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フォードがF-150ライトニングの価格を最大で16.6%値下げ。製造原価やバッテリー調達コストが下がったことが理由だとされ、今後はほかメーカーでも値下げを期待できそう

フォードがF-150ライトニングの価格を最大で16.6%値下げ。ライバルであるシルバラードEVへの対抗だと思われるが、製造原価やバッテリー調達コストも下がったもよう

| おそらくメインの理由はシボレー・シルバラードEVなどライバルへの対抗であると思われる |

そして「下げるときは下げて」おいたほうが次に上げるときも「上げやすい」

さて、昨年暮れにテスラは「大幅な値下げ」を世界規模にて行い、これにいち早く追随したのが中国の自動車メーカー。

その後アメリカ、そして欧州の自動車メーカーについては「値下げの予定はない」として事態を静観していたものの、結果的にほとんどの自動車メーカーが値下げを行うこととなっています。

これについては「値下げしたメーカーの製品ばかりが売れる」という状況となるにつけ、強気を貫くことができなくなったからだと思われますが、今度はフォードが電動ピックアップトラック「F-150ライトニング」を最大で16.6%、金額にして最大9,979ドル(現在の為替レートだと約138万円くらい)引き下げると発表することに。

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値下げの理由は「製造コスト低減」

そして今回フォードがF-150の値下げの理由として公表したのは「製造コストが下がったから」。

フォードによると、工場の生産能力増強(生産規模の拡大により、1台当たりのコスト削減が可能になる)とバッテリー原材料費の改善を組み合わせたことで車両製造コストが下がり、これによって値下げが可能になったとしています。※今回の値下げにより、希望小売価格は発表当初の水準に近づいたものの、まだまだ当初の価格を上回っている

さらにフォードは、ミシガン州にあるフォードのルージュ電気自動車センターにつき、現在”最終的な工場アップグレードを完了するために一時的に閉鎖中”となっていて、しかし正常に戻れば年間生産台数は3倍になる見込みだともコメント。

早ければ10月には工場稼働率が大幅に改善され、今秋から(年産ペースで)15万台のフォードF-150ライトニングが製造されるそうですが、フォードはこの頃には「もう一段の値下げ」を行う可能性を示唆しており、全米の消費者はこれに大きな期待を寄せているのかもしれません。

なお、この値下げによってエントリーグレードである「Pro SR」は16.6%下がって49,995ドルから、その上の「XLT SR」は14.7%下がって54,955ドルから、「ELT ER」は11.3%下がって69,995ドルから、「ラリアットSR」は9.1%下がって69,995ドルから、ラリアットERは9.9%下がって77,495ドルから、プラチナムERは6.2%下がって91,995ドルから、という設定に。

Ford-F-150-Lightning (10)

フォードの言うことも一理ある

これを見ると、下の方のグレードがもっとも大きく下がっていて、やはり「単に売りたいから」値下げを行うんじゃないかという印象もありますが(さらにライバルであるGMのシボレー・シルバラードEVの価格が39,900ドルである)、フォードのいう「製造コスト」「バッテリーコスト」が車両本体価格に占める割合が最も大きいのが「エントリーグレード」であることは間違いなく、今回の値下げについては「売りたい」「コストが下がった分の還元」という2つの理由が半分半分なのかもしれません。

参考までに、「アメリカ産のEVは、車両価格8万ドルを上限として」税制優遇措置を受けることができ、今回の値下げにて対象車種が増えたこともけっこう大きく、これによってF-150の販売が伸びるのはまず間違いなさそう。

さらにフォードは7月6日から7月31日までの期間中、全国的なサマーセールイベントを行い、上位3グレードの購入者を対象に1,000ドルのボーナスを提供することも発表しており、加えて36ヶ月間1.9%という低金利を提供するそうですが、今回の価格引き下げについては「F-150ライトニングを発売した直後から、材料費の高騰、供給の制約、その他の要因により、フォードとお客様にとってEVトラックのコストが上昇しました。私たちは、お客様へ提供する製品の価格を下げ、新しいF-150ライトニングの待ち時間を短縮するため、アクセシビリティとアフォーダビリティを改善するために、水面下で努力を続けてきたのです。そして今回、その成果をこうやって還元できることを嬉しく思います」とコメント。

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数年前までの自動車業界では、「値上げのみ、値下げなし」が当然の風潮であり、様々な内的・外的要因でコストが上昇した分は値上げを行い、しかしコストが下がっても値下げを行わない例が大半であったと認識しています。

ただ、テスラは昨年の(サプライチェーン等の問題にて)値上げが続いていた際にも「この傾向が落ち着き、コストが下がれば値下げを行う」と述べていて、実際にコストが下がった際には値下げを敢行することに。

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こういった感じで「(正当な理由によって)価格を上げるときは上げるが、下げるべきときには下げる」という姿勢は非常に誠実であるように思われ、値上げと値下げの理由をちゃんと説明できるようにさえしておけば、再び値上げを行わざるを得ない状況になったときも理解を得やすいのかもしれません。※そしてテスラのような「頻繁な価格の上げ下げ」は自動車業界の新しい定番になるものと思われる

Ford-F-150-Lightning (13)

参考までにですが、昨年までの「値上げペース」は(自動車以外の)すべての業界において異常なレベルであり、これはメーカーにとっても「想定外」であったもよう。

よってメーカー側も「なんども値上げしなくてもいいように」先を見越して(ずっとコストが上昇し続けると考え)ガツンと値上げを行う場合が多かったのですが、その後値上げしなくてはいけない理由が解消したケースも多く、いくつかのメーカーは自動車業界同様に値下げを行っていて、たとえば高級腕時計メーカーのオーデマピゲもこっそり一部商品を値下げ済み。

一方シャネルは「上げたまま」なので利益が大きく増加した、という報道もなされています(シャネル属するLVMHグループは”値下げなし”の姿勢で知られる)。

そして自動車メーカーに話を戻すと、フォードのように「値上げすべき理由が解消した」自動車メーカーも多いものと思われ、ここしばらく続いた値上げブームも一段落し、値下げに転じたり、値下げを行わなかったとしても「同じ価格で装備を充実させたり」といった例が出てくるのかもしれません。

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