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「見たものを記憶し、そのまま絵に書くことができる」自閉症のアーティストを起用したベントレーのアートカー、「ビロンギング・ベンテイガ」が公開。多様性を表現

「見たものを記憶し、そのまま絵に書くことができる」自閉症のアーティストを起用したベントレーのアートカー、「ビロンギング・ベンテイガ」が公開。多様性を表現

| ベントレーはこれまでにも人種や性別、宗教の多様性を重視し、あわせて3台のアートカーを作成している |

ベンテイガのボディに描かれたのは29の風景、そしてそこに暮らす人々

さて、ベントレーが「世界で最も多様性に富んだラグジュアリーカーメーカーを目指す」というミッションの次のステップとして、「Belonging Bentayga」を発表。

このベンテイガには、ハンドペイントにてニューヨーク、ロンドン、パリ、ローマ、ミラノ、ベニス、東京、香港など、世界各地の有名な建物が描かれており、合計で29の異なるランドマークが描かれることに。

そしてこの風景をベンテイガに描いたのはイギリスの建築アーティストであり、”一度見ただけでその風景を描くことができる”ことで知られる自閉症の天才、スティーブン・ウィルシャー。※今回もやはり、記憶を頼りに描いている

Belonging Bentayga - 9

ちなみにですが、ベントレーは多様化を強く意識しており、性別や国籍、宗教に関してもことあるごとに「多様化」を打ち出しており、継続してその姿勢を示すための様々な活動を行っています。

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「車体にハンドペイントされるベントレーは今回が「初」

このベントレー・ビロンギング・ベンテイガは、ベントレー・エクセレンス・センターのビスポークペイントチームが独自のプロセスで開発・製作したものだといい、このようにハンドペイントされた車両を制作するのは「初」。

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なお、奇しくも同時期にブガッティがシロンのボディに直接ハンドペイントを施すという「シロン・ゴールデンエラ」を公開しています(ベントレーとブガッティは同じグループに属している)。

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このデザインには、世界中の人々が1つのデザインに統合された姿が数多く描かれており、ベントレーいわく「スティーブン・ウィルシャーがビロンギング・ベンテイガの制作に協力してくれたことを大変嬉しく思っています。この素晴らしいクルマは、ベントレーのクラフツマンシップとスティーブン・ウィルシャー独自の芸術的才能を讃えています。加えてこのクルマは、業界をリードする、ダイバーシティ&インクルージョン計画を含んだ当社の”Beyond100”戦略の重要な要素でもあります」。

Bentley-Bentayga (2)

さらには「現在ベントレーの従業員は52カ国の国籍の人々で構成され、多様なチームが手作業で高級車を製造し、製造されたクルマは世界67カ国で幅広く販売されていることを大変誇りに思います。ビロンギング・ベンテイガのユニークで印象的なイメージが発信するメッセージは、どこに住んでいても、あなたは所属しているということです。すべての人が最高のポテンシャルを発揮できるようサポートするという私たちの企業文化は、スティーブン・ウィルシャーの "最善を尽くし、決して立ち止まらない "という理念を反映しています」とも。

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スティーブン・ウィルシャーは「3歳で自閉症と診断され、5歳まで喋ることができなかった」

スティーブン・ウィルシャーは 「建物には物語があります。生まれた場所、最初の仕事、結婚した場所、幸せな思い出は幸せな人々を意味します。私はキャリアを通じて多くの旅をしてきましたが、最も印象に残っているのは、建物、その建築様式、そして人々です。ベントレーとビロンギング・ベンテイガは同じように、人々を結びつけ、旅を創造し、思い出を創造するものだと信じています。私のアートは常に、存在し、つながることをテーマにしてきました。ビロンギング・ベンテイガは私にとって大きな挑戦でしたが、自分の能力を試されるような挑戦は好きですし、心を込めて取り組めばどんなことでも乗り越えられるという証明でもあります。完成したクルマは、私のささやかな意見ではありますが、とても素晴らしく、誇りに思っています」。

