| その秘訣は「EV購入時、そして使用時の手厚い保護」にある |
そして日本や他の国がこれを真似しようと思っても「無理」だろう
さて、欧州はEVの販売比率が(他の地域に比較して)高いとは言われますが、なんと8月のノルウェーでは新車販売の94%(10,480台)を占め「過去最高の比率になった」もよう。
ただ、これは一過性のものではなく、事実として今年1月から8月までの間で見ても新車販売におけるEV比率が87%(合計78,832台のうち約68,435台)に達しており、つまりは継続してEVの販売が伸びていると考えて良さそうです。
多くの国や地域ではEV販売比率は10%程度に留まるが
この数字は文字通り「驚くべきもの」で、多くの国や地域におけるEV販売比率が10%強にとどまることを考慮すると”とんでもないEV浸透率”。
8月にもっとも(ノルウェー国内で)売れたEVはテスラ・モデルY(2,107台)で、総販売数の19%を占めるという人気ぶりで、それに続くのはボルボ EX30の932台(総販売数の8.4%)、そのほかシュコダ エニャック の720台、フォルクスワーゲン ID.4 の584台、トヨタ bZ4Xの526台、アウディ Q4 e-tron の369台、テスラ モデル3 の367台、そしてVW ID.3、BMW i4、日産アリア。※中国車がTOP10に入っておらず、もしかするとノルウェーには進出していないのかもしれない
国の道路交通情報評議会のディレクター、オイヴィンド・ソルベルグ・トーセン氏は「私たちが現在ノルウェーで経験しているほど、電気自動車の販売が進んでいる国は世界中どこを探しても他にありません。この傾向を継続し、2025年に”新車販売の100%をゼロエミッション車にする”という目標を間もなく達成します」とコメントしていますが、ここで不思議に思うのは「なぜノルウェーでそんなにEVが売れるのか」。
ノルウェーではEV購入者が手厚く保護される
その理由はインセンティブ(補助金)にあるといい、EVを購入またはリースする人は、現地にて導入されている排出税とVAT(付加価値税)が免除され、さらには道路税と通行料金が最大で50%割引となるほか、一部の地域では駐車料金が安くなるなど「至れり尽くせり」。
つまりノルウェーでは「EV購入時だけではなく購入後の使用においても恩恵を受けることができる」「EVを買わないと損」といった状況があるわけですが、これはノルウェーの新車販売規模が小さいからこそできる政策なのかもしれません。
というのもノルウェーの「1万台ちょっと」という新車全体の販売台数に比較し、日本だと17万台以上が(8月に)販売されていて、仮に日本で同じような税制優遇を行ったり、通行量や駐車場の割引を行うと(そしてそれを国が補填すると)国の財政が非常に苦しくなる可能性が目に見えていて(正確にはノルウェーと日本とのGDPを比較する必要もあるけれど)、よってこの方法はノルウェーのように販売規模が小さな国だからこそ成り立つと考えてよく、そしてそれが奏功しているということになりますね(加えて、その国の事情に応じたEV推進策を取らねば計画がすぐに破綻するということもわかる)。
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