｜ ポルシェがまさかクルマを踊らせるとは思わなかったが、そこには深淵な意図があるのかも ｜
このサスペンションが将来的にスポーツカーラインアップに搭載されるのは間違いない
さて、ポルシェがセビリアのモンテブランコ・サーキットにて新型パナメーラのメディア向け試乗会を開催し、そのサスペンションシステムが想像の遥か上を行っているとして大きな話題に。
これはいわゆるアクティブサスペンションではあるものの、その動きはこれまでのいかなるクルマに装着されたものよりも”強力”で、その結果としてパナメーラのボディを揺すったり、果てには”ダンス”することさえ可能となっています。
-
-
新型ポルシェ パナメーラ ターボS Eハイブリッドには「ガソリン車には搭載できない」HVならではのサスペンションが設定されている。今後911HVにも拡大か
｜ 今後、こういった「ハイブリッドありき」な新世代のコンポーネントが多数登場するものと思われる ｜ パナメーラはいつの時代も「最新」のテクノロジーをまとって登場するのが常であった さて、ポルシェは新型 ...
続きを見る
一輪あたり1,020kgもの圧力をかけることが可能
このサスペンションシステムに使用するダンパーには4輪それぞれ1,020kgもの反発力を加えることができるモーターポンプユニットが組み込まれ、これによってパナメーラは各輪ごとに「瞬時にダンパーを伸び縮み」させることが可能となっています。
この”ポルシェ アクティブ ライド”の尋常ならざる動きがが可能となったのは400ボルトという高圧で動作するシステムのお陰であり、そしてこれは「ハイブリッド」モデルに積まれる大容量バッテリー搭載という前提があってこそ（つまり、ガソリンモデルだとこのシステムを搭載することができない）。
そのため、こういった波状路であっても「サスペンション（ダンパー）を意図的に上下させて凸凹を吸収することで」車体を常にフラットに保つことが可能となっており、走行に際して「ロール、ピッチ、ダイブを完全に排除することが可能に」なるわけですね。
なお、注目すべきは、このサスペンションの動きによって「従来のサスペンションでは得られなかった場所でもグリップを生み出すことができる」こと。
ポルシェはこれを「動的輪荷重配分」と呼んでいますが、まず通常のクルマでは、旋回時にはコーナリング荷重が外側のタイヤに移動します。
この場合、内側のタイヤはあまり機能していなということになりますが、アクティブ ライドを使用すると、荷重を内側のタイヤに戻すことができ、4つのタイヤすべてがクルマの向きを変えるのに役立つことになり、グリップ力が大幅に向上するほか、荷重が分散されるためタイヤの摩耗が軽減されるという副次的効果も。※ダウンフォースも小さくて済むと考えてよく、となると空気抵抗を減らすこともできそうだ
いわば「物理の法則を捻じ曲げてしまうことすら可能」になるのがこのポルシェ アクティブ ライド サスペンションということになりますが、今後このシステムが小型軽量され、911のようなスポーツカーに搭載されることになれば、ニュルブルクリンクのタイムが驚異的に短縮されることも考えられます（実際、このサスペンションシステムは新型タイカン・ターボGTに搭載されており、ニュルブルクリンクでは倍の出力を持つリマック・ネヴェーラに迫るタイムを見せている）。
ポルシェ アクティブ ライド サスペンションはさらに驚きの機能を秘めていた
そしてこれだけで終わらないのがポルシェであり、ポルシェはなんとスマートフォンの角度に連動して新型パナメーラを踊らせるというデモンストレーションを披露。
言葉では伝わりにくいのですが、地面と水平に持ったスマートフォンが車体だとすると、ちょっと先っちょを持ち上げると、それに対応するかのようにパナメーラの前輪が持ち上がります。
そしてスマホを奥側（右側）へと傾けるとパナメーラも同じように傾き・・・。
左側（手前）へとスマホを傾けるとこう。
そしてこの動作はリモートにて行われており、前後左右だけではなくシームレスに「斜め」にも傾けることができるので、スマホをグラインドさせるように連続し傾ければ、それに対応してパナメーラもグリグリと動くこととなるわけですね。
まさかポルシェがこういった「見せるための」機能を搭載するとは想像できず、よって先日TikTokにてポルシェが「パナメーラのダンス」を公開したときにも多くの人が「CGだろう」と断じたものの、どうやら本当にパナメーラはこういった動きができるようですね。
-
-
ポルシェが「パナメーラのアクティブサスを伸縮させ車体をダンスさせる」動画を公開。まさかポルシェがこういった走行性能以外のプロモーションを行うとは
｜ これも「時代の流れ」だと捉えざるを得ないが、ある意味では衝撃ではある ｜ 一方、これだけの動きを実現できるということは「無限の可能性を秘めている」ということに さて、ポルシェはSNSに対し比較的強 ...
続きを見る
そして、こういった動きをすることによってパナメーラが注目を集めることになるのは間違いなく、そしてこれによって”ポルシェ アクティブ ライド サスペンション”がはじめて正しく理解されることになるのかも。
たしかにポルシェ アクティブ ライド サスペンションにつき、「アクティブサスの一種」と聞いたとしてもピンと来ず、ほか自動車メーカーに搭載されるものと同じだと思ってしまうものの、こういった動きを見せられると「ポルシェのアクティブサスはほかと全く違う」ということが直感的に理解でき、そのための導入ツールとしてこの「ダンス」は有効なのかもしれませんね。
ポルシェ・パナメーラの「ポルシェ アクティブ ライド サスペンション」が驚愕の動きを見せる動画はこちら
合わせて読みたい、ポルシェ関連投稿
-
-
ポルシェは新型パナメーラの発売にあわせボディカラーを一新。「コントラスト」「シェード」「ドリームズ」「レジェンズ」という4つの区分へ
｜ ポルシェはその創業以来、ずっとボディカラーに関しては幅広い選択肢を用意している ｜ その理由は「ボディカラーを通じ、顧客に自分の個性を発揮して欲しい」と願うから さて、新型パナメーラには新しいブラ ...
続きを見る
-
-
ポルシェが「もっとも環境に優しいパナメーラ」、パナメーラ 4 E-ハイブリッド / パナメーラ 4S E-ハイブリッドを発表。電動モードでの航続距離が伸び、快適性も大きく向上
Porsche ｜ よりインテリジェントなドライブモード、車両制御技術を備えることで効率性が向上 ｜ 車両が取得したデータ、GPSデータすらも効率的な運転へと活用 さて、ポルシェがパナメーラのラインア ...
続きを見る
-
-
ポルシェ「電動化時代でもパナメーラはタイカンと共存できる。我々が新型車を投入する時、それは911同様に長い寿命を全うすることが前提であり、短命なモデルは発売しない」
Porsche ｜ ポルシェは「最小限のラインアップで、最大限の顧客を取り込み、かつ利益を最大化する」ことを考えている ｜ さらに「最初は似たようなモデルであっても、その性格がモデルチェンジごとに独自 ...
続きを見る
参照：YOUCAR