| まさかアストンマーティンがここまで限定モデルを多数発表するとは |
ただしいずれのモデルにも存在意義があり、コレクターとしては「全部揃える」しかなさそうだ
さて、アストンマーティンが110周年を祝うに際し、限定スーパーカー「Valour」を発表。
このValour(ヴァラー、というのが本来の発音にもっとも近い表記だと思う)というのは武勇を意味しており、戦闘下における勇気を示すものですが、「ヴァルカン」など爆撃機由来のネーミングを採用するアストンマーティンらしく攻撃的なものであり、もちろん「Vではじまる」という伝統の命名法則に倣ったものということになります。
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アストンマーティン「Valour」はかつてのアストンマーティンV8をイメージ
このアストンマーティン「Valour」は1970-1980年代の人気モデル”V8”にインスピレーションを受けた「レトロで、ワイルドな」ルックスを持っており、ちょっと前に発表されたワンオフモデル「ヴィクター(Victor、下の画像)」を連想させるルックスを持っています。※共通点が非常に多く、このValourは事実上、ヴィクターの市販バージョンと言えるかもしれない
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ちなみにアストンマーティンV8は下の画像の右側のクルマで、「007リビング・デイライツ」にボンドカーとして登場しています。
アストンマーティン「Valour」はこんなクルマ
そして今回発表されたアストンマーティン「Valour」に話を戻すと、レトロなデザインに加えてマニュアルギアボックスを持つことが大きな特徴で、アストンマーティンはこのValourにつき "ひとつの時代の最後 "と称しており、つまりは「マニュアル・トランスミッションの終焉」を記念したモデルということなのかもしれません。
リアセクションの「ルーバー」は当時(主に北米市場で)人気のあった意匠を再現しているものと思われます。
この21インチの軽量鍛造合金ハニカムホイール(ヴィクターと同じデザイン)には、ミシュラン・パイロットスポーツS 5タイヤ(フロント275/35、リア325/30)が装着されている、とのこと。
ちなみにエクステリアカラーは21色の標準色もしくは、同社のパーソナリゼーションプログラムである「Q by Aston Martin」から数十色、それでも足りなければオリジナルカラーの調合、さらにはエクスポーズド・カーボンファイバー(カーボンむき出し)も選べるのだそう。
フロントセクションはヴィクターに比較してエアフローが改善され、「空気の通り道」が設けられています(最近のアストンマーティンが好んで採用する”ホースシュー”ベントも用いられている)。
ヘッドライトはヴィクターと同じ(ウインカーの位置が異なるようだ)。
一方でこちらのリアパネルはヴィクターには無い意匠です。
大きなリアスポイラー、3列2段のテールランプもヴィクターと同じですが、テールランプのディティール、リアガーニッシュの形状や「ASTON MARTIN」バッジの位置は微妙に異なります。
フロントのエンブレムは「ボックスつき」の新バージョン、しかしエナメルが埋め込まれないという珍しい仕様。
なお、搭載されるエンジンは「V8」ではなく5.2リッターV12ツインターボ(715馬力)ですが、こちらはヴィクターの836馬力よりはややおとなしめ。
ちなみにヴィクターは「One-77」の車体とエンジンをベースにしているものも、このValourは(おそらく)ヴァンテージをベースにしているのだと思われます。
そのほか、メカニズム的な特徴としては専用のサスペンションシステム(独自にチューニングがなされたアダプティブ・ダンパーとアンチロールバーを装備)を持ち、ねじれ剛性と横剛性を向上させるブレースバーの追加(フロント/リア)、そしてカーボンセラミックブレーキ(フロントは6ピストン+16.0インチのカーボンセラミックローター、リアは4ピストン+14.0インチのローター)等の装備がアナウンスされています。
ちなみにですが、この「3本出しエキゾースト」もまた、ヴィクターにはないValour専用のパーツですね。
アストンマーティン「Valour」のインテリアはこうなっている
そしてこちらはアストンマーティン「Valour」のインテリア。
部分的な画像しか公開されていないものの、One-77ベースのヴィクターとは大きく異なり、むしろヴァンテージに近いのかもしれません。
それでも多くのパーツが再設計され、カーボンファイバーを多用した、特別感のある、かつシンプルで高級感あふれる仕様となっているように思います(こういった、テクノロジーとラグジュアリー、レトロの融合という点ではアストンマーティンの右に出るものはない)。
シフトノブはアルミとウッド。
エンジンスタートボタンの位置、そして周囲の構造も専用デザインとなっています。
シートの張り材には古典的なツイードを採用しており、「カーボン+ツイード」をうまくまとめることができるのは、自動車業界広しといえどアストンマーティンだけかもしれません(さすが”超高性能””ラグジュアリー”を差別化要素として掲げるだけのことはある)。
現時点でこのValourの価格については発表されておらず、しかし限定台数の「110台」はすべて完売済み、と伝えられています。
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参照:Astonmartin