| ちょっと前までアウディから「売り飛ばすぞ」と言われていたのがウソのようだ |
ランボルギーニはウルス発売以降、その販売台数を異常なまでに伸ばしていますが、ブルームバーグによると、そのおかげで企業の評価額が1兆2000億円相当にまで上昇した、とのこと。
加えて今後ハイブリッドカー等の新型車が追加されれば、その利益率は30%程度まで改善され、フェラーリに並ぶ超高収益体制になる、とも指摘されています。
ちなみにランボルギーニはちょっと前まで、フォルクスワーゲングループにとって「売却対象」のブランドであったと言われますが、今では「株式公開筆頭ブランド」。
ランボルギーニ・ウルスの爆発力はどれほど凄いのか?
そして気になるのがランボルギーニ・ウルスがどれほどランボルギーニに貢献したのかということですが、下のグラフがわかりやすいかも。
これは年ごとの販売台数を、各モデルごとの「上積み」であらわしたもので、右端が2019年。
ただ、2019年は「前半」つまり6月までしかこのグラフに反映されておらず、つまり最終的に2019年通年では単純計算で「この倍」まで伸びる、ということになりますね。
そして水色がウルスなので、2018年の成長はウルスによってもたらされ、2019年の販売の60%がウルス、ということもわかります。
なお、株式公開(IPO)についてどれくらいまで話が進んでいるのかはわかりませんが、フォルクスワーゲンにとってはおそらく「何としても上場させたい」のだと思われます。
というのも、フォルクスワーゲンはディーゼル不正事件に絡んで相当額の損失を計上しており、このぶんをなんとしても補填したいわけですね(ランボルギーニやドゥカティ売却が報じられたのもこの理由)。
ですが、株式を上場させれば「それだけで」巨額の利益が得られることになり、一気に財務状態が改善することになります。
なぜ株式を上場させると儲かる?
これは以前に「フィアット(FCA)がフェラーリを上場させた」ときと同じ状況で、FCAは2015年のフェラーリの上場によって巨額の資金を得ており、これで「借金がチャラに」なったと言われるほど。※フェラーリ上場時の時価総額は1兆3000億円
そこでなぜ株式上場が儲かるのか?ということですが、簡単に説明してみましょう。
たとえば、株式の額面50円で、資本金が1000万円だとすると、発行済株式は1000万円割る50円で「200,000株」。
この20万株を誰がどう持つのかは会社によって異なりますが、たとえば社長が10万株持っていたとしますよね。
そして、上場したときに株価が1000円になると、1000円×10万株で1億円が入ってくる、という計算になります。
なお、この場合、資本金のうち半分(10万株分)を社長が出資したということになるので、500万円の出資で1億円が入ったということですね。
ランボルギーニの場合は一株あたりの金額がどれほどがわからないものの、その株式はアウディが保有しているので、ランボルギーニが上場した場合の1兆2000億円はアウディの手に入る、ということになります(上場時には、銀行や証券会社、役員などにも株が分配されるので、すべてアウディに入るわけではない)。
そんなわけで多くの会社や経営者が「上場を夢見る」ことになりますが、自動車メーカーの場合はフェラーリが一つのきっかけになり、その後はアストンマーティンが上場、そしてマクラーレンも上場を示唆し、今回はランボルギーニ。
それにしてもランボルギーニの評価額が上場時のフェラーリに並んだというのは驚きではありますが、利益率もそれに並ぶ、というのはちょっと驚き。
なお、ランボルギーニは現在株式非公開なので営業利益率はわかりませんが(売上高は公開されているが、利益は公開されていない。平均販売単価は3070万円)、おおよそ計算できる範囲で2018年における自動車メーカー各社の利益率を計算してみると下記の通り。
なお、公開されている範囲でわかる「1台あたりの平均販売単価」3070万円に、ブルームバーグの言う「将来的な利益率30%」をかけると、ランボルギーニ1台あたりの利益は900万円ということになる
・フェラーリ・・・1060万円(販売平均単価は4600万円) ・アストンマーティン・・・246万円 ・ポルシェ・・・208万円 ・メルセデス・ベンツ・・・55万円 ・トヨタ・・・21万円 ・フォルクスワーゲン・・・6万円 |