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日産が「カーボン製エンジン」に関する特許を出願!軽量化に加えて耐久性や熱効率も向上するなど成果を期待できそう。GT-R後継モデル、NISMO専売モデルに搭載希望

日産R35 GT-R

| ただし問題はその製造コストと難易度であり、まず量産は期待できない |

さらに「特許が出願されたから」といって実用化されると決まったわけではない

さて、日産が「世界知的所有権機関に対し、カーボンファイバー製エンジンシリンダーブロックの特許を出願した」との報道。

出願の内容としては「メタル製のシリンダースリーブを持ち、その周辺をカーボンファイバー含む複合素材で構成する」というもので、特許の概要としては「メインブロックに接着される樹脂製の外装部材 」。

そしてこのメインブロックにはシリンダーが収められていますが、ここは金属で構成されており、「燃焼や摩擦が生じる」ことを考慮するとこれは至極当然のことと思われます(アルミ製エンジンであっても、多くの場合はスチール製のスリーブが挿入されて摩擦に対応している)。

カーボン製エンジンブロックの目的は軽量化と耐久性?

なお、日産はこの特許の目的について触れておらず、しかし軽量化と耐久性向上がその主眼だと捉えるのが妥当かと思われます。

構造を見るに、上述の通りメインブロックは金属製で、アウターメンバーが樹脂製となり、その隙間を(冷却水が通る)ウォータージャケットとして活用しており、このウォータージャケットがケーシングを構成するカーボンファイバー(または他の複合材料)を断熱することになるという構造を持つもよう。

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一般に、複合素材は非常に軽く、かつ頑丈だとされるので、この新しい特許によって日産はエンジンの軽量化と耐久性・信頼性向上を獲得できることになるかと思われますが、一方で気にしなくてはならないのが「熱問題」。

上述のようにウォータージャケットによってカーボン製アウターメンバーが保護されるものの、万が一高熱になって燃えてしまうと手がつけられない状態となってしまい、ここには細心の注意を払う必要がありそうですね。

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なお、日産はこの特許にて「(カーボンファイバー含む)複合材料のアウターメンバーが金属と同じ速度で温まることはない」と指摘しており、カーボンファイバーへの熱の影響は最小限に抑えられ、逆に「金属製のメインブロックに熱を集中させることができるので」始動後すぐにエンジンを最適な動作温度にすることができ、不十分な潤滑による早期摩耗のリスクを低減することもできるのだと思われます。

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こういったカーボン製パーツは金属のように「鋳造」ができず製造コストが非常に高いという難点はあるものの、日産がNISMOから発売を検討しているというスーパースポーツなど「少量生産の」ハイパフォーマンスカーには非常に有用であり、今後の実用化が待たれるところでもありますね。

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参考までに、ランボルギーニは過去に「鍛造カーボンファイバーを使用したコンロッドなどのエンジンパーツ」を試作し実用化を目指したことがありますが、今のところ市販車にはこれを採用しておらず、よって様々な課題が残されているのかもしれません。※アフターマーケット製ではいくつかの製品が見られる

もうひとつ参考までに、AWAフォージドコンポジット社は「(鍛造カーボンファイバーを使用した)ピストンは金属製に比べて40%軽量化でき、熱伝導率が低いので、燃焼エネルギーがシリンダー内にとどまり、馬力の向上につながる」とコメントしており、こういった例を見るに、まだまだガソリンエンジンにも未来が残されているということがわかりますね。

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日産自動車は様々な特許を出願中

なお、特許検索プラットフォームにて日産が出願した特許を見てみると、その多くが「電動化と車両制御にかかわるもの」で、なかでもソリッドステートバッテリー(全固体電池)に関するものがチラホラ。

実際に日産は数年内にソリッドステートバッテリーのパイロット生産を開始するとアナウンスしていますが、なんだかんだで日産は様々な技術を追求しており、どこかでこれが「花咲く」ことになるのかも。

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そのほかだと自動運転技術に関する特許出願もかなり多く、日産が引き続きここに力を入れているということもわかります。

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参照:CARBUZZ

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