Belonging Bentayga - 6

スティーブン・ウィルシャーは、西インド系の両親のもとロンドンに生を受けますが、幼いころは口がきけず、3歳のときに自閉症と診断されています(5歳まで話すことができなかった)。

しかし、彼の家族や教師は、スティーブンが言葉を使うのではなく、絵を描くことでコミュニケーションをとっていることに気づくわけですね。

Belonging Bentayga - 8

最初は動物を描いていたものの、やがてバス、そして建物へと変化し、過去にはヘリコプターに乗ってメキシコシティを上空から眺め、その記憶のみを頼りに完璧なメキシコシティのパノラマ図を描いたことも。

ただし、その精密さに加え、スティーブン・ウィルシャーのタッチは「繊細なウィットに富んでいる」ことも1つの特徴であり(ただそのまま都市風景を再現するだけではない)、その作風は世界中から賞賛を浴びることとなっています。

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ベントレーは2021年、多様な経験や考え方が基本的に重要であることを認識したといいますが、ダイバーシティとインクルージョンを強化するため、アウトリーチ、リクルート、サクセッション、プランニング、カルチャー、ディベロップメントに焦点を当てた5段階の戦略を打ち出すことに。

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この戦略の開始を記念して、ベントレーのデザインチームは、あらゆる形態の多様性を称える車のアートワークを制作することに挑戦することになりますが、第一弾として製作されたのが「アンユニファイイング・スパー」。

これはベントレーのデザイナーであり、余暇には画家や彫刻家としても活躍するリッチ・モリスによって制作されています。

そしてこの作品は、プログレスフラッグの9色をベースに、「Love is Love(愛は愛)」という言葉を、顔、踊る姿、形をなぞる1本の線で結びつけ、人種、信条、セクシュアリティに関係なく、人類を統合する力を表現しているわけですね。

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2020年7月には、レインボーにインスパイアされたベントレーのコンチネンタルGT V8コンバーチブルも発表されており、これはベントレー本社(クルー)含む世界各地の従業員の多様性に対する誇りと、コロナウイルスの危機から立ち直り始めたベントレーのの希望と感謝という重要なテーマを表現しています。

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話をビロンギング・ベンテイガに戻すと、このスティーブン・ウィルシャーの起用もまた多様性の1つだと考えられ、言語によるコミュニケーションのみが意思伝達の手段ではなく、また自閉症の人は他の人に比較して「異なる表現手法を持っている」ということを示したかったのかもしれません。

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スティーブン・ウィルシャーがビロンギング・ベンテイガに描いたランドマークは東京、クアラルンプール、マレーシア、香港に・・・。

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ドバイ、ミラノ、ローマ(バチカン市国、トレビの泉、コロッセオ)、ピサの斜塔、パリ(凱旋門、エッフェル塔)、ケルン大聖堂、アムステルダム、バルセロナ(サグラダ・ファミリア)、ヴェネツィア(リアルト橋)、ロンドン(ガーキン、ビッグ・ベン、セント・ポール大聖堂、ロンドン・アイ、テート・モダン、タワー・ブリッジ、ネルソン・コラム、シティ・ホール、バタシー・パワー・ステーション、トラファルガー・スクエア)、さらに・・・。

Belonging Bentayga - 12

引き続きロンドン(ポール大聖堂、ロンドン・アイ、テート・モダン、タワー・ブリッジ、ネルソンの円柱、シティ・ホール、ロイヤル・アルバート・ホール)、ニューヨーク(ブルックリン橋、セントラルパーク、自由の女神、マンハッタン)。

Belonging Bentayga - 11

これらはいずれもスティーブン・ウィルシャーが実際に訪れ、自分の目で見た光景であると思われ、そこで感じたことと織り交ぜながらこのビロンギング・ベンテイガにその都市と物語を表現している、ということになりそうです。

なお、このビロンギング・ベンテイガがこの後どうなるのかについては触れられていませんが、おそらくはこれまでのアートカーと同じく競売にかけられ、収益金が「多様化を推進する」組織や団体へと振り分けられることになるものと思われます。

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参照:Bentley

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