを増やす以外に方法はなく、よって296GTBとは別にエントリーモデルが投入される可能性もあり、しかしこれについては「フェラーリのみぞ知る」状態となっています。

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参照:Automotive News Europe

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