EV市場は「嵐の前触れ」？ポールスターが販売計画を8万台から6万台へ下方修正、成長はしているものの「成長に急ブレーキ」

｜　現在、「なかなか利益の出ない」EVに対する投資計画を見直す自動車メーカーが続出　｜

しかしEVしか持たないメーカーはなんとかしてEVを売らねばならない

さて、先日はトヨタ自動車会長、豊田章男氏がEVの販売失速に対し「ようやく人々がEVに関して現実を見るようになった。私が言ったとおりになった」というコメントを発して話題となりましたが、実際のところフォルクスワーゲンはバッテリー建設計画を一部破棄し（さらにはEV製造工場も一時休止させている）、GMとホンダも共同開発による新型EVの開発を白紙撤回するなど、ここへ来てEVの需要減速が鮮明となっています。

さらにはフォード、リビアンもEVを1台販売するごとに大きな赤字を計上するという状態から脱することが難しく、よってフォードは「EVへの投資を縮小し、利益に出やすいハイブリッドに注力する」というコメントを発したのも記憶に新しいところですね。

電動化の雄、ポールスターも販売計画を下方修正

そして今回はエレクトリックブランドとして展開中のポールスターが（第3四半期決算の発表の際に）販売目標を引き下げると発表しており、具体的には今年5月の段階で「2023年には8万台のEVを販売する」としていたものの、この発表ではそれが6万台に（わずか半年でここまで見込みを下げているところを見ると、販売に急ブレーキがかかったと考えていい）。

ポールスターは第3四半期に13,976台の車両を納入し、これは前年同期比51%増加となるものの、第2四半期に納入した15,765台よりも少なく、これは同ブランドの量販モデルであるポールスター2に対する需要の減退が原因であると見られています。

ただ、ポールスターは前評価の高い「ポールスター4」の生産を中国の杭州工場にて開始したばかりであり、これは12月以降に納車が開始されると言われているので、今年の販売台数全体には大きく貢献しなくとも、来年の販売台数を大きく引き上げることになるのかもしれません。

ポールスターは利益率も「半減」

加えてポールスターは2023年通年での利益率も当初予想の半分となる2％になるという見通しを示していて、しかし収益は2022年第3四半期から41%増加して6億1,300万ドルとなっているため、その中身としては悪くはなく、マイナス成長ではなくちゃんとプラスに転じているものの、その成長が鈍化しただけだと捉えるのが妥当かもしれません。

なお、利益率が伸びなかった理由としては、主にフルタイム従業員の人件費の増加とポールスター5用の電気アーキテクチャ変更によって研究開発費が3,000万ドル増加したことを挙げており、一方でボルボと吉利汽車から合計4億5,000万ドルの追加の定期融資を確保し、貸借対照表に9億5,100万ドルの現金を残して第3四半期を終えたことについても言及しています。

そしておそらく、2024年には上述のポールスター4の販売がフルに寄与し、さらに2025年にはポールスター5の販売も加わるものと思われ、今後は大きく販売台数と利益を伸ばすことになるものと思われます。

参考までにですが、ポールスターはボルボやロータスとともに現在中国の吉利汽車（Geely）傘下に属しており、そしてこの吉利汽車は話題のZeeker（ジーカー）を展開していますが、このジーカーは赤字が拡大したと報じれられたばかり。

このほかにも中国の新興EVメーカーでは利益を落とす例が増えているという報道も見られ、EV市場は現在「嵐の前触れ」といった状態なのかもしれませんね。

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参照：Polestar, etc.