■そのほか自動車関連/ネタなど ■自動車各社業績/ランキング/記録等

米にて新車不足が解消し「クルマ余り減少」?ディーラー在庫が200万台を超え、とくにEVは供給過多。全体的に価格が高い車種ほど在庫が増える傾向が鮮明に

2023/07/21

Toyota

| おそらくはここから「値下げ合戦」による在庫処分セールが開催されることになるのかも |

最近では何事も状況が「両極端」に推移するようだ

さて、コロナウイルスのパンデミック、そしてロシアのウクライナ侵攻開始直後は半導体(マイクロチップ)そして様々な素材やパーツのサプライチェーン混乱によって新車の製造が難しくなり、そのため納車待ちの時間が長くなったり、そもそも納期が全くわからないといった状況が続いたことが記憶に新しく、しかしこの2-3ヶ月はそれが解消へと向かっているもよう。

実際のところ、ツイッターを見ても、これまでずっと納車を待っていたレクサスが大量に納車開始されており、実際に数値としてのレクサスの販売台数は大幅に増加しています(同時にトヨタも増加)。

これはやはり「(トヨタやレクサスのみではなく自動車業界全体的に)受注分を滞りなく生産し顧客に届けることが可能となった」からだと思われますが、ここでまた”想定外の”自体が発生しているもよう。

トヨタ
2023年6月の国産車登録台数ランキングが公開。クラウンは前年比10倍、プリウスは6.7倍に伸び、そのほかにもトヨタ/レクサスの新型車が軒並み好調

| もっとも販売が伸びたブランドだとレクサス(2.4倍)、次いでトヨタ(1.6倍) | ここ数ヶ月でマイクロチップの供給不足が一気に解決されているようだ さて、日本自動車販売協会連合会による2023年 ...

続きを見る

アメリカでは「クルマが余りはじめて」いた

その問題とは、簡潔に言えば「クルマが余っている」ということで、報道によれば現在米国では200万台超の「在庫車」があるといい、中でも電気自動車(EV)の在庫が増加している、とのこと。

報じられる内容によれば、直近での「現在ディーラーで売れ残った車両は推定195万3512台」で、これはちょうど1年前の同じ時期から75%増加しており、(現在の販売ペースから見て)53日間の供給分という計算となります(日本ではあまりこういった統計の取り方を行っていないが、アメリカでは在庫何日分、といった表現がよく用いられている)。

さらには192万8,619台であった1ヶ月前と比べると、「微増」となっていて、つまり在庫車は増加トレンドにあると考えることも可能です。

そして特筆すべきは「EVの在庫」であり、EVのみに絞ってみると103日分の在庫があり、これが全体の数値を悪化させていているもよう。

ただ、この「200万台」の中に占めるインパクトは大きくはななく、別の報道によればゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、ヒョンデ、トヨタがそれぞれ90日分以上のEVの売れ残りを抱え、全米のディーラーにある在庫が9万2,000台(フォードF-150ライトニングの在庫は86日分、マスタング・マッハEは113日分)。

こういった数字と統計を見る限り、EVは自動車メーカーが思うような「人気商品」ではなく、販売に際してはかなり苦戦しているものと考えられ、先日フォードが発表したF-150ライトニングの大幅値下げにも納得ですね。

FkL1fe9XoAA4lvT

フォードがF-150ライトニングの価格を最大で16.6%値下げ。ライバルであるシルバラードEVへの対抗だと思われるが、製造原価やバッテリー調達コストも下がったもよう
フォードがF-150ライトニングの価格を最大で16.6%値下げ。製造原価やバッテリー調達コストが下がったことが理由だとされ、今後はほかメーカーでも値下げを期待できそう

| おそらくメインの理由はシボレー・シルバラードEVなどライバルへの対抗であると思われる | そして「下げるときは下げて」おいたほうが次に上げるときも「上げやすい」 さて、昨年暮れにテスラは「大幅な値 ...

続きを見る

なお、今回欧州での「在庫」については報じられていないものの(欧州では日本と同じく、統計会社が”在庫日数”を発表することは基本的にないようだ)、フォルクスワーゲンも「EVに対する消費者の関心が薄い」とコメントして減産を発表しており、世界的に見てEVの販売が苦しいのは間違いなさそう。

ただ、こういった状況は「EVの魅力が薄い」のではなく、単に「EVが高価である」ために発生しているものと考えられ、逆にEVがガソリン車よりも安くなれば、この状況もまた一変するのかもしれません。

VW
VW「EVに対して消費者が消極的なのでEVが売れず、工場を6週間閉める」。やはりEVはメーカーが笛吹けど消費者が踊らず、早々にEVシフトを行ったメーカーにはダメージが及ぶ?

| そうなると、EVシフトが遅れた日系自動車メーカーの「大勝利」に | 世の中、いったい何が起きるかわからない さて、フォルクスワーゲンが「EVが売れない」としてドイツ北西部にある自社のエムデン工場の ...

続きを見る

EV

それでも在庫が少ない車種は?

ただ、在庫が一概に余っているかというとそうではなく、こういった状況の中でも「在庫が少ない」セグメントそしてモデルがあり、まず「コンパクトカーやミッドサイズカー、クロスオーバー」は在庫が少なく(つまりよく売れている)、逆に「ウルトララグジュアリーとハイエンドラグジュアリー」は在庫が余っている傾向にあるのだそう。

全体的な傾向を見てみると、「価格が低いクルマの在庫は少なく、価格が高いクルマの在庫は多い」といったものがあり、もしかすると高額なクルマが売れなくなってきているのかもしれません(もしくはそういった価格帯のクルマを購入する人はオーダーメイドを好み、在庫車を購入しないのか)。

参考までに、「もっとも在庫が少ないクルマ」10車種のうち、9車種はトヨタとホンダが占めているというので、彼の地での日本車の人気の高さには改めて驚かされますね。

そしてちょっと前までは、新車の供給不足をいいことに、ディーラーが新車価格を引き上げて販売し、それによって大きな利益を得ていると言われていましたが、新車の供給不足が改善されれば、ディーラーの販売方法もまた急激に変化することになるのかもしれません。

あわせて読みたい、関連投稿

レクサス
この状況でも米自動車ディーラーの平均利益が2.4倍に伸びる!米ではモノの価格が日本に比較して変動しやすく、ディーラーが「新車不足を理由に」値上げしていることが原因か

| さらにアメリカの消費者は「品不足→値上げ」に慣れている | この傾向はまだ2-3年は続くことになりそうだ さて、現在は資材や半導体(マイクロチップ)不足、そしてロシアのウクライナ侵攻によって輸送上 ...

続きを見る

シボレー・コルベット
アメリカにて新車不足に乗じて正規ディーラーによる便乗値上げやブローカー行為が横行中!コルベットやハマーEVが新車の倍以上で販売される例も

| 車両価格を値上げするとさすがに問題があると見え、オプションの押しつけや希少性の強調にてそれを正当化しているようだ | たしかにアメリカは市場動向によって価格に流動性をもたせることが多いが さて、現 ...

続きを見る

参照:Automotive News

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

-■そのほか自動車関連/ネタなど, ■自動車各社業績/ランキング/記録等
-, , , , , ,