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「金持ちけんかせず」。2月に海の藻屑となったベントレー189台のオーナーは、その不幸を伝えられたとき、誰一人として怒らなかったという

2022/10/18

ベントレー

| そしてベントレーは事故を処理する前から再生産の準備を行い、すでにすべての台数を生産し納車済み |

不幸な事故ではあったが、中にはいくつかの「幸運」も

さて、今年2月に「欧州を出発しアメリカに向かうフォルクスワーゲングループの貨物船(フェリシティ・エース)が炎上し、様々な理由から沈没させられることになった」という痛ましい事故が発生していますが、この船にはフォルクスワーゲンはもちろん、ランボルギーニ、ベントレー、アウディ、ポルシェといった同じグループの車両が積まれており、その総数はおよそ4000台だったと報じられています。

そのうち1,100台がポルシェ、そして189台がベントレーであったといいますが、ベントレーはこの189台を比較的早期に再生産しており、今回「なぜそんなに早く作り直すことができたのか」が明らかに。

当時は事情が「最悪」に近かったが

なお、2022年2月というとコロナウイルスはもちろん、深刻なチップ不足に悩まされていた時期であり、その状況で失ったクルマを生産するのは至難のワザ。

参考までに、ベントレーは(こういった事態を予測してか)通常アメリカ行きの船には40台から70台しか車両を載せないそうですが、なぜかこのときに限っては189台もの車両が載っており、さらにそのうちの151台は受注済み車両とカスタムオーダーによって作られた車両だったもよう。

ただ、事故の知らせを聞いたベントレー上層部はすぐさま(船が沈没する前に)これら輸送中だった車両のデータを拾い上げて直近の生産ラインに組み込んだといい、しかし「不幸中の幸い」というべきか、当時中国では(ロックダウンの影響か)需要が大きく減少し、かつロシアのウクライナ侵攻によってロシアの需要も消し飛んでいたため、そこに「再生産分の」車両を押し込むことができたと言われます。

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ベントレーの顧客は「誰も怒らなかった」

一方、クルマを受け取るほう、つまりアメリカ側のベントレーには事故後すぐに情報が伝達されたといい、その中でも多くの販売を誇るベントレー・マイアミの総販売責任者であるホアン・ヒネストローザ氏は、顧客に「悲しいお知らせ」を行うべき責を負った人物その人で、しかしそれを顧客に伝えたところ、顧客の誰一人として怒るものはなく、むしろ理解を示してくれたと語っています。

なお、こういった「遅延に対する許容性」は、コロナウイルスのパンデミックを境として確実に顧客の間に広がっているそうで、このような状況は「不幸中の幸い」だったのかもしれません。

加えて、ベントレー本社が生産枠を確保したおかげで再生産や納車のスケジュールを顧客に伝えることができ、その過程では仕様変更も受け付けたそうですが、最終的に注文の内容を変更したのはただ一人(ボディカラーのみ)だったことも明かされています。

さらにいうならば、今回の件を通してベントレーと顧客との絆は確実に深まったとも考えられ、一時は年間販売量の20%に相当する189台を失ったものの、すでにすべての車両が再生産され、かつ納車が完了しているそうで、「雨降って地固まる」という出来事だったのかもしれません。

それにしても、ベントレーの顧客が「誰一人として怒らなかった」というのは、その良質な客層を示す一つの事例だと考えることもできそうですね。

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参照:Automotive News

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