| オーストラリアではガレージのドアが道路の反対側に吹っ飛んでゆくほどの大爆発 |
さて、何かと品質問題に揺れる韓国ヒュンダイ。
先日は高級ブランド「ジェネシス」の相次ぐリコールが問題となりましたが、今回はエレクトリックカー「コナ・エレクトリック」を全世界で77,000台にも達するリコールを実施すると報じられています。
なお、この「コナ・エレクトリック」は先日より火災が相次ぎ報じられ、韓国市場においては25,564台のリコールが届け出られたばかり。
ヒュンダイ・コナ・エレクトリックは「世界で最も人気のあるEVのひとつ」に成長したが
ヒュンダイ・コナは2017年に発売されたSUVですが、その斬新なルックスから一躍人気車種となり、その後にピュアEVである「コナ・エレクトリック」が追加されています。
コナ・エレクトリックは発売直後より高い人気を誇り、ヒュンダイによれば「もっとも売れているEVのひとつ」であるだけに、今回の件は大きな痛手となりそう。
コナ・エレクトリックは2020年3月まで韓国のみで製造されており、その後はチェコでも生産を開始していますが、発火の時期からすると韓国製のみに問題がある可能性が高い、とも報じられています。
なお、発火と炎上は韓国のほかカナダ、オーストラリアでも報じられており、とくにオーストラリアでの火災は爆発にまで発展し、ガレージのドアを道路の反対側にまでふっ飛ばしてしまったほどで、相当な危険性をはらむことも指摘されていますね。
原因はバッテリーセパレータの損傷
韓国の国土交通部に届け出られたコナ・エレクトリックのリコール内容によれば、発火の原因はバッテリーセルの損傷」で、これによってショートや火災が起こるとしていますが、バッテリー自体はLGケミカルが製造したものであり、車体側よりもこのバッテリーに問題があるという見解が大半を占める模様。
上述の通り現在コナ・エレクトリックはチェコでも生産を行っていますが、今のところチェコ製のコナ・エレクトリックでは火災が発生しておらず、こちらに使用されるバッテリーはLGケミカルではなくSKイノベーション製だとされており、これを見てもやはりLGケミカル製のバッテリーに問題があると考えるのが妥当かもしれません(場合によっては、同型バッテリーを使用するほかEVにまでリコールが拡大するのかも)。
ヒュンダイは韓国内でのリコールにおいて「顧客の不便を最小限にとどめる」としており、まずはバッテリー管理システム(BMS)をアップデート。
その後バッテリーセル間での電圧差や温度変化が検知されればバッテリーを交換するとしていますが、ただちに異常がなかったとしても、今後の使用においてBSMが発熱等を検知すれば充電を停止したうえで車両を始動できないように制御を行い、ユーザーとヒュンダイのエマージェンシーサービスコールセンターに自動にてメッセージを送る、とのこと。
EVの根幹を成す「バッテリー」について、何かあってはいけないということで強固に、かつ外部からの影響を受けない部分に取り付けられていることが大半であり、おそらくバッテリーの交換については相当な時間とコストがかかるものと思われます。
ほかにはこんな不具合も
上述の通り、最近のヒュンダイには品質問題が多発しており、「燃える」「エンジンが停止」といった致命的なトラブルが発生。
そしてこれも上述の通りリコールが多発し、これによってヒュンダイは「実際に走行テストをちゃんと行ってから出荷する」とコメント。
これは至極当然であるようにも思えますが、ヒュンダイは実走テストを十分に行っていなかったということになりますね。
なお、パリセードの車内が「耐え難いほどの汚泥臭がする」というクレームも多発していますが、こちらは走行性には関係がないのでリコールとなることはないのかもしれません。
ちなみにヒュンダイ/ジェネシスはここ数年、北米における品質調査で常に上位を獲得していますが、ここ最近発生しているトラブルを鑑みるに、次の調査ではかなり順位を下げることになりそうです(これで順位が下がらなければ”ヤラセ疑惑”が浮上するのは間違いない)。
参照: Yonhap News, Bloomberg, InsideEV