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アウディが「再々度」の命名法則の変更を発表。一周回って「もとに戻る」も、数字やアルファベットの示す意味を理解していなければ「非常に覚えにくい」名称に

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| 電動パワートレーンの登場、ラインアップやボディ形状の多様化がこの現象に拍車をかける |

アウディのみならず、多くの自動車メーカーが命名には苦戦している

さて、現在多くの自動車メーカーが困っているのがその「ネーミング」。

名前を持つクルマであれば問題はないものの、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディのように「車名が数字とアルファベット」にて構成されるクルマの場合は非常にやっかいで、これらジャーマンスリーは過去になんどか「命名法則を変更」していますね。

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アウディがまたまた命名法則を変更するもよう。ややこしかった「30」「45」「70」などの数字を廃止しシンプルな名称へ。すでにQ6から新方式を採用

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「電動化」がその命名を大きく変える

そして近年、各社の命名を混乱させている要素は「電動化」。

BMWであれば「i」、メルセデス・ベンツだと「EQ」といったエレクトリックパワートレインを示す名称が既存の命名法則とうまく噛み合わず、アウディの場合だと2018年に「e-tron」が登場したのち、そのネーミング戦略は大きく変わり、そして混乱を招くこととなっています。

参考までに、アウディは1994年にそれまでの「アウディ 90」「アウディ 100」「アウディ V8」を「A4」「A6」「A8」へと置き換え、これらに加え小型モデルには小さい数字(A3)、大型モデルには大きい数字(A7)が割り当てられ、SUVには「Q」(クワトロの頭文字)という文字が与えられるように。

このほか、それぞれのモデルに「S」や「RS」という高性能なバージョンが追加され、「TT」などのごく一部の例外を除けば、シンプルでわかりやすい命名体系を持っていたわけですね。

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アウディの命名は2018年から混乱が始まる

しかしながらアウディは2018年に初のEV「アウディ e-tron」を発売し、これに伴いネーミングの一貫性が崩れ始め、その後「e-tron GT」も発売されたものの、これはSUVではなくセダンタイプであり、さらなる混乱を引き起こしてしまいます。

さらには新たなEVが登場するにつれ、「e-tron」という名称がより曖昧になり、「Q8 e-tron」「Q6 e-tron」「A6 e-tron」などが登場していますが、特に「Q8 e-tron」は「Q8」と関連がないにもかかわらず、「Q8」の名を冠しており、これがいっそうの混乱を助長するといった例も。

アウディは新ルールを「撤回」

こういった事態を収拾すべく、アウディは2023年初め、「EVモデルは偶数、ガソリン車は奇数」という新ルールを発表したのですが、今回これも撤回し新しい命名法則を導入するというアナウンスを行っていて、その意図は「世界的な標準化によって顧客の混乱を解消する」。

しかしその内容はけして簡潔なものではなく、おおよそは以下の通り。

  • 「A」と「Q」はこれまでどおり車種を表す(A=セダン系、Q=SUV系)。
  • 数字は車両のサイズを示す(例:A6はA8より小さい)。
  • ボディスタイルの名称は「セダン(Sedan)」「アバント(Avant/ワゴン)」「スポーツバック(Sportback/4ドアクーペ)」に統一。
  • エンジンの種類を表す旧来のコードを復活(TFSI=ガソリン、e-tron=EV、TFSIe=PHEV、TDI=ディーゼル)。
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ただし、一部の(直近で発表された)モデルはすでに車名に入る番号が変更されており、それらは元に戻せないため、モデルチェンジが行われるまでは新旧の規則が混在することになりますが、この新しい命名法則は3月に発表される次世代「A6」から実施され、たとえばA6だと「A6 TFSI(ガソリン)」と「A6 e-tron(EV)」という名称を持つことに。

さらにややこしいのは、これも少し前に用いていた「出力を示す2桁の数字を復活させる」と述べていることで、「TFSI」の前に数字が追加されるため、上述のA6だと、ガソリン版は(例えば)「A6 40 TFSI」という名称を持つことになり、ワゴンだと「RS6 アバント 40 TFSI」といった具合にかなり長い、そして命名の理由(意味)を知らない人にとってはそうとうに覚えにくい車名となってしまいそうですね。

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