>韓国の自動車メーカー

45年前から来た「ヒョンデの救世主」、ポニークーペを現代風に解釈した「N Vision 74」発表!やっぱり優れたデザインは会社の未来をつくるようだ

ヒョンデが45年前のコンセプトカーを現代風に解釈した「N Vision 74」を発表!ヒョンデの運命を決定づけ、躍進のきっかけを作った「ポニークーペ」とは

| まさかたった一台のコンセプトカー「45EVコンセプト」がヒョンデの運命を変えてしまうとは |

ボクはこの一連の出来事をけして忘れないだろう

さて、元ランボルギーニやベントレーなど欧州プレミアムブランドのデザイナーを多く抱え、量販車というくくりにおいて、デザイン的には現在最も評価すべき自動車メーカーだとぼくが考えているヒョンデ(旧ヒュンダイ)。

日本市場にも「アイオニック5」とともに再参入を果たしていますが、このアイオニック5は世界中で大きなヒットとなっており、アメリカ市場に置いてもマスタング・マッハEに次いで「4番目に売れているEV(たぶんすぐにマッハEを抜くだろう)」となるなど恐ろしい勢いを見せています。

ヒュンダイの新型EV、アイオニック5が欧州でも爆発的人気
ヒュンダイの新型EV、アイオニック5が欧州でも爆発的人気!2020年に欧州でテスラが販売した台数の2.4倍の予約を数日で獲得、何がそんなにスゴいのか?

| アイオニック5は「テスラキラー」最右翼と見られるが | さて、先日は「韓国にて、ヒュンダイ(ヒョンデ)アイオニック5の今年生産分が1日で完売」とお伝えしましたが、今回は欧州でも大人気というお話。具 ...

続きを見る

ヒョンデはコンセプトカー「N Vision 74」を発表

そして今回、そんなヒョンデがもっとデザインを意識したコンセプトカーN Vision 74」を発表。

これはジョルジェット・ジウジアーロによって1974年にデザインされたコンセプトカー、ヒョンデ・ポニークーペへのオマージュとなっていますが、これは当時設立されたばかりのヒョンデが将来のビジョンを思い描いたものだとされています(実際に発売には至っていない)。

ちなみに「ポニー」という(もっと普通の3ドアハッチバックの)クルマは実際に発売されており、ポニークーペはその「クーペ版」として考えられているわけですね。

参考までにですが、いくつかの自動車メーカーがアメリカ市場へと参入するにあたり、「ポニー(ヒョンデ)」「コルト(三菱)」など馬にまつわる名称を用いており、これは当時絶大な人気を誇ったマスタングにあやかったものだと思われます。※アメリカ人からすると顰蹙モノだったそうだ

2022-Hyundai-N-Vision-74-1

ヒョンデ・ポニーコンセプトは45年後のヒョンデに大きな転換期を与える

なお、このポニー・コンセプトはヒョンデにとってその歴史上忘れることができないクルマとなる可能性があり、それは「45年後にヒュンダイの方向性を大きく変え、その未来を築くことになったから」。

どういうことかというと、まずこのポニークーペは上述の通り、1974年にジウジアーロによってデザインされています。

ちなみにジウジアーロ自身、このクルマが「のちに自身がデザインするデロリアンDMC-12に大きく影響を与えた」ともコメントしていますね。

hyundai_pony_coupe_concept_6

ヒョンデ45コンセプト
ヒュンダイは1974年に「デロリアンの元」を発表していた!そしてその45年後に「45EVコンセプト」としてリバイバル

| しかもデザインには「45度」の角度を多用している | ヒュンダイがしばらく前からティーザーキャンペーンを行っていたコンセプトカー、「ヒュンダイ45EVコンセプト」がフランクフルト・モーターショーに ...

続きを見る

そしてその45年後、つまり2019年にヒョンデが発表したのが「45EVコンセプト」。

これは「ポニークーペの45周年」を記念して発表されたもので、レトロさを取り入れつつ、「45」を全身であらわすべく「45度」の角度にて構成されたクルマです。

hyundai-45-concept (3)

当時このコンセプトカーは市販予定がなく、ヒョンデの過去と未来とをつなぐデザインスタディにとどまると言われていたものの、発表されるやいなや尋常ならざる反響があり、そこでヒョンデはこの45EVコンセプトを「アイオニック5」として発売することとなったわけですね。

ヒュンダイがレトロフューチャーなEV、アイオニック5を発表
ヒュンダイがレトロフューチャーなEV、アイオニック5を発表!ヒュンダイじゃなかったら買う気になったのにな・・・。

| もともとは50年近く前にジウジアーロがデザインした「ヒュンダイ・ポニー・クーペ・コンセプト」 | さて、ヒュンダイ(ヒョンデ)が先日より予告していた新型車、IONIQ 5(アイオニック5)を公開。 ...

