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フェラーリの最新ワンオフモデル「KC23」公開。アクティブボディパネル、着脱式ウイングにて「天使から悪魔」へと変化する二面性を持ち、ボディカラーには液体金属を使用

2023/07/12

フェラーリの最新ワンオフモデル「KC23」公開。アクティブボディパネル、着脱式ウイングにて「天使から悪魔」へと変化する二面性を持ち、ボディカラーには液体金属を使用

| おそらくはこれまでに製作されたフェラーリのワンオフモデルの中で「もっとも未来的」 |

フロントは499P、リアはフェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモにインスパイア

さて、フェラーリが「フェラーリにとって、もっとも重要な顧客の一人」のために製作したワンオフモデル、フェラーリKC23を公開。

これはフェラーリのスペシャル・プロジェクト部門によって開発されたもので、ベースとなるのはフェラーリのレーシングカー、488GT3 Evoだとアナウンスされています。

この488GT3 Evoは「フェラーリで最も成功した」レーシングカーのひとつであり、これまでに530勝、119回の優勝を記録するなど輝かしい戦績を残しています(フェラーリKC23に搭載されるエンジンは、488GT3 Evoと同じ3.9リッター90度V8、出力は592PS)。

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フェラーリKC23はこんなクルマ

そこでこのフェラーリKC23を見てみると、外観上だと「コンセプトカーのような」ルックスが大きな特徴。

ブレード状のエレメントを持つフロントライト、段差やチリが極限まで押さえられたボディ表面(とくにキャビン周辺。モールすら見当たらない)、そしてドアミラー代わりのカメラ。

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サイドから見るとその未来的なデザインが顕著であるように思われます。

なお、このボディカラーは専用に開発された4層のアルミフレーク塗装(液体金属が塗料に含まれると紹介されている)であり、そのカラー名は 「ゴールド・マーキュリー」。

フェラーリいわく「生き物のよう」「呼吸しているかのよう」だと表現されており、光の当たり具合や見る角度によって色味が変わって見えるようですね。

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もちろんこのデザインはフェラーリのデザインスタジオ(チェントロ・スティーレ)を率いるフラヴィオ・マンツォーニ氏によるものですが、同氏は2005年に「フェラーリの宇宙船」をイメージしたデザインを公開したことがあり(下の画像)、同氏はハンマーヘッド、そしてシルバー、さらにはツルッとした、かつ液体のような表面を好むデザイナーなのだと思われます。

リアだとフェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモにインスピレーションを得たメタクリル樹脂製の”ライトブレード”が備わり、左右三段重ねとなった巨大なディフューザーが目を引きます。

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フェラーリKC23にはアクティブ・ボディパネルが備わる

なお、このフェラーリLC23にはいくつかの(外観上の)ハイライトがあり、ひとつは着脱可能なリアウイング。

翼端がスター・ウォーズに登場するタイ・ファイターを連想させますが、下の画像ではもうひとつのハイライトである「アクティブエアロ」が展開しており、よく見るとフロントタイヤの後ろ、そしてドア後方(フロントフェンダーの前側)にフラップのようなパーツが”開いて”いることがわかります。

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これはエンジンスタートともに自動にて”変形”する仕組みを持つと紹介されており、フェラーリの言葉を借りるならば「天使から悪魔へと表情を変える」。

なお、下の画像はアクティブエアロが閉じた状態。

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このエアロパーツが展開することで、フェラーリKC23はレーシングカーに近い空力と冷却を獲得するといい、前輪の後ろのパネルはダウンフォースを助け、リアフェンダー上のパネルはインテーク、インタークーラー、補助コンポーネントにエアを送り込む役割を果たすのだそう。※これらパネルは、車両が停止すると自動的に閉じる仕組みを持っている

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ちなみにドアは「バタフライ」へと変更され(フェラーリとしては、もっとも”垂直”に近い開き方をするクルマかもしれない)、ドアを開くとCピラーに相当部分に「KC23」の文字が現れます。

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その他の特徴としては、2本のボンネットピン(もちろん隠されている)で簡単にアクセスできるクラムシェル型ボンネット、上述の通りピラーやフレーム、シールなどを完全に隠したグレージングエレメント(航空学にインスパイアされている)。

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インテリアでは488 GT3 Evoのエレメントを可能な限り残した「レーシングカー然とした」もので、大きく基本構造が変更されたのは助手席側のドアインナーパネルとダッシュボードのみだとされています。

シートには電縫溶接のロゴが入り、これはカーボンファイバー製フレームの上にアルカンターラが貼られたもので、そのほか、シートとルーバー状のリアエンジンカバーによって視界が制限されるため、ルーフから中央に吊り下げられた3つのスクリーンに映し出されるビデオカメラ・システムが設置されています(KC23が従来のドアミラーを細長いカメラ付きストークに置き換えることができたのは、このカメラシステムのおかげでもある)。

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このフェラーリKC23の開発には3年を要したそうですが、このあとグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで一般公開され、さらにその後にはマラネッロのフェラーリ・ミュージアムで8月1日から10月2日まで展示されることになるもよう(そこからオーナーの元へと納車される)。

なお、こういった「ワンオフモデル」を発注できるのはフェラーリの上位顧客50人のみだと言われますが、それでも「完成までには(今回のように)3年待ち」だとも言われていますね。

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こちらはフェラーリKC23のデザイン画(フラヴィオ・マンツォーニ氏のサインが入っている)。

おそらく初期のものだと思われ、この時点ではアクティブボディパネルが備わっていないように見受けられます。

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フロントには812コンペティツォーネのブレードを連想させるライン、そしてキャビンはSF90を連想させる形状。

なお、488シリーズはピニンファリーナがデザインした458シリーズの延長線上にあり、しかしフラヴィオ・マンツォーニ氏はこのフェラーリKC23にて、そのデザインを一気に「チェントロ・スティーレ風に」変化させたとも捉えることが出来るかと思います。※実際のところ、ガラス含めてすべてのボディパネルが見直されている

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リアの「全閉」もやはり812コンペティツォーネを連想させる意匠ですね。

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こちらはアクティブボディパネル非展開とウイングレス(フェラーリのいう”シックなイブニング・ドレス”状態)。

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こちらがウイング装着、そしてアクティブボディパネル展開状態(やはりフェラーリの言葉を借りると”ダウンフォースを追求する攻撃的なパンクロック”モード)。

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なお、このフェラーリKC23は「サーキット走行専用モデル」となりますが、あくまでも「プライベートでの走行」を想定しているためにいかなるホモロゲーションに囚われておらず、そのため自由な発想にて洗練されたボディワークを実現することができ、今後数十年のフェラーリのデザインがどうなってゆくのかを示す一台となっています(事実、これまでのワンオフモデルからのちのカタログモデルに反映されたデザインも少なくない)。

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フェラーリKC23のプロモーション動画はこちら

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参照:Ferrari

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