
| トランプ大統領は政策の変更ではなく「柔軟さ」を強調 |
関税を「交渉の材料」として用いているのは間違いのないところではあるが
2025年4月14日、米国ホワイトハウスでトランプ大統領が自動車輸入関税の一時的な緩和を検討中であることを明らかにし、その対応に各方面が右往左往することとなっています。
これはいわば「寝耳に水」な発表でもあり、25%の関税に対応すべく「米国内に工場の建設をしようと動いていた自動車メーカー」「すでに米国への輸入を停止した自動車メーカー」にとっては「えっ・・・」となるもので、早々に対応したにもかかわらず、その対策が無駄になったということを意味するわけですね。
こういった「コロコロ変わる方針」を見るに、トランプ政権がどのような政策を打ち出そうとも「どうせ4年後にはいなくなるのだから」として対策を講じずに静観するという姿勢もアリなのかもしれません。
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トランプ政権の「25%の輸入関税」はブランドによっては致命的ではあったが
トランプ政権が課した25%の輸入関税は、海外で生産された自動車や部品に大きな打撃を与え、結果として以下のような深刻な影響が出ており、その影響は米国内にとどまらず「世界中へと」飛び火することに。
- 車両価格の高騰
- 米国での販売停止(ボルボやロータスの一部モデルなど)
- 生産の一時停止
- 雇用への不安(とくにデトロイトでは深刻)
- 他国による報復関税による影響(テスラ・モデルS / モデルYの中国での受注停止など)
トランプ「アメリカ国内に生産を戻すには“ちょっと時間”が必要」
トランプ大統領は報道陣に対して以下のようにコメントしていますが、これは急な関税政策により身動きが取れなくなった自動車メーカーに対して“猶予期間”を与える可能性を示した発言とも受け取ることが可能であり、やはり関税を「交渉のための武器」として活用しているのは間違いなさそうです(実際に関税を導入するのではなく、ハッタリとして使用。長期的にであっても米国へと生産拠点を移す意思を示すメーカーを優遇するのかも)。
「いくつかの自動車会社を助けるために何かを検討している」
「国内生産に切り替えるには“少し時間が必要”」
ただ、この「関税の一時停止の可能性」は現時点では”示唆”されたのみにとどまっており、例えば以下の点はまったくナゾのまま。
- 実際に関税を一時的に停止するのか?
- どの国やメーカーが対象となるのか?
- どの程度の期間、免除が続くのか?
ただ、自動車業界や消費者にとって、仮に一時的であっても「関税の停止」は朗報となり、自動車メーカーにとってはコストの増加回避、消費者にとっては末端価格の上昇回避といったメリットに繋がることとなりそうですね。
実際にアメリカへと工場を移転するには「8〜10年」かかる?
なお、実際に工場を海外からアメリカへ移転するのは一朝一夕では不可能で、というのも 多くの自動車は8〜10年周期でモデルチェンジを行うため、そのタイミングに合わせない限り生産地を動かすのは非常に困難だから(そして自動車工場では複数のモデルを製造している)。
たとえばBMWはサウスカロライナ州スパータンバーグ工場で年間8万台の増産を検討中ですが、生産をすぐに増強できる台数には限界があり、これにかかる費用も「まさに膨大」、そして増強のための生産設備が整った頃には「大統領が交代しており」移転そのものが無意味ということにもなりかねません。
そして今回のドナルド・トランプ大統領の発言もまた、「政策の一貫性がない」と言われかねないものですが、トランプ大統領によれば以下の通り。
「私は意見を変えるわけじゃない。ただ、柔軟なんだ。」
自動車メーカーの悲鳴がようやく政権に届いたとも取れるこの発言ではあるものの、実際に政策として形になるのか、今後の続報が待たれるところですね。
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