| もしアストンマーティン・ヴァルキリーAMR Proがル・マンで活躍するようなことがあれば、その価値が大きく向上するのは間違いない |
ただでさえ限定台数は非常に少なく、価値の高いハイパーカーでもある
さて、アストンマーティンは40台のみのヴァルキリーAMR Pro(サーキット走行専用モデル)を発売していますが、そのうちの一台がRMサザビーズのプライベートセールに登場することに。
販売しているのはアラブ首長国連邦在住のオーナーで、その限定台数を考慮するならば今回は非常に数少ないチャンスということになるのかもしれません。
ちなみにアストンマーティンはヴァルキリー含む限定モデルについて「転売禁止」の姿勢を取っており(とくに契約書で縛るようなことはないようだ)、もし転売すれば二度と限定モデルを販売しない、と宣言しています。
このアストンマーティン・ヴァルキリーの内外装はブルーにて統一
今回販売されているヴァルキリーAMR Proにつき、特徴的なアストンマーティン・レーシング・グリーンではなく、ブルーとブラックという珍しいカラーを持っており、(ほかのヴァルキリーAMR Pro同様に)フルカーボンファイバー製ボディ、パースペックス製フロントガラスとサイドウィンドウ、そして巨大なリアウイングを備えます。
ヴァルキリーAMR Proはヴァリキリーの性能をさらに(公道走行という枠を取り払うことで)引き上げたサーキット走行専用モデルであり、アストンマーティンによれば「訓練を受けたドライバーでないとコーナリングフォースに耐えることができず失神する」「サーキットによってはF1マシンやル・マン・レーサーよりも速い」。
実際のところ、ル・マンでその実力を示しバーレーン8時間レースで優勝したトヨタGR010の(バーレーン・インターナショナル・サーキットでの)ベストラップは1:50.125、しかしヴァルキリーAMR Proは同じサーキットを1:48にて周回しています。
ヴァルキリーAMR Proに搭載されるのは自然吸気6.5リッターV12エンジンで、回転数11,000RPMの時点で1,000馬力を発生することになりますが、この出力は「自然吸気エンジンでは史上最高の出力」。
なお、重量軽減のためにハイブリッドシステムが取り払われているために1,160馬力を発生するロードバージョンのヴァルキリーよりも出力は劣るものの、「軽さ」を武器に(公道走行バージョンの)ヴァルキリーよりも機敏な動作を見せるものと思われます。
エアロパーツはロードバージョンのヴァルキリーとは大きく異なり、この「うねるような」エアロパーツがヴァルキリーAMR Proの一つの特徴でもありますね。
ウイングはいくつかの小さなステーにて保持されています。
エンブレムは「(軽量化のため)薄さ数ミクロンしか無い」と言われていたものの、画像を見るに、(限定ではない、アストンマーティンの通常の)市販車ほどではないにせよ、少し厚みがあるもよう。
この個体はすべてが問題なく機能することを確認するために工場でシェイクダウンが1回行われ、プライベートトラックデーに1回参加しているものの、実質的には「ほぼ新車」。
走行距離は記載されていないものの、数十キロではないかと推測されます。
このアストンマーティン・ヴァルキリーはこんなインテリアを持っている
そしてこちらはこのヴァルキリーのインテリア。
外装同様に濃いブルーとカーボンファイバーをベースに仕上げられています。
左右シートを隔てるのはセンタートンネルというよりは「一枚の板」。
シュート左右が「隙間なく隣り合って」おり、それだけロールセンターを寄せているということがわかります(前面投影面積を小さくするためにコクピットが小さいということも関係している)。
エンジンスタートはキーにて行うようですね。
ステアリングホイールは完全にレーシングカー(ただしスイッチ類は機能別に色分けされていない)。
なお、このアストンマーティン・ヴァルキリーAMR Proはプライベートセールにて販売されているために価格は非公開となっており、販売価格を知るにはRMサザビーズへと連絡する必要が生じますが、ヴァルキリーAMR Proの新車価格である3,500,000ドル(現在の為替レートにて約5億3000万円)を上回るのは間違いなく、しかしアストンマーティンはヴァルキリーAMR Proにてル・マン24時間レースへと参戦することを表明しており、もしル・マンで優勝するようなことがあれば、その価値はさらに大きく跳ね上がることになるのかもしれません。
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参照:RM Sotheby's