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2022年のEV+PHEVの世界販売台数は1000万台を超える。テスラはBYDに抜かれて2位に、ヒョンデは6位にランクイン。なおヒョンデは米国だと3番めのEVシェアを誇る

2023/02/14

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| ヒョンデはこれまでにも様々なトラブルを出してきたが、たゆまぬ前進によって現在のポジションを獲得 |

ある意味ではヒョンデの努力は賞賛に値する

さて、韓国のエネルギー専門調査会社、SNEリサーチが発表した内容によると、2022年にグローバルにて登録されたBEV(電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)の数が1000万台を超え、前年比61.3%増の1083万台になった、とのこと。※2023年は1478万台だと予測されている

そしてここで驚くべきは、なんとテスラが1位の座を中国BYDに奪われたということで、BYDには前年比204.6%の伸びを示して187万台を販売し、テスラは前年比+40%の131万台、3位は41.3%の成長を見せた上海汽車集団(SAIC)、そして韓国ヒョンデ(とグループ内にあるキア)は40.9%伸ばして51万台を登録しています。

ただし「BEVのみ」だと事情は異なる

今回発表された数値を見るに、「ついにテスラがトップの座を追われたのか・・・」と考えてしまいがちですが、これは上述の通り「BEVとPHEVを足した数字」であり、しかしテスラはBEVしか販売しておらず、逆にBYDやSAICはPHEVを販売している、ということには留意する必要があるかと思います。

参考までにですが、BEVのみだと2022年の世界販売は680万台だと報じられ、この分野に限ってだとテスラがトップを守っており、それに次ぐのがBYDにとSAIC。

つまりBYDの「世界一」はPHEVも含めてのことで、慎重な判断を要することになる部分です。

ただ、BYDがそのEVの販売を伸ばし続けているのも事実であり、現在では多くの研究機関が「遅かれ早かれ、BYDがBEVにおいても覇権を握るだろう」と考えているもよう。

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しかしながらまだまだ勝負のゆくえについて判断するのは難しく、というのも大きく伸びたブランドはどこかで頭打ちになってしまうのが常だから。

たとえば米国ではリビアン、ルシード、カヌーといったブランドが勢いよく受注と発売を開始したものの、そこからの伸びが期待できずに黒字化ができていない状態だと報じられています。

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そして「黒字化」できていないのは中国の多くの新興EVメーカーも同様であり、競争が日に日に厳しくなるこの状況で、どれほどのEVメーカーが生き残ることができるのかは「全く不明」。

そんな中でもBYDは(自社でバッテリーを生産しているということもあって)すでに黒字転換ができており、よってBYDはテスラCEO、イーロン・マスク氏のいう「中国のどこかから出てくるテスラのライバル」筆頭だと考えていいのかも。

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それでもBYDにとってはまだまだ大きな課題が待ち受けているとも考えており、それは「品質」。

いかに価格優位性があって販売を伸ばしたとしても、品質が追いつかなければすぐに消費者はそっぽを向いてしまい、この理由にて消え去ったブランドも少なくはないかと認識しています(EVではないが、台湾の自動車メーカー”ユーロン”は一時大きく販売を伸ばし、しかし一瞬で消え去った)。

ただしBYDはEVやPHEVを製造する前にガソリン車を製造し販売していたという実績もあり、よって新興EVメーカーとは異なる背景を持っているため、品質についてもある程度のレベルをクリアしている可能性が高く、テスラにとっては非常に手強いライバルとなるのかもしれませんね。

ヒョンデは燃料電池車の販売にて世界ナンバーワン

なお、統計の集計元、記事の編集元が韓国ということで、記事ではヒョンデにスポットライトを当てた内容が見られますが、ここで簡単に紹介しておくと、まず2022年の燃料電池車(FCV)の販売は前年比18.4%増の20,690台であり、シェアとしてはヒョンデがナンバーワン(そのうち”ネッソ”が11,179台を占める)だった、とのこと。

ちなみに2位はトヨタ(3,691台)だそうですが、トヨタのFCVであるミライは世界的に販売不振が続いており、2021年1~3月期にヒョンデに逆転され、そこからどんどん差が開いているようですね。

現在トヨタは「EV一辺倒ではなく」マルチパワートレイン戦略を進めるとしていますが、EVにおいてはすでに出遅れてそのシェアを挽回できず、そして燃料電池車においてもヒョンデに抜かれるなど苦難が続いており、しかし内燃機関搭載車に強みを持つため、全車種あわせての販売台数だと世界ナンバーワンを維持しているものの、世界的なEV販売比率が高まれば、その王座もゆらぎかねない状態なのかもしれません。

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参考までに、国別のFCV販売台数だと、ヒョンデお膝元の韓国では10,336台、中国は5,436台(前年比で3倍くらい伸びている)、アメリカは2708台(前年比マイナス18.9%)、日本はわずか846台(前年比マイナス65.5%)。

そしてもうひとつヒョンデに関してのニュースですが、ヒョンデ、キア、ジェネシスの3ブランドをあわせて米国でのEV累計販売が10万台を超えたと報じられており、ひとつのマイルストーンを築いています。

ヒョンデグループが米国EV市場へと参入したのは2014年10月の「キア・ソウルEV」が初となり、その後キア・ニロEV、ヒョンデ・コナ・エレクトリックと続いており、2022年にはアイオニック5、キアEV6、ジェネシスEV60を投入することで58,028台(つまり2014年からの累計の半分)を販売していて、アメリカ市場でのシェアはテスラ、フォードに続いて3番目(7.1%)。

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なお、ヒョンデはコナ・エレクトリックの「爆発する」問題にて膨大な数の車両をリコールし、相当な額の損失を出したものの、それに懲りずに前進した甲斐があったともいえそうです。

2023年はさらにアイオニック6、キアEV9、ジェネシスEV90を市場投入するというので、もしかするとアメリカ市場では「テスラに次ぐ2番手」となるのかもしれません。

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参照:YONHAP NEWS

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