| おそらくガソリン時代にはエアロダイナミクスよりも優先すべき課題があり、そこに手を付けなくとも燃費改善ができたものと思われる |
様々な情報を総合すると、ノイエクラッセはかなり画期的なクルマとなりそうだ
さて、BMWは「カーボンニュートラルのための手段を電動化のみだと考えるべきではない」という声明を発しているものの、その一方で来たるべき電動化に向けて積極的にエレクトリック化を進めているのもまた事実(これは、同じように電動化オンリーに疑問を投げかけつつ、電動化に及び腰なトヨタと異なる部分でもある)。
そしてBMWは2025年に「新ノイエクラッセ」と呼ばれる新しいEVラインアップを導入する計画を持っており、これについて今回新たな報道がなされています。
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ノイエクラッセは最大1,341馬力、800Vアーキテクチャを採用
今回BMWは「サステナビリティ・スルー・イノベーション」なるイベントを開催しており、ここで同社の最高技術責任者であるフランク・ウェーバー氏がいくつかの計画を示しており、 "ノイクラッセは大きな技術的飛躍を遂げる "とも。
そしてその飛躍の中心となるのが、各車両に搭載されるバッテリー技術ですが、角型セルの代わりに円筒型セルを使用し、20%高いエネルギー密度、30%優れたパッケージング効率、最大30%の急速充電と航続距離をそれぞれ実現することについて言及しています(これはテスラ、そしてリマックが導入するバッテリーを同様のものだと思われる)。
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さらに、その出力は268英馬力(271仏馬力 / 202kW)から最大1,34英馬力(1,359仏馬力 / 1,013kW)に達するといい、バッテリーパックは75kWhから最大150kWhまでの搭載が可能だとされています。
加えて、800ボルトのアーキテクチャを採用したおかげで、充電も(従来のバッテリーに比較して)速くできるとアナウンスされており、BMWによれば一回の満充電当たり最大の航続可能距離は約600キロ。
BMWはその技術力を生かして効率性を追求する
「セルのパワーを大きくして航続距離を伸ばすことは、サイズと重量のペナルティが逆効果になるため、解決策にはなりません。その代わりに、転がり抵抗をさらに減らし、空気力学を改善し、車載エネルギー効率を高めることで、すべてのエネルギーを最大限に活用しなければならないのです」とも述べていますが、つまりこれは”バッテリーサイズを大きくするとクルマが重く高価になるので、その他の方法で航続距離を伸ばす”という意味だと考えてよく、メルセデス・ベンツと同様の手法だと言えそうです。
なお、主に中国の自動車メーカーは、その製造コストの安さを武器にバッテリー容量を増加させて航続距離を稼ぐ傾向が見られますが、ここに既存自動車メーカーと新興自動車メーカーとの差があり、「バッテリーサイズ以外の分野で達成できる効率化」は、既存自動車メーカーがそのノウハウをもって優位性を発揮できる部分なのかもしれませんね。
実際のところBMWは「そのような効率を達成するためには、巧みな設計が必要です。ノイエクラッセのクルマは、あらゆる面で手を抜かない画期的な取り組みになるでしょう。さらに、ノイエクラッセでは、エアロダイナミクスの面で25パーセントの改善を実現することになります」とも語っていますが、ちょっと驚かされるのは、ガソリン時代においてもエアロダイナミクスの追求を行っていたはずではあるものの、それでも「まだ25%も改善できる余地があったのか」ということ(これはBMWに限ったことではないものと思われるが)。
ただ、ガソリン車の場合は、効率性を追求するに際し、エアロダイナミクスよりも優先すべき課題があり、そこまで手が回らなかったのかもしれませんね。
加えてBMWは不必要なスペックを追求することはないとも以前にコメントしており、あくまでも「現実的に必要な範囲に」バッテリーサイズを収め、あらゆる要素のバランスを追求することで効率化を達成することになるのだと思われます。
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参照:Car Magazine