ベトナム初の自動車メーカー、ヴィンファストが米証券取引所に上場を申請。2017年に創業した後2019年には一号車を発売、現在はEVメーカーへと華麗に変身

｜　まさか最初にプロジェクトが持ち上がったとき、ここまで成長するとは思ってもみなかった　｜

ヴィンファストはベトナムのみにとどまらず、販売地域を世界中に拡大中

さて、ベトナム初の自動車メーカー、ヴィンファスト（VINFAST）。

2017年に創業し、2019年には第一号車を発売するといったスピード展開を見せていますが、ここまで速くクルマを発売できたのはBMWなどから技術や生産設備を購入したり他社の工場を買い取っているためで、これはこれでスマートなビジネススタイルだといえるかもしれません。

ただ、自動車メーカーをスタートさせるというのは簡単なことではなく、創業以来ずっと赤字が拡大しており、しかしこの状態でもニューヨーク証券取引所に上場（新規株式公開＝IPO）する、という報道がなされています。

ヴィンファストの直近の赤字額は800億円

なお、ヴィンファストが米国当局へと提出した報告書によると、2023年第1四半期の純損失は5億9900万ドル（約800億円）に拡大したといい、これらの損失は、同社が工場を設立し、マーケティング、販売、サービスのための費用を支払いつつ、さらに生産を拡大したことによるものだとされています（つまり前向きなものである）。

ヴィンファストはベトナム一の富豪であるファム・ニャット・ヴオン氏の支援を受けて設立されていますが、2017年の設立以降、親会社のVingroup JSCおよびその関連会社、さらに外部の出資者からあわせて合計93億ドルが投じられているといい、しかし2023年現在でもまだ黒字化がなされていない状態です。

ファム・ニャット・ヴオン氏によれば、2024年末までに収支が均衡する可能性があり、2025年以降には黒字化するとも述べていますが、現時点では比較的販売が強調だとされ、このまま推移すれば本当に黒字化を果たしてしまうかもしれません。

ヴィンファストは内燃機関の販売を終了させEVメーカーへ

報道によると、ヴィンファストは、7月20日までに特別目的買収会社であるブラックスペード社（Black Spade Acquisition Co）との合併取引を完了し、今年後半には株式公開（SPAC上場）する予定だといい、上場によってヴィンファストの株式価値は約230億ドルになると見られていますが、ここで投資者は一気に投じたお金を回収し、さらに利益を得ることができることになりそうです。

なお、ヴィンファストは内燃機関車の販売を終了させ、2023年第1四半期には（昨年同期比は6,100台販売していた）内燃機関車が28台にまで落ち込んでおり、これによって2023年第1四半期には売上高自体も前年同期比で49％減少。

ただしこれは事業転換のための一時的な落ち込みだと考えられ、ヴィンファストは今後EVに特化することで今年中に45,000〜50,000台（のEV）を販売するとも報じられています。

先行きに懸念があるとすれば”EVメーカーへの転換による研究開発費の増加”で、現時点でもすでに前年同期比40％の増加を見せているため、これを吸収できるかどうかは今後の販売状況いかんによって変わってくるのかもしれません。

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