| ただし、それが「フェラーリ」のブランド価値を形成する理由でもある |
さて、先日ローマの見積もりを取得しに行った際に聞いたのが「フェラーリの場合、突然受注停止になるモデルがある」ということ。
今回だとGTC4ルッソがその受注停止の対象となっていて、もう新規にGTC4ルッソが生産されることはなく、よって新車でこれを買うことができるとすれば、デモカーとして各ディーラーが発注していた車両のみということになります。
ちなみにF8トリブート、F8スパイダーはまだ注文ができるようで、しかしこちらは「条件付き」。
一応注文は受けるものの、受けた注文分を生産するとは限りませんよ(フェラーリの都合で注文がキャンセルされることもありますよ)という但し書きがつくワケですが、こういった感じで、「受けた注文分すら」生産されないことがある、というのがフェラーリということになります。
なお、これについて批判の意図はまったくなく、逆に「スゴいな・・・」という印象で、腕時計であればオーデマピゲやパテックフィリップ、そしてもちろんロレックスのようなイメージで、つまりは「排他性を持つビジネス」でもありますね。
フェラーリは「いつ注文するか」が難しい
フェラーリは購入そのものが(金額的なものを抜きにしても)非常に難しく、まず限定モデルはぼくのようなビギナーだと100%不可能(それでも、458スペチアーレの話が回ってきたこともあり、あのときに買わなかったのは今でも後悔している)。
よって購入できるのはカタログモデルのみということになりますが、こちらについてはぼくが購入できるタイミングは「一般に情報が公開されてから」。
そして一般に情報が公開される前にはVIP顧客の注文を受けているものと思われ、そのために注文を入れた時点だと「納車二年待ち」くらいのウェイティングリストが発生しています。
ただ、これはいたしかたないことでもあり、フェラーリをいいタイミングで購入するようになるには、フェラーリを「不利な状況であっても」注文し、それによってフェラーリに認められるような立場にならなくてはならないわけですね(購入履歴に応じてステータスが上がってゆく会員システムのようなもの)。
こう言うと「殿様商売」のように見えなくもないですが、ぼくはこの手法については”非常に優れている”とも考えていて、というのもこれによってフェラーリは「手の届かない存在」として唯一無二の存在となり、そのブランド価値を押し上げているから。
フェラーリの購入には「納車待ち期間」も考慮せねばならない
そして納車待ちが長いということは、その間は中古市場での飢餓感が高いということになり、そのモデルについて価格(中古相場)が上昇もしくは下がらない、ということに。
しかし2年くらい経って納車が進むと中古価格が下がってくることになるわけですが、VIP顧客だと「中古価格が高いうちに売ることができるが、一見さんの場合は、クルマが行き渡った時期に納車され、売ろうとしたときにも相場が下がっている」ということに。
もちろん買う前から売るときのことを考えるのはどうかとも思うものの、フェラーリについては(他のクルマもそうですが)発表と同時に(VIP顧客の後であっても)注文を入れ、なるべく早いうちに納車を受け、もし売るのであれば、まだフレッシュなうちに売るという買い方が一番”売却時の損失が少ない”ということになりそうです。
上述の通り、フェラーリはこのやり方によって高いブランド価値を築いており、そのため「下がる」とはいえどほかのスーパーカーよりもずっと高い市場価値を維持しているのは間違いなく、逆に「買いやすい」ブランドのクルマほど市場価値が下がる傾向も(買いやすい=もともとの需要が少ないから)。
よって、「(価格もそうですが、タイミング的にも)買いにくい」のがフェラーリでもあり、そしてぼくはこの戦略を支持したい、とも思います。
なお、一見さんだと、VIP顧客分が納車されようとも、「自分のクルマが来る」のをひたすら待ち続けねばならず、この処遇に我慢ができないという人も多いようで、これ(顧客間ヒエラルキー)を理由にほかブランドに流れる人も少なくないと言われ、このあたりが「フェラーリ以外のスーパーカーに乗る人は、”フェラーリを買えなかった”人々である」と故セルジオ・マルキオンネ氏が主張した理由なのかもしれません(ぼくがランボルギーニを買うのは、もちろんランボルギーニが好きだからであって、この理由には該当しない)。
さらに、注文するには「納車待ち時間」を考慮して注文する必要があり、たとえばそのモデルが発表されて2-3年して注文を入れると、納車される頃には(さすがにこの時点では2年も待つ必要はないほどウェイティングリストが短縮されているけれど)フルモデルチェンジ版となるニューモデルが発表されている、ということにも。※もしくは冒頭で述べたように、生産が打ち切られ、自分のクルマが生産されない可能性もある
こういった理由もあり、ぼくはフェラーリを注文するタイミングを逸し続けているわけですね。