| 現実的に、テスラがどうあがいたところで中国勢の価格には対抗できず、対抗しようとすればするほど利益を失うだけである |
そしてこれはテスラだけではなく、日米欧の自動車メーカーにとっても同様であると考えられる
さて、テスラCEO、イーロン・マスク氏は以前に「2030年までに年間2,000万台を販売する」という目標を掲げていますが、どうやら最近ではその目標を撤回したと見え、最新の報告書では「2,000万台を販売」という記載が消去されているとの報道。
2020年に遡ると、イーロン・マスク氏は「10年以内に年間2,000万台の車両を販売する」という大胆な主張をしており、この2,000万台というのはトヨタが年間に販売する車の2倍に相当する台数であるため、多くの人がそれを絵空事と捉えていたわけですね。
しかしイーロン・マスクCEOは中国(上海)、ドイツ(ベルリン)、テキサスに続き、カナダやメキシコ、インドにもギガファクトリーをオープンさせるための行動を取るなど「本気で」2,000万台を達成するための動きを見せており、実際に2021年と2022年の報告書の中では、この目標に繰り返し言及したほか、「台数を追求することの重要性」についても折に触れて述べていたのもまた事実。
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「2,000万台」が「できるだけ多く」に
しかしながら、テスラは2023年の報告書において、2,000万台という野心的な販売目標について言及しておらず、単に「目標は、できるだけ多くのテスラ製品を販売することで化石燃料に取って代わることである」と述べるにとどまっています。
なお、イーロン・マスクCEOは少し前から2,000万台に対しては自信を失っていたようで、「テスラの最良の生産シナリオは年間1,000万台になるだろうと」語ったことも。
さらにその際には(あたかも1,000万台と2,000万台の間に大きな差がないかのように)、”2030年までに年間2,000万台”としたのは積極的な目標(あるいは希望)であるという補足も行っていて、2,000万台は「言葉のあやであった」といったニュアンスも伝えていたわけですね。
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テスラはここから大きく販売台数を増やすことができないかもしれない
なお、昨年テスラは全世界で180万台をクルマを販売していますが、この数字はテスラにとっては記録でったものの、一転して2024年は不安定なスタートを切っています。
第1四半期のテスラの納車台数はわずか38万6,810台にとどまり、2023年第1四半期からは納車台数が8.5%減少、2023年第4四半期からは納車台数が20.2%減少したうえ、さらには4月の数字も「予想を遥かに下回る」という速報値が出ており、この傾向を見るに、テスラが以前のような「絶体的王者」として君臨できる時代は過去のものとなったのかもしれません。
実際のところ、これはイーロン・マスクCEO自身がもっともよくわかっていることであり、だからこそ廉価版EVの開発計画をキャンセルして投資額を最小限に抑え、その一方でAIやロボタクシー、テスラボット(オプティマス)に注力するという方向へとシフトしているのだとも思われます。
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