| 車両価格を値上げするとさすがに問題があると見え、オプションの押しつけや希少性の強調にてそれを正当化しているようだ |
たしかにアメリカは市場動向によって価格に流動性をもたせることが多いが
さて、現在はコロナウイルスの影響そして半導体(マイクロチップ)不足によって新車の製造が思うように進まず、よって需要に供給が追いついていないということが報じられていますが、アメリカではこれによる便乗値上げ(価格上乗せ)が問題となっているもよう。
日本では常識的にまず考えられないことではあるものの、アメリカでは正規ディーラーが「需要と供給とのバランスによって」価格を大きく上下させることはごく当たり前のことで、これまでにもシビック・タイプRが発売された際、その人気に乗じて希望小売価格の「倍くらい」で販売されていたことが報じられています。※ダッジ・チャレンジャー・デーモンが発売されたときも問題になった
ただ、車両そのものの価格を上げることはさすがに倫理に反するということなのか、「フロアマット75万円」などと付属品の価格を上げ、これら付属品との抱き合わせにて販売価格を上げているわけですね。
GMディーラーはGM社長の警告を無視
そして今回全米で問題となっているのがGM車、とくにコルベットとGMCハマーEVだそうですが、たとえばカリフォルニア州セルマのセルマ・シボレー(正規ディーラー)は、2022年コルベットに201,524ドルのプライスタグを掲げており、これは101,525ドルからの「倍」の価格。
ただしこちらも「需要と供給とのバランスから値上げしました」とは言えるわけもなく、その値上げの理由として「この車両は特別注文車であり、同じ仕様を持つクルマは1,000台しか製造されなかった希少車である」という理由を主張しています。
なお、GM本社もこういった実情を理解しており、よって北米ゼネラルモーターズ社長のスティーブ・カーライル氏は各ディーラーに対して「GM本社は、意図的な非倫理的販売行為やブローカー行為、顧客がシボレー、ビュイック、GMC、キャデラックブランドから期待する整合性を損なうような行動を取っているとを知った場合は、なんらかのアクションを起こさざるを得ません。私たちは、すべてのお客様に素晴らしい体験をしていただきたいと願っています。ディーラーの大半はこれを知っていると認識しており、全ディーラーがそれにコミットすることを望んでいます」と通知。
つまり「この状況に乗じて顧客の利益を損なうような不当な値上げを行った場合は、正規ディーラーの権利の剥奪などペナルティを与えることになりますよ」と警告していることになりますが、現場としてはこれを完全に無視しており、ガンガン値上げを行っているということになりますね。
加えて、GMはディーラーがこういった行為を行っていることに対してなんらかのアクションを(ディーラーに対し)実際に取っていないとも報じられ、これがまたディーラーの値上げ行為を助長している可能性もありそうです。
こういった状況についてアメリカの消費者は当然ながら非常に腹を立てており、不当な値上げを行うディーラーを晒したりといった行動も一般化しているそうですが、逆に特定ディーラーに不満を持つ消費者が「ありもしない値上げ」をでっち上げてそのディーラーを貶めようとするケースもあるといい、とにかく全米の新車販売についてはカオス状態となっているもよう。
その他にはこんな例も
上述のコルベットのほか、具体的に報じられている例としては、フロリダ州の正規ディーラーがコルベットZ06に対して「10万ドルの価格上乗せ」を行っていたり、テネシー州スプリングフィールドにあるライゼルマン・ビュイックGMCでは、ハマーEVエディション1について「115,139ドルのところ」285,000ドルで販売しているといい、こちらも相当な価格アップ。
参考までにですが、こういった「便乗値上げ」のほか「ブローカー」行為も以前から多く見られ、有名なのはアメリカのレクサスディーラーが「新車のLFAを」キープして小出しにて販売している例。
おそらくは「今後価格が上がる」と踏んで自社にて台数を確保し、後にプレミア価格で販売しているということになりそうですが、こういった例は「少なく」はないようです。
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