| ベントレーだけではなく、多くのプレミアムカーメーカーがレザーの重要性を認識 |
正しい方法で採取し、正しい方法でなめすことができれば、レザーもけして「悪」ではないと思う
さて、ベントレーがモントレー・カー・ウィーク期間中に新型車を発表するということ、そしてその新型車にオーガニックレザーを採用することをアナウンス。
なお、このニューモデルについてはなんらわかっていないものの、ベントレーはコンチネンタルGTのフェイスリフトモデルをテストしていること、そしてフライングスパーV8プラグインハイブリッドの発売を計画している可能性があることから、これらのうちの「いずれか」が発表されるものと思われます。
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ベントレーの「オーガニックレザー」はこんな素材
そこで今回ベントレーが使用するというオーガニックレザーについて触れてみたいと思いますが、従来だと皮革を加工する際、なめし工場では金属、鉱物、アルデヒドなど、あらゆる種類の有害物質を使用していたといい(たしかに映画”パフューム”では皮革なめし職人の寿命が短いというセリフがあった)、しかし今回ベントレーがなめし工程で使用するのは「オリーブ工場廃水(Olive Mill Wastewater:OMW)」。
この技術のおかげで、このレザーはそれらの有害物質を含まない有機素材でなめすことができるようになるといい、人はもちろん環境にも優しいレザーということに。
このレザーはパスビオ(Pasubio SpA)というサプライヤーによってベントレーに供給され、このオリーブ工場廃水加工から生まれた素材は柔らかくしなやかで、特に高級車にはよくマッチすると説明されています。
ベントレーにてレザー技術エキスパートを務めるマーク・スタン氏は「レザーは、ベントレーのインテリアに不可欠な要素であり、ベントレーの特徴的な仕上げを生み出すための重要な要素です。レザーは耐久性にも優れており、製造されたベントレーの84パーセントが現在も英国の道路を走っているのですから、特に重要な素材であることは間違いありません」とコメント。
この新素材は、ベントレーの持続可能なレザー戦略における最新の施策となりますが、ベントレーはすでに(使用する)レザー素材が欧州連合(EU)産であり、森林伐採と無関係であることを保証するため、厳格なトレーサビリティ要件に取り組んでいることもアナウンス済みとなっています。
ベントレーは一時「脱レザー」を進めたが
なお、ベントレーは自動車メーカーの中でも非常に早い時期から(2017年くらいから)脱レザーを宣言していて、ウール内装やクラゲから作ったレザーライクな素材の採用を進めており、しかしどうやら顧客が拒否反応を示したもよう。
同時期にレンジローバーもレザー以外の内装の拡充を進めたものの、レザーよりも価格が高い割に耐久性が低かったためかほとんどそれを選ぶ顧客はいなかったと言われます。
そしてロールス・ロイスは「レザー以外も揃えているが、実際にレザー以外を選ぶ客はいない」としてレザーが高級車に不可欠な素材であることを宣言。
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ロールスロイスCEO「レザー以外の内装も用意しているが、今までにそういったオーダーを受けたことはない。レザーが高級素材として求められるのには理由がある」
| やっぱり今のところはレザーを超える高級な張り材は無いのかもしれない | 結局ベントレーも「脱レザー」ができずにレザーに回帰 現在世界中がエコでサステナブルな方向へと動いており、そして何かと槍玉に挙 ...
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そういった背景もあってかベントレーは「レザーに回帰」することを決め、しかしなるべくサステイナブルそしてエコであろうと努めているというのがここ数年の流れとなっていて、今回の「オリーブなめし」もその手段の一つということに。
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ベントレーが翻意?数年前は「レザーの使用をやめる」と主張したものの、今回「いやいやレザーはエコなんですよ」と180度方針を転換
| やはり高級車を手掛ける以上、どうやってもレザー不使用を貫くのは難しいのかもしれない | それはベントレーの問題ではなく、多くの顧客がレザーでないと許さないのだろう | ベントレーが「皮革メーカーの ...
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参考までにメルセデス・ベンツも過去にはレザー不使用を検討したもののレザーを(おそらくはベントレーと同じ理由にて)採用し続け、反対の例としてボルボが「レザー不使用」へと踏み切っています。
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ボルボが今後、「EVにはレザー不使用」と宣言!ラインナップがすべてEVになれば完全にレザーを使用しない自動車メーカーに
| レザー採取のために殺される動物が減るのは歓迎すべき | 正直、ボクはレザーが採用されていなくてもあまり気にしない さて、ボルボは「ボルボC40リチャージ」を皮切りに、すべての電気自動車にレザーを使 ...
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そしてもうひとつ参考までに、レザーの代わりに使用される「エコレザー」については様々な意見があり、「動物性の素材を使用していない」というだけで実はエコではないといった指摘もあるもよう。
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マクラーレンやアストン等にレザーを供給する天然皮革メーカーが「ヴィーガンレザーはエコではない」とモノ申す。「樹脂が含まれリサイクルできず、有害物質を含む」
| 事実を確認せずにヒステリックに自分の考える「エコ」を盲信する人々も少なくない | ヴィーガンレザーが今後どこまで不普及するのかはわからないが さて、「エコだと信じていたものが実はエコではない」とい ...
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反面、レザーそのものの高級性を否定する声もあり、レザーに関する問題は色々と解釈が難しい側面を持つようですね。
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「本革を高級品と考えるのは日本と中国だけですよ」。環境意識から自動車の内装に合成皮革の採用が拡大するも、合成皮革の殆どは石油由来でありエコではないという矛盾が発生
| 世の「エコロジー」の多くが表層を捉えるにとどまっているだけのようにも感じられる | 結局はグリーンピースの言うように「クルマにを作るな、乗るな」というのが究極の結論? 現在自動車業界において本革の ...
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参照:Bentley