続きを見る

ただ、そこだけで話は終わらず、ヒョンデはそれまで「モデルごとに個別のデザインを与え、欧州車メーカーのように金太郎飴的デザインを採用しない」とコメントしていたわけですが、このEV45コンセプトおよびアイオニック5の「過去最大級の評価」によってその方向性を変更し、デザインスタディとしてではあるものの、過去の「グランディア」をレトロフューチャー風、そしてアイオニック5風のピクセルLED採用にてレストモッドしたことも(こちらも評判次第では市販されていた可能性が高く、しかし二匹目のドジョウとはならなかった)。

ヒュンダイはレトロルックを追求?1986年に発売した最高級車「グランディア」を自ら最新技術を用いつつもレストモッド。ディストピア映画に登場しそう
ヒュンダイはレトロルックを追求?1986年に発売した最高級車「グランディア」を自ら最新技術を用いつつもレストモッド。ディストピア映画に登場しそう

| やっぱりヒュンダイはなかなかやるじゃない | コンセプトカーといえど、現在のヒュンダイ車に採用される技術との関連性もあるようだ ヒュンダイ(ヒョンデ)が自社にて1986年にデビューした(当時の)フ ...

続きを見る

さらにはポニークーペの「元」であるポニーがヒュンダイのデザインチームによってレストモッドされていて、45EVコンセプト人気にあやかった公式コンセプトがいくつか登場することに。

ヒュンダイ・ポニーEV
スピードメーターはなんとニキシー管!ヒュンダイが1970年代に製造していた自社のクルマ「ポニー」をレストモッド

| なかなかやるじゃないかヒュンダイ | さて、意欲的に新型車そしてコンセプトカーをリリースするヒュンダイより、「ポニーEVコンセプト」が発表に。※残念ながらワンオフのコンセプトカーこのポニーEVは、 ...

続きを見る

ヒョンデ「N Vision 74」はこんなクルマ

すっかり前置きが長くなったものの、こんな感じでヒョンデ・ポニークーペが「45年後に」ヒョンデのイメージを大きく変え、ヒョンデの方針すら覆し、さらには大きく販売に貢献し、あまつさえ日本へと再参入するための武器となったことがわかると思います。

そしてヒョンデはさらにそのイメージを利用すべく発表したのが「N ヴィジョン74」というわけですね。

2022-Hyundai-N-Vision-74-20

もちろん「74」とは1974年当時のポニークーペ発表年を示し、N ヴィジョン74のデザインもポニークーペを現代風に再現したもの。

2022-Hyundai-N-Vision-74-2

そして最新のコンセプトカーらしく、N Vision 74は、バッテリー駆動システムと水素燃料電池を組み合わせたハイブリッド水素パワートレインを搭載しているという設定です(ヒョンデは水素にこだわる数少ない自動車メーカーの一つ)。

なお、状況に応じ、この2種類の駆動方式を使い分けることができるようですね。

2022-Hyundai-N-Vision-74-3

そしてヘッドライトはもちろん・・・。

2022-Hyundai-N-Vision-74-14

テールランプもピクセルLED。

2022-Hyundai-N-Vision-74-15

機能的には「先進的なトルクベクタリング」による優れたトラクション、そしてドリフト含む「コーナリング体験」が可能なのだそう。

2022-Hyundai-N-Vision-74-16

ちなみにこの「ハイブリッド水素パワートレイン」については実用性も考慮されており、5分で充填できる水素燃料タンクと800Vの急速充電が可能な62.4kWhのバッテリーパックにより、N Vision 74の航続距離は約600km。

最高出力は680馬力 / 900Nm、最高速度は250km/hというスペックを誇ります。

2022-Hyundai-N-Vision-74-8

ヒョンデによれば、他モデルと同様に、インテリアにおいても初代ポニーコンセプトのレガシーと現代性とのバランスを取っているといい、ドライバーを中心としたコックピット構成、そして昔ながらのアナログボタンとデジタルメータークラスターを融合させたものだと紹介されています(今回画像は公開されていない)。

2022-Hyundai-N-Vision-74-12

ヒョンデにてデザインセンターを管理するサンヤップ・リー氏によると「N Vision 74の未来志向なデザインは、ポニークーペコンセプトに込められた献身と情熱に対する敬意と感謝を反映したものです」とのことですが、現代のヒョンデのデザインチームは「過去のヒョンデがポニークーペを作っておいてくれてよかったな・・・」と心から思っているのかも。

2022-Hyundai-N-Vision-74-11

とにかくこの一連のできごとは「45年前のコンセプトカーをリバイバルし」そのデザインがあまりに高い評価を得たために市販されるばかりか従来の方針をひっくり返して新しい戦略を上書きさせ、さらに販売にも直結するという(ヒョンデだけではなく自動車業界的に)稀有な例であり、ポニークーペは文字通りヒョンデにとっての(45年という時を超えてやってきた)救世主であり、そして「やっぱりデザインって大事だなあ」と感じさせられる例でもありますね。

ヒョンデ Nヴィジョン74を紹介する公式動画はこちら

合わせて読みたい、ヒョンデ関連投稿

ランボルギーニ・ムルシエラゴをデザインした現ヒュンダイのデザイナー「金太郎飴はつまらない」

| ヒュンダイ「我々はデザインが強みの会社」 | 現在、メルセデス・ベンツやBMW、アウディは異なるモデルでも同じ顔つきを採用する「金太郎飴」戦略を推進中。 これらジャーマンスリーは欧米や日本では確固 ...

続きを見る

ヒュンダイ(ヒョンデ)のエンブレム「H」はホンダのパクリではなかった!H社「あれは人と人が握手をしている図」

| ヒュンダイのエンブレムは”ホンダと間違われないように?” | ヒュンダイのエンブレム「H」は「人と人とが握手をしている状態をあらわしている」という記事がJalopnikに。その「人と人」とは「顧客 ...

続きを見る

参照:Hyundai N Worldwide

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->韓国の自動車メーカー
-, , , , , ,