| ロールス・ロイス「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」は4つのモデルで構成される |
ロールス・ロイスはこのモデルのために特別な「龍」をデザイン
さて、ロールス・ロイスは先日2023年の業績を発表し、ビスポーク(カスタム)のオーダーが増えたことで利益が押し上げられたとコメントしていますが、今回は(4台にて構成される)中国の旧正月を祝う特別仕様車「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」を公開。
これは国境を越えた中国文化の国際的な広がりと影響を祝うもので、ロールス・ロイスいわく「中国文化に対する私たちの敬意を力強く表現するものであり、世界中の高級品消費者の間で見られるトレンドに沿った、現代的でミニマリストのステートメント」。
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ロールス・ロイス「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」はこんなクルマ
この4台の「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」は3台のファントム・エクステンデッド・ホイールベースと1台のカリナンにて構成されており、”力、成功、繁栄の不朽の国際的な象徴であるドラゴン”からインスピレーションを得たもので、ロールス・ロイスの専任アーティストがひとつひとつ手描きしたドラゴンが随所に用いられています。
これらドラゴンはそれぞれ中国文化の繁栄と幸運を表すレッドにて表現されていますが、アーティストは複数のレッドを使用して4つの個別の段階を経てドラゴンをペイントしており、まずドラゴンの最初の輪郭は「フェザリング」技術を使用して描かれ、ドラゴンが火の中に浮かんでいるかのような炎の効果を生み出し、その祝賀的な性質を反映しています。
これに続いて、より暗い赤の色合いでさらに3つのレイヤーが続き、これらの各色は、レッド、ホワイト、イエロー、ブラウンを異なる割合で個別にブレンドしまし、この開発プロセスだけで完了までに3日を要したとこのと。
そしてこれら4つのレイヤーを組み合わせることで、アートワークが「浮き出たかのような」リアルな3D効果が生まれるわけですね。
ドラゴンのモチーフは社内の随所に用いられる
そしてこのドラゴンのモチーフはインテリア全体に広がっており、4つのシートのヘッドレストにはフェニックス レッドのステッチにてドラゴンが再現されることになりますが、動きを感じさせるダイナミックな龍の表情を表現するため、職人は縫い目の方向を正確に合わせたり、縫い目の密度を調整するといった工夫を取り入れてることに。
これによって「尾」に沿ってステッチ角度を意図的に変化させることで全体の流れが強化され、デザインにも流動感が生まれ、 それぞれの刺繍は5,449針で構成され、完成までに約20時間が投じられています。
なお、インテリアにおけるハイライトは「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」のために特別に作成され、3か月にもおよぶデザインと開発時間がかけられたビスポーク スターライト ヘッドライナー。
運転席と助手席の上には、677個の光ファイバーによる「星」が個別に配置され、抽象的なドラゴンのモチーフを形成し、さらに667個のライトによって囲まれています。
これらをすべて手作業で完璧に配置するには、20時間以上の作業が必要で、上海の顧客に納車される個体では中国文化における赤の象徴性を大胆かつ現代的に表現した赤い「星」を組み込んだビスポーク・スターライト・ヘッドライナーが採用されているのだそう。
なお、納車される4台はそれぞれ固有の仕様を持っており、このカリナンだとクリスタル仕上げのセルビーグレーの上にクリスタル仕上げのデュオトーンのチェリーレッド。
そしてこちらはシルバーとチェリー・レッドのツートンカラー。
いずれの個体もフェニックスレッドで手描きされたビスポーク コーチラインを特徴としており、ドラゴンのモチーフがさりげなく組み込まれているそうですが、それぞれの龍は右を向いており、これは東、つまり太陽が昇る方向を象徴的に表しているのだそう。
私たちの目的は、力の象徴としての本質を捉えたドラゴンの現代的な解釈を生み出すことでした。 躍動感とエネルギーを感じさせるデザインで、原動力となる龍を表現し、その威厳と存在感を奥行きと複雑さで表現しています。 私たちのビスポーク コレクティブにとって、このような重要なアイコンを再解釈することは、インスピレーションを与える旅でした。 私たちのビスポーク職人は、これら4台のビスポーク車両を通じ、ドラゴンの表現に独自の微妙な次元と個性を加え、単一のデザインがさまざまな媒体や工芸技術によってどのように変化するかを示したのです。
ロールス ロイス モーター カーズ ビスポーク デザイナー レベッカ・ディヴィース
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参照 / Photo:Rolls-Royce