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| 最近のフェラーリはクーペ / オープンをほぼ同時、あるいは同時に発表 |
フェラーリが1つのモデルに対し「クーペ / オープンを揃える」のは今後の通例に?
さて、フェラーリは最新限定シリーズとして「296スペチアーレ / 296スペチアーレA」を発表していますが、この「A」はアペルタつまり”オープンモデル”を指しています。
そしてここ最近のフェラーリはひとつのモデルに「クーペ」「オープン」を設定し(812スーパーファスト / 812GTS、ローマ / ローマ・スパイダーのように)、かつ両者の発表のタイミングを接近させる、あるいは同時に行う例が増えています(12チリンドリ、SF90XX、296スペチアーレのように)。
なお、ミドシップモデルではこれまで「クーペ」「オープン」をラインアップしてきたものの、フロントエンジンモデルにてクーペとオープン両方を「カタログモデルとして」ラインアップするようになったのは812スーパーファスト / 812GTS以降のことであり、フェラーリはこういった展開を「ツインズ」と呼んでいるようですね。
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フェラーリ 296スペチアーレ(Speciale) / スペチアーレAついに正式発表:ドライビングの興奮に関する新ベンチマークとその魅力
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ただし「オープンモデル」はフェラーリにとって特別な存在である
しかしここで留意すべきは「フェラーリにとってオープンモデルは特別な存在である」ということ。
いつの時点で「オープンが特別な存在」となったのかは明らかではないものの、古くはフィアット会長、ジャンニ・アニエッリのために制作された「テスタロッサ・スパイダー」、そしてその後のいくつかの特別限定モデルの多くは「オープン」です。
これらの場合、「(599のように)カタログモデルとしてのオープン」が存在しない場合がほとんどで、かつフェラーリのDNAをもっとも強く体現したICONA(イコーナ)シリーズだとモンツァSP1 / SP2は「オープンのみ」。
そしてフェラーリはスペシャルモデルである「430スクーデリア」「458スペチアーレ」「488ピスタ」のオープンモデル、「スクーデリア 16M」「458スペチアーレ A」「488ピスタ スパイダー」を発売していますが、これらオープンモデルは「クーペに比較して非常に生産台数が少ない」とされており、購入条件も「非常に厳格」だと言われています。※生産台数はクーペの半分くらいだと言われるが、フェラーリは数値を公表していない
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フェラーリの名を冠した最初のクルマは「オープンカー」だった。それ以降フェラーリは様々な形でオープンを進化させ、「電動開閉機構」は当初の1/2以下の時間で作動するように
| そしてフェラーリのオープンモデルにはいつの時代であっても特別なポジションが与えられている | さらに近年では「V12+オープン」も復活し、ますますオープンの魅力が拡大することに さて、そろそろ夏本 ...
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さらに言うなれば、カタログモデルである「12チリンドリ スパイダー」「296GTS」であっても一見さんはもちろん、一定レベル以上、あるいは条件を満たした既存フェラーリ顧客でないと購入できないとされているので、とにかく「フェラーリのオープンモデルは著しく購入のハードルが高い」ということに。
フェラーリの“オープン・スリル”はさらに進化、296スペチアーレ Aの誕生
そしてフェラーリが2008年のScuderia 16M以来貫いてきた「オープンエア+サーキット志向」モデルの系譜に連なる最新進化形が296 Speciale A(スペチアーレ・アペルタ)。
458 スペチアーレ Aや488 ピスタ・スパイダーといったレジェンドのDNAを受け継ぎながら、フェラーリが「過去最高の進化幅を実現し、最もドライバー志向で、最も刺激的なスパイダー」だと自負するスーパースポーツです。
パフォーマンス面での進化:880馬力のハイブリッドV6が炸裂
このモデルでは、3.0L V6ツインターボエンジンと電動モーターの組み合わせがさらに強化され、新開発のチタン製コンロッドや軽量スチール製クランクシャフト、F80と共有されるピストンなどにより、回転系の慣性質量も2.2kg軽量化され、レスポンスがさらに向上。
