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予想落札価格は5億4300万円。3台のみの限定シリーズ、さらには納車後にブガッティによるアップグレードが与えられ続けたシロンが競売に

予想落札価格は5億4300万円。3台のみの限定シリーズ、さらには納車後にブガッティによるアップグレードが与えられ続けたシロンが競売に

Image:RM Sotheby's

| このブガッティ・シロンには「ほかに見られない」多数の仕様が盛り込まれている |

納車後に「シロン」から「シロンスポーツ」スペックにアップグレード

さて、3台のみが生産されたというブガッティ・シロン”ラ・メール・アルジャンテ(La Mer Argentée)”がRMサザビーズの開催するオークションへと登場。

ブガッティは常々自社のクルマをして「自動車を超越した芸術品である」と述べていますが、このシロンについても文字通りの「アートピース」ともいうべき作品に仕上がっていることがひと目見てわかります。

そしてこのシロンのにはいくつか特筆すべき点があり、それらは「ワンオーナーであること」「一旦納車された後にブガッティの手によって何度かカスタムがなされていること」。

ここでこのシロンの詳細を見てみましょう。

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ブガッティ・シロン”ラ・メール・アルジャンテ”はこんなクルマ

このシロンブガッティ・シロン”ラ・メール・アルジャンテ”は2016年4月にオーダーされており(つまりかなり早い時期に注文された個体である)、アルジェンテ=銀(メール=海)の文字が示すように液状のシルバーをイメージした仕様だと思われます。

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なお、当初のボディカラーはアルジェント・メタリックですが、後にブガッティによって現在の「クローム」へとラッピングれされており、「ブガッティがラッピングを行った」という非常に珍しい個体だということに。

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そしてこのクロームを表現するに際しては塗装や蒸着では不可能であったと考えてよく、それが故の「ラッピング(それ以外に手段がなかった)」なのだと思われます。

仮にシロンのボディがアルミニウムであればアウディ・アヴス・コンセプト、アウディASFコンセプトのように「鏡面仕上げを行う」といった手段もあったかと思いますが、シロンのボディ化はカーボンファイバー製なので、それも”不可能であった”のでしょうね。

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なお、もともとのアルジェント・メタリックはこのエンジンカバーのカラーだというので、ラッピングによって大きくイメージが変わったと考えて良さそう。

ちなみにですが、ヴェイロン時代にもこういった「金属」をテーマにした仕様が存在し、「サン・ダルジャン(Sang d’Argent)」「ソレイユ・ドゥ・ニュイ(Soleil de Nuit)」といったモデルがリリースされていますね。

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一方のインテリアはベルーガブラックレザー、シート上にはイタリアンレザーのステッチ、そしてシートベルトもイタリアンレッド(コンフォートシートのオプション価格は25,000ユーロ=約396万円、ヘッドレストのステッチは4,500ユーロ=約72万円)。

初期のシロンということで、ここ最近公開されるシロンほどの多彩な、そして繊細かつ芸術的な仕上げを持っていないので「レトロ」にすら感じられますが、これはつまりブガッティ自身も「シロン」という一つの世代の中で、おそらくは顧客の要望を通じて様々なカスタムを行うようになり、要望を満たすだけの技術を身につけていったということを意味するのだと思います。

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このブガッティ・シロン”ラ・メール・アルジャンテ”は高度にカスタムされている

そこでこのシロン”ラ・メール・アルジャンテ”が納車後にいかに「成長したか」を見てみると、まずは納車から二年後にブガッティの工場へといったん戻され、そこで「シロンスポーツ」スペックのアップグレードサスペンション、カーボンフロントガラスワイパーを含むパフォーマンスパッケージが装着されることに。

その際にホイールはポリッシュ加工がなされたアルミニウム「コース」ホイールへと交換され、この際のコストは125,000ユーロ(約1980万円)。※ブレーキキャリパーのレッドペイントは納車時に選択されたオプションであり、これは3,000ユーロ(約48万円)

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さらに同じ年の5月にはミラーシャインの新しい馬蹄形グリルとサイドメッシュが装着されたそうですが、この「EB(=エットーレ・ブガッティ。ブガッティの創業者)」エンブレムが装着されるというのはかなり珍しい仕様。

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ちなみにブガッティのカマロンエンブレムは酸化しているように見えますが、これはおそらく素材が「銀無垢だから」だと思われます。

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こちらが新しいメッシュグリルで、これらを含めると62,250ユーロ(約986万円)の費用がかかっています。※この際に「アルミニウムラッピング」も施工されている

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その後、このシロンは4本のタイヤ交換(16,000ユーロ=約254万円)、2022年には定期点検(8,125ユーロ=約129万円)といったコストが投じられたとのこと。

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なお、現在の走行距離は4,758kmにとどまり、出品に際してはブガッティ オーナーズ ハンドブックとマニュアル、オリジナルの販売請求書に加え、ブガッティ工場でのアップグレードや各種サービスに関連する多数の請求書が付属する、とアナウンスされています。

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そしてこちらが固有のシリーズ”ラ・メール・アルジャンテ”であることを示すプレート。

このプレート一枚とっても、精緻に彫り込まれ、そして精密な加工がなされたビスをもって取り付けられていることがわかりますね。

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そしてこちらのエンブレムもブラシ仕上げ。

ひとつひとつの、そしてどんなパーツであっても単体で「芸術品」として機能するかのようなフィニッシュです。

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このシロンは「限定シリーズ」のうちの1台で、さらにはブガッティが直接手を下してカスタムを行ったという経歴を持っており、ブガッティの歩みを知る上でも非常に高い価値を持つと考えて良さそうですね。

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参照:RM Sotherby's

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