| これによって事故による後遺症は大幅に低減されるものと思われる |
現時点では実用化の時期は公開されていないが、まずはレクサスから採用されると考えるのが妥当かも
さて、トヨタはこれまでにも様々な(ときには「え?」と思うような)特許を多数出願しており、そして今回は非常に先進的なエアバッグに関する特許を出願したことが明らかに。
簡単に言うと乗員への衝撃を緩和したり頭部を保護するのみではなく、頭部全域を覆うように展開する新しい「上半身包囲型エアバッグ」ともいうべき構造を持つものです。
構造的にはエアバッグにてプロレス技の「ヘッドロック」を再現
今回公開された特許図面を見ると、シートの背もたれ(ヘッドラスト付近)にエアバッグユニットが内蔵され、それが事故の際に後ろからドライバーの頭を包み込むように飛び出してくるという構造を持つもよう。
ただしこれにはちゃんとした理由があり、というのも現在のエアバッグは頭部や胸部の傷害を防ぐのに十分な機能を備えているものの、首の保護という重要な分野ではいずれも有効性に欠けていたため(それでも十分すぎるほど役に立っている)。
今回トヨタが新しく出願した特許は、頭部の横方向の動きを抑制して乗員の頭部を安定した位置に保ち、乗員の首にかかるねじれ力を排除して、乗員の上半身と頭部の位置を一致させる(つまり頭がガックンとならない)ように設計されているため上述の欠点を緩和することができ、側面衝突においてはより効果的に首が保護され、斜めからの衝突では乗員の上部脊椎領域への影響を最小限にとどめます。
この特許は、一般的なエアバッグの設計とは異なり、エアバッグユニットをシートのヘッドレスト付近に配置するもので、かつその作動も特殊であり、エアバッグが乗員の周囲で形を整えるように段階的に展開します。
プリクラッシュセンサーは、衝突の数秒前に展開を開始するといい、これによって(事故の際のインパクトで)乗員の首の向きが大きく変わる前にエアバッグが適切な形状になるようサポートする(ヘッドロックをかける)わけですね。
トヨタの新型エアバッグはこう展開する
この新型エアバッグの展開ロジックについて、まずは横方向に展開することで、第1エアバッグ部はヘッドレストから乗員の頭部を越えてシートベルトのバックル位置と同じ側で車両前方に到達し、2回目の展開ではエアバッグの先端が伸びて乗員のもう片方の肩に向かって伸び、キャンバス地の小さなテザーによって「腕を曲げて乗員の頭を包み込むように」その形状を調整することに。
さらに第3の展開ステージでは、折り曲げられた箇所と車のルーフの間に別のクッションを挿入し、上方向への保護をさらに強化することになりますが、第一展開部にはショルダーパッドが内蔵されており、シートベルトによって「肩が固定されていない側の」上半身が回転しないよう乗員の身体をホールドします。
これらの拘束型エアバッグが配置されていれば、乗員の上半身と頭部はしっかりと(ずれないよう)保持され、さらに他に装着されるエアバッグとの相乗効果によって乗員の保護が飛躍的に強化されることになるため、安全性のスコアが確実に向上することになり、生存率の向上、事故による後遺症の軽減、はては保険料の引き下げに繋がる可能性を期待できそうですね。
出願内容によると、この新しいエアバッグは既存のフロントエアバッグ、サイドエアバッグ、カーテンエアバッグと連動するように設計されており、現在使用されているエアバッグと置き換えるのではなく、補助的な機能を果たすことになるもよう。
今のところ実用化の時期についてはアナウンスがないものの、おそらくはレクサスブランドなど高級車群から採用されることになるものと思われます。
参考までにですが、自動車史上はじめてエアバッグを装着した市販車はメルセデス・ベンツSクラスで、北米市場での最初のエアバッグ装着メーカーはポルシェ。
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そして現代ではシートにもエアバッグが内蔵される例が増えており、さらにはシーターやベンチレーション、はたまたマッサージ機能などが装備されることで非常に重くなっており、BMWによれは「昔に比べると(一脚あたり)40kgは重くなった」という報告もなされています。
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参照:CARBUZZ