| 中国のビジネスにおける基本戦略は「差別化」ではなく「模倣」である |
よってヒット商品が出ればすべて「右へ倣え」に
さて、ぼくがいつも思うのが「最近の中国車はどれも同じようなデザインばかりになってきたな」ということ。
かつて中国車というと、日米欧の自動車メーカーのクルマをコピーしたデザインが多かったものの、現在中国では(中国車が)独自の進化を遂げており、中国の市場に好まれるスタイルへと進化しています。
そしてこの「中国好みの」スタイルがいつどこでどう決定したのかはわかりませんが、まさに”右へ倣え”状態となっていて、中国の新興自動車メーカーはこのスタイルを模倣する、つまり中国車が中国車をコピーする時代に突入したわけですね(日米欧のクルマは、もはや中国の自動車メーカーにとって”コピーする価値”すらなくなってしまったということなのだろう)。
そして一番上の画像が「いま中国でウケているスタイルのクルマ」を集めたもので、いずれも(驚くべきことに)異なるメーカーのクルマです。
左上はNIO(ONVO)L60、右上はポールスター4(資本は中国の吉利汽車)、左下はJiyue01、右下はシャオペン モナM03。
Step into the AI-powered future of mobility: #XPENGMONAM03 SALON LIVE Talk
— XPENG (@XPengMotors) July 2, 2024
Date: Thursday, July 4, 2024
Time: 6 P.M. (GMT+8) | 12 P.M. (CET) | 6 A.M. (ET)
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果たして中国人はこれらの区別がつくのであろうか
さらに中国で好まれるのは「セダン」「セダンとSUVの中間あたりのクロスオーバー」というボディ形状であり、かつそこそこのボディサイズを持つ4枚(もしくは5枚)ドアに集約され、日本のように「コンパクトカーやミニバン」の人気があるわけではなく、さらにはオープンカーやスポーツカー、クーペは「除外」していいくらい売れてないセグメントです。
こういった事情もあり、いずれの新興自動車メーカーも「まず発売するのは(一番売れる可能性が高い)セダン」ということになり、「グリルレス」「ロワーグリルの台形デザイン」「フラッシュマウントドアハンドル」「ツルっとした表面」「コンパクトなヘッドライト」という共通する特徴を持つこととなるわけですが、こういった「同じようなクルマばかり」になってしまうもうひとつの理由について、「中国の自動車メーカーの開発速度の早さ」が挙げられると考えています。
Xiaomi SU7 cruising through the woods - that's how I #CatchTheGreen. How do you catch yours?
— William Lu (@WilliamLuXiaomi) June 17, 2024
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どういうことかというと、中国の自動車メーカーは企画から発売までの時間が「異常に」短く、いずれのメーカーも人気商品が(ほかのメーカーから)出た場合、それをすぐに模倣して市場に投入するという性質があり、これは「スピード」を何よりも重視する中国のビジネススタイルに起因するのかもしれません。
実際のところ、自動車以外でもSHEINやTEMUなどのアパレル、ライフスタイルグッズでも同じことが言え、ある意味では売れているものをスピーディーに真似て生産し、他よりも安く提供するという手法がひとつの主流だと言って良さそうです。
そして今までは「コピー元」が日米欧の製品であったものの、今では中国製品がターゲットとされているのだと考えられます。
With a front face as exquisite as a finely polished sculpture, #HyperHT exudes a distinctive, enchanting allure. With a natural, raw essence - reminiscent of precious gemstones - #HypeHT will captivate onlookers with its sophisticated stance. #GACINTERNATIONAL… pic.twitter.com/n3XjW6VHoZ
— GAC MOTOR (@GAC_MOTOR) May 11, 2024
さらには市場の特性も影響しているものと思われ、たとえば日本だと模倣品はあまり好まれないものの、中国市場では模倣品に対する抵抗感が薄いのかもしれません(模倣を模倣だと思っていない可能性もある)。
しかも中国車はその名称もよく似ている
そして中国車が「似ている」のはそのスタイリングだけではなく名称も同様で、基本的には「アルファベットと数字」で構成されることが大半であり、ざっと思いつくものを並べてみるとMG3、iCar 03、バオ3、ディーパルG3、モナM03、ディーパルS05、ハーバルH6、シャオミSU7、アバター07、ito M7、ラクシードR7、IM LS7、ヤンワンU7、ヤンワンU8、バオ8、ギャラクシーE8、Tiggo 8、イーパイ008、チェリーS9、ヤンワンU9、シャオペンX9、Zeekr 009、デンザN9、GAC ES9など。
ここから「ヤンワン」「ディーパル」「シャオミ」「アバター」「Zeekr」などのメーカー(ブランド)名を取ってしまうと「M7」「SU7」「U7」「R7」といった似通った車名ばかりとなってしまい、正直言うと「車名とクルマとを関連付ける(要は”覚える”)のが非常に困難です。※稀にBYD”ドルフィン”などの海洋シリーズ、漢、唐、元、宋といった王朝シリーズのように、名前を持つものも存在する
Good news never stop!Yinhe E8 Wins A' Design Award!By integrating technological capabilities and design beauty into one, it continues to shine on the international design stage.
— Geely Auto (@GeelyAutoGlobal) April 23, 2024
Let's expect Geely to deliver the experiences that exceed expectations to global users!#GeelyAuto pic.twitter.com/szkG4KfLyV
こういった状況だと、たとえば知人と「U8いいよね」と話をしていても、相手が自分の指しているU8だと正しく認識しているかどうかはわからず(E8と混同しているかもしれない)、そのまた逆もしかりで、このネーミングで問題ないのだろうかと不安になったりするわけですね。
ただ、上述の通り、中国のメインストリームは「差別化」ではなく「模倣」であり(すべての自動車メーカーがそうではない)、よってどこかが新しい命名法則を持つヒット商品を出さない限り、この流れが続くことになりそうです。
Youthful, vibrant, and bursting with personality! #AIONY offers a selection of 7 trendy colors and 5 customizable interior designs. Which one is catching your eye? Comment below and share your favorite
— GAC MOTOR (@GAC_MOTOR) May 20, 2024
*Depend on the specific models sold by local distributors.#GACINTERNATIONAL… pic.twitter.com/iN9LqMOciA
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参照:CarNewsChina