さらには最大25kmのEV走行も可能な「ゼロエミッション・モード」も楽しめる現代のフェラーリでもありますね。
- エンジン出力:+37馬力 → 700馬力
- 電動モーター:+13馬力 → 180馬力
- 総合出力:880馬力(296 GTS比 +50馬力 / Pista Spider比 +160馬力)
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車両重量も軽量化:ドライで1490kg
- エンジン単体で-9kg*
- カーボンファイバー製のパーツやシートで-41kg
空力パッケージも本格レーシング仕立て
ダウンフォース性能も飛躍的に向上して最大435kg(296 GTS比 +20%)を実現し、この空力設計により、加速・制動時のスタビリティが大幅に向上しています。
- フロント:296 チャレンジからインスパイアされたエアロダンパー
- リア:縦フィン付きアクティブリアウイングが新採用
足まわり&ブレーキ:GT3由来の最新テクノロジーを投入
サスペンションにはチタン製スプリングとGT3ベースの新型ダンパーを採用し、車体のロール量を13%抑制。
さらに、最新のABS EvoやミシュランCup 2タイヤによって、コーナリングとブレーキングの信頼性が格段にアップしています。
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オープンエア体験を極める:わずか14秒で開閉のハードトップ
296スペチアーレ Aにはリトラクタブル・ハードトップ(RHT)が搭載され、わずか14秒で、しかも一定速度内であれば走行中でも操作が可能。
「ハードトップ」とすることで、高速走行時の「ルーフの変形」を(ソフトトップに比較して)抑えることができ、これによってクーペと同等のパフォーマンスを実現しているわけですね。
さらに後方のガラスウィンドウは可動式であり、オープン時には風の取り込み量を調整できるとともに、新設計のセンター1本出しマフラーと相まってV6サウンドがよりクリアにドライバーへと届くように。
296 スペチアーレ Aは、最も刺激的で洗練されたフェラーリ・スパイダー
「エンジンがドライバーの後ろ、エキゾーストシステムもドライバーの後ろ」という構造を鑑みるに「どうせ音は(走行中)後ろに流れるからクーペでもオープンでもそんなにサウンドが変わらなないんじゃないか」と考えがちですが、意外と(というか”かなり”)ルーフの有無でドライバーが耳にするサウンドの大きさや質には差があり、たとえば動画を撮影するとき、同じ場面であっても(後に編集していると)「室内カメラと、リアフード上に設置したカメラ」ではまったくサウンドが異なることに驚かされます。
もちろんリアフードに設置したカメラが捉えるサウンドのほうが「遥かにクリアで、遥かにダイナミック」で、よって一見すると「サーキット走行を標榜するのにオープン」という、”矛盾するかのように見えるパッケージング”についても、ドライバーの興奮を掻き立て、アドレナリンを大量分泌させる演出のひとつということになりそうですね。
参考までに、エキゾーストパイプ付近のほうが「もっといい音が録れるんじゃないか」と思いがちですが、実際に実験してみたところ、エキゾーストパイプ付近だとメカニカルノイズのほうが大きく入ってしまい、内燃機関特有の「爆発音」が消されてしまって”単にうるさい”だけの騒音となってしまうもよう。
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よって、ドライバーにとってもっとサウンドを楽しめるのは「ノイズを排除し、純粋にガソリンエンジンの炸裂音」を聞くことができるエンジンの前あたりということになりそうで、その意味でも「ミドシップオープン」はぼくらに比類なき快感を与えてくれる存在ということになりそうです。
296スペチアーレAはコレクターズアイテム化必至のスパイダー
「スクーデリア 16M」「458スペチアーレ A」「488ピスタ スパイダー」といった歴代モデルは、現代フェラーリの中でも最も価値が高騰しているモデルでもあり、これらのDNA。を継承し、圧倒的な性能と魅力を備えた296 スペチアーレAもまた、将来のコレクターズアイテムとなる可能性が非常に大きいと考えていいのかもしれません。
ドライビングプレジャーとサーキット走行性能、そして日常での快適性までも高次元で融合したこのモデルは、まさにフェラーリの未来系スパイダーであり、そのすべてが、“Speciale”の名にふさわしい1台だと思います。
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