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テスラは「コストを大幅に下げ、パフォーマンスを向上させるはずだった」4680バッテリーの生産を断念?現段階では週あたり1,000台分しか製造できず計画破棄の可能性も

Tesla

| この4680バッテリーは現在テスラではテキサス工場生産車両のみに搭載されている |

「中国のサプライヤーの協力を得て」中国生産のテスラ車に実装されるという報道も

さて、テスラは革新的な円筒形バッテリー「4680」の開発と生産について(もう3年以上も前に)言及していますが、どうやらこのバッテリーセルには問題があるようで、未だ大量生産に問題を抱えており、この問題が解決されなければ、このバッテリーに関する計画を「放棄する」とも報じられています。

現在イーロン・マスクCEOは開発チームに対してこの問題を年内に解決するように指示していると伝えられ、もし解決できなければ上述の通りこのセルを使用したバッテリーパックの採用を諦めることとなり、となると当初計画していた「パフォーマンスの向上とコストの低下」を見込めなくなってしまうという危機に瀕しています。

テスラの4680バッテリーにはどんな問題があるのか

この4680バッテリーについては、「容積が小さく、しかしエネルギー密度が高く、製造コストが安い」というメリットがあり、従来の2170バッテリーに比較してエネルギー密度が5倍高く、一回の満充電あたり航続可能距離を16%伸ばせる(同じ航続距離であればバッテリーセルを削減でき、充電時間も短縮できる)」というメリットがあると言われます。

なお、2170とは「直径21ミリ、高さ70ミリ」の円筒形バッテリーセルを挿しており、4680は「直径46ミリ、高さ80ミリ」のバッテリーセルを意味していて、この数字から分かる通り4680バッテリーは「太く高く」、つまりセル一個あたりの容量が大きいわけですね。

そして「1個あたりが大きい」ということは、パッテリーパック全体で(2170と)同じ容量を確保しようと考えた場合、バッテリーセルの数が少なくて済み、これによって作業工程が短縮されて生産効率が上がり、結果的にコストの削減に繋がります。

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ただしこの4680バッテリーにつき、「セルのカソードにおけるドライコーティング技術」に問題があるといい、このドライコーティング技術は「実験段階と小さなバッテリーにおいては」従来のウェットコーティング手法よりも速く生産できることが証明されているものの、それを大量生産プロセスにて再現することが困難だとされています。

これが困難な理由としては「大量に、かつ大きなバッテリーを生産すると大きな熱が発生し、ドライコーティングをカソードに貼り付ける接着剤がこの熱によって溶けてしまい、コーティングや接着剤がネバネバした塊」になってしまうから。

そして熱が発生しないように生産を行うと生産速度が遅くなってしまい”本末転倒”になってしまううえ、「ネバネバした塊」を発見する方法が見つかっておらず、つまり「製造エラーを把握することが難しい」「どれくらいの生産速度が適正なのかわからない」のだそう。※パナソニックは以前4680バッテリーにつき、量産を行うには従来のバッテリーに比較し、その精度を1~2ランク引き上げねばならないとコメントしたことがある

テスラ
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よって現在は極めてゆっくりと生産を行う他はなく、よってこの4680セルを使用したバッテリーパックはテスラのテキサス工場のみにて、「週1,000台のサイバートラックぶんだけ」しか製造できないとされ、これではもちろんテスラが求めるレベルには到底達していない、ということに。

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なお、この4680バッテリーの実用化は(計画がキャンセルされたと言われる)25,000ドルの廉価版EVに用いられる予定であり、25,000ドルを実現するには不可欠であると言われていたわけですが、25,000ドルのEVが「見送られた」背景には4680バッテリーの問題もあったのかもしれません。

一方、別の報道では「テスラは中国のバッテリーサプライヤーとの共同にて4680バッテリーの大量生産を実現し、中国製テスラに実装する」という報道もあり、これによって「テスラが再びトップに立つだろう」とも。

実際のところどうなるのかわかりませんが、テスラが「水面下で」あれこれと試行錯誤を繰り返していることは間違いなく、その成果が現れる日もそう遠くはないのかもしれませんね。

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参照:Late Post, The Information

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