| 北米ではやはり「日本車は改造してナンボ」のようだ |
さて、25年ルール対象となり相場が高騰しているのがR33スカイラインGT-R。
今回は北米にて日本車(JDM)の輸入を専門に行うVistec R Importsが「ヴェイルサイドR33 GT-Rコンバット・エボリューション・ワイドボディ」を販売中。
この車両はR33スカイラインGT-Rをベースにヴェイルサイドがチューン&カスタムを施したもので、驚くべきことに販売価格は120,000ドルに設定されています(邦貨換算で1300万円くらい)。
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改造車は海外に輸出したほうがいい?
販売元によると、この車両は数々の雑誌に登場し、1996年の東京オートサロンにてMVPを獲得したとあり、たしかにヴェイルサイドのサイトには受賞歴として記載されているようです(ただしコンバットではなくCE-I)。
いかに雑誌等での紹介履歴やイベントでの受賞歴があるといえどもこの価格はかなり強気(新車のR35 GT-Rよりも高い)。
日本だとこういった改造車は二束三文となるものの、北米だと改造に関する規制がユルいということ、そして日本車は改造してナンボという考え方があるようで、むしろ「日本のチューナー、日本のパーツで改造された」クルマのほうがハクがついていいのかもしれません(25年ルール対象の改造車を売るときは、海外にパイプを持つ業者に売ったほうが良さそうだ)。
この車両はヴェイルサイド製のコンバットエボリューションキットを装着しており、フロントバンパー、カーボン製ボンネット、カーボン製ドア、前後ブリスターフェンダー、サイドステップ、リアバンパー、リアウイングがその内容(インテリアだとヴェイルサイド製ステアリングホイール/シフトノブ/シートが装着済み)。
エンジンまわりだと東名パワード製のウォーターポンプ、カムシャフト/ギア、タイミングベルト、N1仕様のクランクシャフト/オイルポンプ、グレッディ製インタークーラー、ブリッツ製ラジエター/ブローオフバルブ、オイルクーラーが装着され、そのほかARC製エアインテーク、ニスモ製強化クラッチ、ブレンボ製ブレーキシステム、オーリンズ製サスペンション、ヴェイルサイドオリジナルのエキゾーストシステムやホイールなども組み込まれています。
この「R33 GT-Rコンバットエボリューション」は何台かが作られたようで、HKS製パーツでエンジン廻りを固め、ブレーキシステムにエンドレス製を選んだ個体も存在するようですね。
なお、ヴェイルサイドは1990年に創業したチューナー/カスタムパーツメーカー。
ヴェイルサイド(VeilSide)のネーミングは創業者の横幕氏の名に由来するもので、その名を英語表記「横(Side)幕(Side)」としたもの※ブリジストン(石橋=BridgeとStone)と同じネーミングパターン
1990年というとちょうど日産R32GT-Rが登場した時期で、「チューニングがビジネスとして成立するようになった時代」です。
ヴェイルサイドのキャッチコピーは「知性的な美の創出と、全体の形を頭で創造し、強い芯の通った表現力、細部にまでこだわり全てに意味を持ち独自のスタイルを崩さないヴェイルサイドのカスタムをあなたに」。
なお、その年代はぼくが思いっきり車のチューンやカスタムに情熱を傾けていた時代だったので、ヴェイルサイドのことは当時からよく知っており、やはり有名だったのはフェアレディZ(Z32)やマツダRX-7(FD3S)のカスタム。
独特の「流線型とエッジとを組み合わせた」スタイルは斬新であり、それが目に留まったのか映画「ワイルド・スピード」初期3作品にて車両製作を手がけたことでも知られ、ハンのドライブした「RX-7フォーチュン」、ドリフトキングことタカシの愛車であったフェアレディZもヴェイルサイド製のエアロパーツを装着しています。
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そして日本車ブームのきっかけが「ワイルド・スピード」だとされ(その前にもスポコンブームはあった)、その影響なのか、おそらくは「カスタム/チューンされていればされているほどいい」というのが北米でのJDM事情だと思われますが、車体のみではなく日本製のチューニングパーツも相当な人気となっているものと思われます。
ただ、こういった人気に便乗し、盗難車や盗難パーツを輸出/販売する業者も多く、このあたりはせめて輸出を水際で食い止めるなど、なんらかの(政府や官公庁、業界単位での)対応が望まれるところですね。
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参照:Vistec R Imports, Veilside