| まさかのジェネシスがナンバーワン |
米国コンシュマーレポートが2018年の「自動車ベストブランド」を発表。
コンシュマー・レポートは非営利となる消費者組織で、1936年の雑誌が起源。
よって自動車だけではなく家電など様々な製品についてのレビューを公開しています。
今回の「ベストブランド」を決定する要素としては「ロードテスト」「信頼性」「顧客満足度」「安全性」。
なぜ韓国勢は評価を上げている?
この結果は驚くべきもので、1位がヒュンダイの高級車ブランド「ジェネシス」、2位がアウディ、3位BMW、4位レクサス、5位ポルシェ、6位キア、7位スバル、8位テスラ、9位ホンダ、10位トヨタ。
これまではポルシェとレクサス、アウディがトップ争いをしていることが多かったものの、今回はなんとジェネシスがトップ。
実際にジェネシスの車を見たことがないので「ナントモ」ではありますが、本当か?という疑念はありますよね。
なお、ジェネシスお膝元の韓国ではジェネシスよりもメルセデス・ベンツが売れており、こういったことを考えてもますます今回の結果は「謎」。
なお、ヒュンダイの方向性は非常に明確で、というのも韓国企業やエンターテイメント業界にありがちな「戦略的行動」が濃く反映されたもの。
良い製品を作るというよりは、「どうやれば高得点を取れるか、どうすれば高い評価を得られるか」をまず考えたもので、これはK-POPやスマートフォン等をみても明らか。
フィギュアスケートで言えば「得点が1.1倍になる後半に大技を集中」ということになりますが、「評価を得るための」製品づくりをしているということが、韓国ブランドにおいて各種調査上位に来ている理由ではないかとぼくは考えています。
ヒュンダイは「点を稼ぐ」方法を知っている
コンシューマーレポートの評価を見る限り、おそらくは「(コンシューマーレポートの)誰が評価しても公平な結果が出るよう」にテスターの皆が同じ基準で、同じ項目を評価している模様(明確なスコアシートがあるのは間違いない)。
よって「何が評価対象なのか」は推測でき(もしくは公開されているか、そうでなくとも裏ルートで入手したか)、ヒュンダイはここに「合わせてきた」のだと思われます。
つまりは「評価される項目を集中的に強化してきた」ということになりますが、これは静粛性や振動、エアコン、オーディオ、高級感といったアメリカ人が重視する項目である可能性が高く、逆に静粛性や振動に劣るメルセデス・ベンツはコンシューマーレポーツでは常に低い評価。
なおヒュンダイ(ジェネシス)は引き抜きによってその布陣を強化しており、前ランボルギーニ/ベントレーのデザイナー、ブガッティ・シロンのデザイナー、BMW M部門のエンジニアなどを獲得済み。
そのほかにもグループのキアでは、アウディTTのデザイナーをキアCEOに据えるなど、とことんビジュアル面を強化。
こういったところは日本にはない部分で(スバルや三菱が過去に有名デザイナー起用に挑戦しているが、モノづくり/コスト意識が優先される日本ではデザイン優先の開発ができなかった)、しかし韓国勢が重要視しているところ(これもK-POPやアイドルグループの”ビジュアル戦略”と同じ)。
ヒュンダイ・キアが今回はBMW Mのデザイナー引き抜き。デザイン部門を強化し欧州勢に対抗
ヒュンダイがブガッティ・シロンのデザイナー引き抜き。「ジェネシス」ブランドのチーフに任命
ヒュンダイがまたベントレーからデザイナー引き抜き。ジェネシスチームへ配属
驚愕。前ランボルギーニ/ベントレーのデザイナーがヒュンダイに移籍
韓国企業は「商売上手」だ
なお韓国は人口が日本の半分と少なく、そもそも「内需」だけでは企業がなりたたないので、いずれの企業も「輸出」を考えており、最初から「世界展開」を考えているのも日本企業とは異なるところ。
そして「売るため(すべてはここ)」には何を優先すべきかというプライオリティが明確にされているという印象があります。
日本だと「いいモノをつくれば自ずと評価される」という基本的な概念があり、これは素晴らしいことだと考えていますが、韓国は「評価されるモノを、評価基準に従って作る」ということで、言い換えると「評価は後でついてくる」のか「評価のために仕事をする」のか、ということに。
さらにプライオリティということだと、韓国の自動車メーカーはまず「普及価格帯」の車を広く売って知名度を上げ(そのためにはダンピングも辞さない。これは半導体など韓国のほか業界でも同じ)、そこから上級移行という戦略が多いようです。
さらにセグメントでいうと「コンパクト」「サルーン」という順番を持っているようで、これは(北米における)トヨやおよびレクサスの戦略を意識したものかもしれません。
キアもソウルやPOPなどのコンパクトから「スティンガー」、ヒュンダイも「i30」から「ジェネシス」へと展開を見せており、同じロジックに基づいているようですね。
なお、なぜSUVを展開しないのかというのは疑問ですが、これは「選択と集中」に基づくと考えられ、さすがのゴリ押し文化といえども「なんでもかんでも」はリソース的に難しいのだと思われます。
よって上述のように「まずはコンパクト」その後に「プレミアムサルーン」、次が「SUV」といった感じで順を追って攻めてくるのかもしれませんね。
実際にヒュンダイは「コナ」や「サンタフェ」で攻勢をかけてくると思いますが、もちろんターゲットはトヨタRAV4、C-HR、ハイランダー、レクサスだとNXやRX、ホンダではCR-V、HR-V、アキュラMDXやRDXということになりそうで、トヨタがホンダの特定車種を狙い撃ちするように、ヒュンダイやキアは日本や欧州勢の特定車種をターゲットに定めることになりそう。
反面、評価が低いのはこのブランド
コンシューマーレポートに話を戻すと、評価が低いのは34位のフィアット、33位のジープ、32位のランドローバー。
フィアットは下位常連ではありますが、ジープはその騒音や振動が低評価。
つまり「キャラクター」はあまり評価されていない(実際にFCAではジープが稼ぎ頭で、日本でも唯一好調なアメリカンブランド)ということになり、現実の人気を必ずしも反映しているとはいえない、ということも認識しなくてはならないようです。
ランドローバーについてもコンシューマーレポートは昔から評価しておらず、「どのモデルもオススメしない」とバッサリ切り捨てていますね。
コンシューマーレポートの性質上、当然と言えば当然ですが、これは「あくまでもその製品単体」の評価であって、ブランドフィロソフィ、歴史、文化は評価項目に入っていない、ということに(間接的には顧客満足度を通じて反映されているとも考えられるが)。
それでは動画を見てみよう
こちらがセグメント別のベストバイ、そしてベストブランドや総評を述べる動画。
反面、評価の低い車を集めた「Consumer Reports' 2018 Lowest Rated Cars」。
こちらはオーナーの満足度が低い車ランキング、「2018's Top 5 Cars Owners Wouldn’t Buy Again | Consumer Reports」。
もっとも信頼性の低い車ランキング、「Consumer Reports 2018 Least Reliable Cars」。
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