
| ナットやボルトに見られる「謎のカラフルな線」の正体とは? |
見た目以上にその「線」は重要な意味を持っていた
クルマのエンジンルームを覗いたとき、黄色や青、場合によっては赤やピンクの線や点が各所に描かれているのを見たことがあるかと思いますが、実はこの「線」、単なるマーキングの域を超え「非常に重要な意味を持つ“品質管理の証”」として機能しているのだそう。
これらのマークは工場での最終チェックや作業確認を示す「サイン」であり、つまるところトルクが正確にかかっているか、部品が正しい方向で取り付けられているかを示すチェックリストのようなものとして用いられています。
色のついた「マーキング」は、現場の言語
これらのマークは、大きく分けて2つのタイプに分類されます。
① ウィットネスマーク(Witness Mark)
ナットやボルトに線を引いて固定面とまたぐように記されたマークで、もしその線がズレていたり割れていれば”締結が緩んだサイン”として即座に発見できます。これはレーシングカーの整備でも使われる定番の手法です。
② トルクシール(Torque Seal)
ボルトの締め付け後に塗布される特殊なペースト状の塗料で、乾燥後にボルトが少しでも動くと塗料が割れる仕組みになっており、視覚的に異常を検出できるのが特徴です。
街の整備工場でも不正防止や確認のためによく使われているようですね。
使用される色に意味はあるのか?
ここでひとつ残念なお知らせ。
黄色=サスペンション、青=ブレーキ…のような業界共通のカラールールは存在せず、これらの色はあくまで視認性を重視して選ばれていて、工場ごと、または車種やラインごとに内部的なルールがあるに過ぎないとされています(高電圧ケーブル=オレンジ、電装系のアース、ACC電源や常時電源とは異なり、共通のカラーが決まっていない)。
つまり、「色そのもの」よりも、「そこにマークがあること自体」が重要というわけですね。
そしてこのマーキングは「外れたり緩んではならない部分」、つまりサスペンションや駆動系に用いられることが多いもよう。
オーナーにとっては安心材料、DIY派にとっては注意信号
これらのカラーマークは、ユーザーにとってきちんと組み立て・確認された証であり、これらを「見た目がイマイチ」として落とそうとする必要はまったくなく、むしろ、初期品質の高さを示す誇らしいサインとも言えそうです。
一方で、DIYを好む人にとっては「この部品は一度トルク管理された重要な箇所」という警告でもあり、とえば、サスペンションやブレーキにトルクシールが塗られていた場合、それを外して再度締めるときに「線を合わせればOK」というのはNG行為。
「サイン」よりもメーカー指定のトルクを重視し、トルクレンチにて正確に再締結する必要があり、必要であれば自分でトルクシールやペイントペンを購入し、作業完了後に新たなマークをつけることもでき、それこそがプロフェッショナルな整備と言えるのかもしれません。
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参照:jalopnik