| それではいったい中国で生産し、「在庫」となっている車両をテスラはどうするのか? |
相変わらずテスラの行動は謎が多いが、もちろん行動には理由があるはず
さて、現在テスラにとって最大の生産工場「ギガ上海」では、計画された生産能力を大きく超える(およそ40%増しの)台数を製造しており、それは中国内での注文、そしてそこから想定している輸出予定台数を超える台数だとされ、つまり「過剰」な台数を作っていると報じられています。
そして今回ロイターが「計画を知る2人の人物」からの情報だとして「テスラは中国にて生産した車両をアメリカへと輸出しようとしている」と報じていますが、この報道を(ツイッター上で見た)イーロン・マスクCEOは一言だけ「False(間違い)」とコメントすることに。
なぜテスラは中国で生産したクルマをアメリカに?
なお、テスラが中国(上海)にて生産したクルマをアメリカに輸出する理由としては「アメリカ国内での急激なインフレ、それによる生産コストの上昇」「中国内での需要の減少」だとしていますが、報道によれば「テスラが中国製車両に供給する部品がすべて米国の規制に適合しているかどうかを調査している」、そして「まもなくアメリカへの輸出を開始する」。
ちなみに現在中国では生産ペースの増加、それとは逆に需要(受注)のスローダウンによって在庫が拡大しているといい、中国での(モデルYの)納車期間は7日にまで短縮されていると言われます。
一方アメリカでは強い需要に支えられ、納車まで50〜70日を要するとされていますが、順当に考えれば「受注ペースがダウンしている中国で生産を加速させている」のは供給が追いつかない国へと輸出することを前提としていると考えるのが妥当かもしれません(米国とカナダで販売されているテスラ車はカリフォルニア州フリーモント工場とテキサス工場で生産されている)。
しかしながら今回、イーロン・マスクCEOがきっぱりこれを否定したということは「アメリカには中国産テスラを入れない」ということになり、となると中国で作りまくって「余剰」となりつつある車両をどうするのかはちょっと気になりますね。
テスラはカナダとメキシコにも工場建設を計画
なお、中国では中国のEVメーカーがたくさん出てきたために需要の変化が生じているのだと思われますが、アメリカやカナダではいぜんテスラの人気が高く、よって伸び続ける納車待ちの列を短縮するためにメキシコとカナダに工場を建設するという話もきかれます。
ちなみにアメリカでは「中国製の車両」を輸入した場合、25%の関税がかかるうえ、バイデン政権が導入した「インフレ抑制策」の一環としての(アメリカで生産されたEVに対する)減税措置を受けることもできなくなるので、いかにアメリカでの生産コストが上昇し、その生産台数が追いついていないといえど、「中国からアメリカに輸出する」というのは論理的ではないのかもしれませんね。
Exclusive: Tesla is considering exporting China-made electric cars to the U.S., a reversal that would reflect the automaker's deepening cost advantage at its Shanghai plant and slower demand from Chinese consumers https://t.co/GtovEdL7u0 pic.twitter.com/AtT4gpKD0V
— Reuters (@Reuters) November 11, 2022
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参照:Reuters