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虚を突いてダッジがソリッドステートバッテリーを最初に市販車に搭載か。来年にも量産型に近いチャレンジャー・デイトナに全固体電池を積んだ試作車を公開すると正式に発表

虚を突いてダッジがソリッドステートバッテリーを最初に市販車に搭載か。来年にも量産型に近いチャレンジャー・デイトナに全固体電池を積んだ試作車を公開すると正式に発表

Image:Dodge

| まさかアメ車がソリッドステートバッテリー搭載第一号に最も近づこうとは |

しかし中国・上海汽車も2025年に全固体電池を積んだプロトタイプを走らせると公言している

さて、現在EVの販売に「世界的なブレーキがかかっている」と言われる状況ではありますが。その逆境を大きく変化させることができると言われているのが「ソリッドステートバッテリー(全固体電池)」。

というのもEV購入をためらう人の多くが「一回の満充電あたりの航続距離の短さ」を掲げており、しかしこのソリッドステートバッテリーは飛躍的にEVの航続可能距離を伸ばせる可能性があるためです。

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ダッジはソリッドステートバッテリーの実用化に先駆ける?

ただしこの技術にはまだまだ多くの解決すべき課題があるといい、車載用バッテリー最大手のCATLですら「実用化が見えているとは言い難い」とコメントし、多くの専門家も「実用化できるのは早くても5年先」だと見ているわけですね。

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ただし今回報じられているのが「ダッジが2026年つまり来年にソリッドステートバッテリーを搭載したテストフリート(プロトタイプ)を走行させる」という計画です。

トヨタ、BMW、日産など多くの自動車メーカーがこの技術にチャレンジしており、しかし一定の台数に搭載してテストを行う例は”ダッジがライバルに先駆けるもの”だとも考えてよく、意外なことにソリッドステートバッテリーの実用化に王手をかけるのは「アメリカンブランド」ということになるのかもしれません。※ただし2025年には上海汽車もソリッドステートバッテリーを積んだプロトタイプを公開する可能性がある

中国・上海汽車が「2025年に全固体電池(ソリッドステートバッテリー)を積んだクルマを発売」とコメント。おそらく第一弾はサイバースター、さすがは”チャイナスピード”
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なお、このソリッドステートバッテリーはダッジのパートナー企業であるファクトリアル製だといい、フォルクスワーゲンと提携しているクァンタムスペースや、フォード / BMWと契約しているソリッドパワーと並んで全固体電池の開発をリードしている企業の一つ。

ほとんどの主要なソリッドステートバッテリー開発企業は、すでにパートナー対しサンプルセルを提供していますが、今回のダッジおよびステランティスの発表は「実際にこの技術を搭載した量産車同様のプロトタイプを公開する」という、自動車メーカーとしては(おそらく)初の正式な取り組みとなりそうです(ソリッドパワーはBMWが全固体電池を使用したデモンストレーション車を準備していると主張しているものの、実際の進展に関するニュースはほとんどない)。

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Dodge

参考までに、ダッジと同じくステランティスに属するマセラティは「安全性の問題をクリアできない」としてこの全固体電池の採用を見送るとコメントしており、しかし今回ダッジではなんらかの進展があったものと見え、よって電動化を強く推し進めるマセラティでも(これまでの方針を翻し)ソリッドステートバッテリーを積むという話が出てくるのかも(現在のマセラティは車両価格が高額になろうともさほど問題とは考えておらず、よって全固体電池の安全性に関する懸念がクリアできれば前向きに取り組む可能性がある)。

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全固体電池は、従来のリチウムイオン電池の液体電解質を固体に置き換えることで、より強力なアノード材料の使用が可能になり、これにより現在の技術よりも高いエネルギー密度を実現することができ、ファクトリアルによれば、その電池は1kgあたり最大390Whのエネルギー密度を持つことが見込まれ、これはたとえば現在GMが採用する大型パウチ型セルの”280Wh”よりも相当に大きな数字です(かつては同じ重量であれば、従来型バッテリーの3倍程度の密度を達成できると言われたことがあるが、直近では1.5倍程度にとどまるという見方が多い)。

現段階だとダッジは(チャージャー・デイトナに搭載するバッテリーパックについて、詳しい情報を提供していませんが、ファクトリアルは100Ahのセルを生産しており、パートナーの自動車メーカーにサンプルを提供していることがわかっているため、実験車両はおそらくこのバッテリーを使用するのでは、と見られています。

なお、最近になってメルセデス・ベンツがファクトリアルに投資しており、同社は複数のバッテリーメーカーに投資することで様々な方向性を模索していて、おそらくは電動版Gクラスに積まれるであろうシリコンバッテリーもその成果の一つ。

よって同社が投資するということは、このファクトリアルは「かなりソリッドステートバッテリーの実用化に近い企業」だと考えてよく、この1-2年でこの技術に大きな進歩がもたらされる可能性があるのかもしれません。

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