| コンセプトカーにおいては「左右非対称」はさほど珍しくはなく、しかし現実世界においては非常に珍しい |
メルセデス・ベンツが進む「ラグジュアリー」の方向性については再考させられる
さて、車両デザインを学ぶ学生、ByeongIn Oh氏が「メルセデス・ベンツ HAL/P コンセプト」なるレンダリングを公開。
これは(その発想から察するに)「ハーフ」と「ハープ」両方の意味を持たせたネーミングだと思われ、なかなかに魅力的な仕上がりを持っています。
「左右非対称」のクルマというとDSのコンセプトカー、DS X E-Tenseが思い出されますが、左右非対称のクルマというのは「ありそうでなく」、それは設計や生産の非効率さ、ビークルダイナミクスにおける不確実性に比較し、得られる視覚的効果が大きくないという理由からなのかもしれません。
ただ、「コンセプトカー」の世界においてはむしろその視覚的効果のほうが現実的な問題に勝ることとなり、ここでその”メルセデス・ベンツ HAL/P コンセプト”を見てみましょう。
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メルセデス・ベンツ HAL/P コンセプトはこんなクルマ
まず、デザイナーのByeongIn Oh氏が考えたのは以下のテーマ。
この思想に従い、メルセデス・ベンツ HAL/P コンセプトが誕生することとなったわけですね。
この車両のデザインの起源は、「象徴的な高級感」という概念に対する新たな視点から生まれました。 贅沢の意味を考えると、「お金持ち」を思い浮かべがちです。 この領域には、2 つの異なるカテゴリーが存在します。インスタグラムなどのSNSプラットフォームで自分の富を誇示することを好む見栄っ張りな人たち (彼らを「見栄っ張り」と呼びましょう) と、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグのような、見栄よりも裁量を好む真の裕福な個人です。。 私が気づいたのは、彼らは自分が持っているものを見せびらかさないということです。 「本当の贅沢」とは言い換えれば、「ささやかな、ささやかな贅沢」ということになります。 そこで私はこれを「Silent Luxury(サイレント・ラグジュアリー)」として再解釈しました。
そこで同氏は「アイコニックな要素」「ラグジュアリー」、そして「オープンスペース」「プライベート空間」といった異なる要素をひとつのクルマに内包することを考え、そこで考案された手法が「左右非対称」。
ただし正確に言うならば左右だけではなく前後のデザインも非対称であり、クルマを上から見ると「半分」ではなく、「斜め」に割ったイメージで異なる考え方を混在させているようですね。
そしてモチーフとして取り入れられたのが(車名からもわかるように)楽器のハープ。
ハープは横から見ると左右非対称、かつ斜め方向の構造材を持っており、まさにデザイナー氏が思い描くひとつの理想形であったのかもしれません。
かくして完成したのがこのメルセデス・ベンツ HAL/P コンセプトで、車体デザインにおいても曲線と直線、曲面と平面という異なる要素のハーモニーが追求されることに。
さらにはホイールカバーも「ハーフ」、そしてハープの弦をイメージしたディティールも。
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参照:ByeongIn Oh