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はじめて「市販車にカーボンモノコックを採用した」ブガッティがカーボンファイバーに関するこだわりを公開。「1ミリでも織り目がずれるとアウトです」

2023/10/16

はじめて「市販車にカーボンモノコックを採用した」ブガッティがカーボンファイバーに関するこだわりを公開。「1ミリでも織り目がずれるとアウトです」

| ブガッティのカーボンファイバーが非常に高価な理由はこの「こだわり」にあった |

「ヴィジブル」カーボンファイバーの実現には想像を遥かに超える苦労があった

さて、ブガッティがその内外装はもちろん車体構造においても重要視しているという「カーボンファイバー」に関するコンテンツを公開。

なお、(現在のブガッティの前の体制下にて発売された)EB110は自動車業界ではじめてカーボンファイバー製モノコックシャシーを採用したクルマだといいますが、それ以降(会社が変われど)カーボンファイバーはブガッティのリリースするハイパースポーツにとって重要な要素であり続けてきたといい、今回カーボンファイバーへのこだわりを余すところなく述べています。

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現在ブガッティは「9種の」異なる色合い、そのほか様々なレベルのカーボンファイバーを顧客に提供

一般的にカーボンファイバーは繊維が重なり合ったシートから作られており、その繊維の太さは人間の髪の毛の10分の1程度と非常に細いという特徴を持っています。

このカーボンファイバー繊維で作られた車体部品の重量は、アルミニウムで作られた部品よりも20〜30%、スチールに比較して50%軽く、しかも非常に高い耐久性を誇りますが、”繊維の配列方法”によって強度が大きく変わるそうで、繊維が向いている方向の剛性が最も高いのだそう。

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そして現在ブガッティでは9色の着色カーボンファイバー製ボディを提供していますが、この仕上げを完璧なものにするには数ヶ月を要し、カーボンファイバーの視覚的な重要性と構造的な重要性の両方を理解する経験豊富な職人の技術が必要とされる、と述べています。

最も製作に時間を要するのは長さ約2mmもあるサイドパネルで、この製作には1週間近くを要するといい、まずは原材料を型に入れ、オートクレーブにて約2時間「焼成」することに。

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この部分を含めボディパネルの製作に関し、ブガッティのエンジニアは材料の専門家と協力し、クルマに必要な剛性を与えるためにカーボンファイバーの向き(方向)を正確に指示するそうですが、織り目が目に見える”ヴィジブル”カーボンファイバー仕上げを選ぶ顧客のため、最初のレイヤーでカーボンファイバーの方向を決めるのは美観を担当するデザインチームだとされ、車体表面全体に流れるようなパターンを作り出し、視覚的にクルマのラインを強調すると同時に、パネル間を完璧に並べるという作業を行います。

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なお、(現代の)ブガッティのボディパネルはいずれもカーボンファイバー製ではあるものの、ヴィジブルカーボンファイバーを選択するとおよそ4000万円ほどのコストが必要となり、その「4000万円」はカーボンファイバーの織り目の向きや流れ、各パネルの整合性を取るために費やされるということになりそうですね。

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そしてデザインチームは、カーボンファイバーが45度の角度で並べ、(左右を合わせた)真ん中が完璧な左右対称のフィッシュボーン形状となるように成形することになりますが、仮にこれが1度でも2度でもずれると、パネル全体を一から作り直さなければならなくなるほか、繊維の位置がずれていたり、ほつれがあったり、素材に凹凸やねじれがあったりすると、やはりパネルを作り直さなければならなくなります。

よって素材の専門家とデザイン・チームは”表面にわずかな欠陥も存在しないよう”慎重に作業を進めることになり、ここもやはりコストが(織柄が見えなくていい、上から塗装することを前提としたカーボンファイバーよりも)かかる部分です。

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ブガッティのボディパネルは「世界で最も高価なパズル」

実際のところ、ブガッティCEO、クリストフ・ピオション氏によると「完璧なカーボン・ファイバー仕上げを実現するためには、熟練した職人による作業であっても数ヶ月を要し、業界で最も幅広い色合いと仕上げを提供できるよう努力しています。何千本ものファイバーが完璧に作られ、途切れることなく理想的な角度で車全体に流れるようにするために必要な精度は、膨大なレベルの専門知識、忍耐力、才能を必要とします。ボディはブガッティのハイパースポーツカーで最も目につく部分であり、私たちのクルマのエンジニアリングとデザインのひとつひとつに施されている細部へのこだわりを、ボディにも表現したいのです」とコメントし、カーボンファイバーに対するなみなみならぬ意気込みを語ることに。

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しかし、これらのパネルがブガッティの非の打ちどころのない基準に達したとしても「全体としての整合性」が取れていなくてはならず、ブガッティいわく「世界で最も複雑なエンジニアリング・ジグソーパズルの一部として、すべてのピースが完璧なハーモニーを奏でなければなりません」。

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よって組み付け時にはすべてのパーツとコンポーネントの間に最適な「フラッシング・ギャップ」を確保しつつ、カーボンファイバーの織り目の流れを完璧に整える必要が出てきますが、もちろんこのプロセスには細心の注意が払われ、そして時間がかかるもので、しかしこれはブガッティが長年にわたって磨き上げてきたプロセスであり、モルスハイムのアトリエ(ブガッティの本社工場)から出荷されるすべてのハイパーカーが完璧であることの証明ともなっています。

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そして各パネルを組み付けるという「パズル」が完成するとようやくパネルを仕上げることができるようになり、塗装技師がひとつひとつクリアコートを塗布し、サンドペーパーで磨き上げてから再度塗布することで織り目が強調された豊かな光沢が生まれます。

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顧客の希望があれば、微妙な色合いを施し、クリアコートの上に着色することでカーボンファイバーの美しさを維持したままカラーエフェクトをかけることも可能となりますが、これで「終わり」ではなく、さらに3層のクリアコートを完全に手作業で塗り重ね、ここでようやく塗装が完成するのだと紹介されています(カラーカーボン仕上げが異常に高価なのはこの工程がプラスされるからである)。

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参照:Bugatti

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