| 実際にメルセデス・ベンツがル・マン24時間レースに復帰する可能性はかなり低い |
カーデザイナーの考案したメルセデス・ヴィジョン・マンティラ・コンセプト・エレクトリック・ル・マン・レーサー(Mercedes Vision Mantilla Concept electric Lemans car)。
文字通りル・マンを走るエレクトリックレーシングカーですが、なめらかな表面を持つことが特徴です。
2040年のル・マンレーサーをイメージしているそうですが、メルセデス・ベンツのモータースポーツ/スポーツカーからはAMG ONE、AMG GTやSLRマクラーレン、CLK GTR、C111、一方で「未来」というところからは一連のEQコンセプト、IAAコンセプト、ヴィジョン・トーキョー等を参考にし、そこから生まれた「未来のメルセデス・ベンツ製レーシングカー」がこのヴィジョン・マンティラ・コンセプトということに。
メルセデス・ベンツ「EQ」の正常進化?
デザイン自体は「IQ」を強く連想させ、おそらくはシルバーとネイビーというコンビカラー、そしてカッパーのアクセントがその理由かも。
なお、こういった「前後色違い」「タイヤ(ホイール)とボディ面がツライチ」というのは近未来のコンセプトカーによく見られるモチーフではありますね。
なお、こちらがメルセデス・ベンツEQSコンセプト(メルセデス・ベンツ公式)。
たしかにこれを進化させ、さらにレーシングバージョンにすると今回のヴィジョン・マンティラ・コンセプトとなりそうです。
なお、このヴィジョン・マンティラ・コンセプトの詳細は公開されておらず、わかっているのは「エレクトリック」ということだけ。
自動運転なのか、人が運転するのかもわかりませんが、前方を車内から(ドライバーが)確認することはできず、よって自動運転の可能性が高そうですね。
メルセデス・ベンツとル・マンとは相性が悪い
なお、メルセデス・ベンツとル・マン(サルテサーキット)との相性は極めて悪く、というのもメルセデス・ベンツのレーシングカー、300SLRは1955年のル・マン24時間レースにて観客席へと飛び込んでしまい、死者83名、負傷者180名という事故を引き起こしたことがあるため。
ただし、これはメルセデス・ベンツだけのせいではなく、レース開始後の午後6時28分、ジャガーD-TYPEが減速したところ後続のオースチン・ヒーレー100Sが追突しそうになったために進路を変更し、そのヒーレー100Sに進路を塞がれたメルセデス・ベンツ300SLRがヒーレー100Sに乗り上げ、観客席まで飛んでいってしまったという経緯があるため。
実際に、これはいずれのドライバーにも責任がない「レーシングアクシデント」という調査結果に終わっていますが、この後メルセデス・ベンツがル・マンに復帰したのは33年も経ってから。
ちなみにメルセデス・ベンツはそこで棄権すると事故の責任を認めることになるために残ったマシンを走らせ続け、しかしことの重大さから午前2時に全車を引き上げさせて危険。
同時にジャガーにも連絡を取って棄権を促すも、ジャガーはこれを拒否して最後まで走り続け、1位でチェッカーフラッグを受けています(信じられないことにレースそのものは中止されず、24時間通して行われ、優勝ドライバーのマイク・ホーソーン氏はゴール後に笑顔でシャンパンを飲んでいる)。
さらに1999年のル・マン24時間レースでもメルセデス・ベンツCLRが宙を舞うという事故が予選中、決勝前に2回も発生しており、その後メルセデス・ベンツはル・マンへの参戦を今に至るまで見送っています。
なお、メルセデス・ベンツは来年よりル・マンに新設される「ハイパーカークラス」へ参加しないことを明言していますが、その背景にもこういった「事故」があるのかもしれませんね。
VIA:Behance