>メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz/AMG)

メルセデス・ベンツのEV、EQEとEQSが中国で絶望的に売れず、それぞれ100万円と470万円値下げ。もはや中国国内では「中国メーカーのEV」に歯が立たない

メルセデス・ベンツ

| 欧米の自動車メーカーはずっとテスラをベンチマークとしてきたが、それがそもそもの間違いだったのかも |

しかし誰も中国の自動車メーカーがここまで伸びるとは予想できなかっただろう

さて、先日はテスラが中国にて値下げを行ったと報じられていますが、今回はメルセデス・ベンツが中国でのEQシリーズの販売不振を改善するため、EQEとEQSセダンの値下げに踏み切った、との報道。

これによると、メルセデス・ベンツ含む海外の自動車メーカーは、現地のEV市場を支配している中国企業との競争に苦戦しているとのことで、となると今後メルセデス・ベンツ以外のブランドも値下げを行うところも出てきそう。

なお、メルセデス・ベンツは非常に高いブランド力を持つプレミアムブランドなので、「なんとか」中国ブランドにも対抗できそうではありますが、フォルクスワーゲン「ID」のような普及価格帯のEVがもっとも苦しいのかもしれませんね。

テスラ
テスラが中国にてモデル3、モデルYの価格を9%値下げ!生産効率が上がったことを理由だとしているものの、競争激化に対するカウンターであるのは間違いなさそう

| これから多くのEVメーカーが価格競争に巻き込まれ、倒産の憂き目に合うものと思われる | テスラはもちろん、欧米の自動車メーカーもどこまで耐えることができるのかの消耗戦に さて、テスラが中国において ...

続きを見る

メルセデス・ベンツEQS / EQEセダンはこれくらい価格が下がった

今回メルセデス・ベンツはEQEの価格を5万元(約100万円)下げて478,000元へ、フラッグシップセダンのEQSだと234,000元(470万円くらい)値下げして956,000元へ。

この値下げ幅には驚かされますが、値下げ後の価格だとメルセデス・ベンツEQEセダンが日本円だと約940万円、EQSセダンが1880万円くらいということになり、グレードや装備の差によるものだと思われるものの、EQEは日本(1248万円)よりも安く、EQSは日本(1578万円)よりも高い設定です。

そして今回の値下げ幅が大きいためか、メルセデス・ベンツは顧客との公平性を保つため、最近これらのクルマを購入した人には補助金を出すとも発表されています。

メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+とメルセデスAMG EQE 53 4MATIC+を見てきた!従来のメルセデスとは全く異なり、「威圧感」よりも「スマート」な印象
メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+とメルセデスAMG EQE 53 4MATIC+を見てきた!従来のメルセデスとは全く異なり、「威圧感」よりも「スマート」な印象

| ひと目見て「これは今までのメルセデス・ベンツとはまったく違う」と直感的に理解できる | 北米では人気というが、それも納得の素晴らしさ さて、メルセデスミー大阪にて、メルセデスAMG EQS 53 ...

続きを見る

中国で外国の自動車メーカーがEVを販売することは難しい

なお、報道によれば「EQSは月に100台も売れていない」といい、その理由はクーペ風のルーフラインに起因したヘッドルームの狭さだとも。

中国では広々とした室内が好まれるので、この「狭い頭上」が敬遠されたということになりますが、メルセデス・ベンツは中国市場を重視しており、中国で”売る”ための市場調査も行っているはずだと思われ、であればこれはちょっとした「失策」かもしれません(このスタイルにしようといい出した人は更迭されることになりそうだ)。

まだまだ続くメルセデス・ベンツ「EQ」ニューモデル!今回は751馬力の最強モデル「AMG EQS 53 S 4MATIC+」が発表。AMGによって開発された専用サウンドを持つようだ

メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツ会長「中国を切り捨てることは絶対にありえない。中国大事」。しかし現地での販売は直近で減少し、中国のユーザーから逆に「切り捨てられる」可能性も

| 現在メルセデス・ベンツの販売のうち40%は中国が占めており、中国市場で販売を落とすことは会社の危機を意味する | 加えて、今後中国市場はもっとも競争が厳しい市場となるだろう さて、メルセデス・ベン ...

続きを見る

現地メルセデス・ベンツの担当者は、「高級車セグメントにおける他メーカーの現在の位置づけを含め、ダイナミックな市場の動きを継続的に観察し、分析している。それに基づき、メルセデス・ベンツは中国でEQの一部モデルの位置づけを変えている」と述べていますが、EQS SUV、EQE SUVの価格は変更していないそうなので、セダンのポジショニングを変更し、ひとつ下の価格帯に落として再度勝負に挑むということなのかもしれませんね。

なお、中国自動車技術研究センターのデータによると、メルセデス・ベンツは今年1月から7月にかけ、中国で約8,800台のEVを販売していますが、それに比べ、中国の自動車メーカー、BYDは10月だけで22万台のEVを販売しており、価格帯の差はあれど、その差はいかんとしがたいようにも思えます。

そしておそらく、この傾向はさらに加速するものと思われ、「ガソリン車と同じようなペースでEVが売れる」と考えていると完全に目算が狂うことは間違いなく、欧州の自動車メーカーもトヨタのように「見通しが甘かった・・・」となるのかも。

メルセデス・ベンツ
2022年第3四半期のメルセデス・ベンツの販売のうち40%が中国だった!今後中国の自動車メーカー(とくにEV専業)が力をつけてくると販売の多くが失われる可能性も

| 中国における販売は海外の自動車メーカーにとって「諸刃の剣」でもある | 中国での「海外メーカー排除」の流れは確実に強まっていると考えていい さて、メルセデス・ベンツが2022年第3四半期の販売状況 ...

続きを見る

とにかく今後は「中国に依存してきた欧州の自動車メーカー」にとって苦しい時代となるのは間違いなく、中国の自動車メーカーという意外な伏兵によって経営が揺らぐことになる可能性も出てきそう。※現時点での中国国内に置けるEV販売の80%が中国の自動車メーカーによる製品である

これまで欧州の自動車メーカーの(EVにおける)ライバル、そしてベンチマークはずっとテスラであったものの、本当の敵はテスラではなかったのかもしれませんね。

あわせて読みたい、中国のEV関連投稿

中国で大人気、あの宏光ミニEVにオープンモデル登場!円安の今でも80万円で購入でき、なかなかに面白い選択となりそうだ
中国で大人気、あの宏光ミニEVにオープンモデル登場!円安の今でも80万円で購入でき、なかなかに面白い選択となりそうだ

| ただし宏光ミニEVカブリオレは少量限定生産モデル、販売は抽選となるようだ | おそらくはこれをパクる他の中国自動車メーカーも登場するだろう さて、GMは中国にて(中国の)国営企業である上海汽車との ...

続きを見る

中国のEV/PHEV専業メーカー、BYDの成長が止まらない!自社でバッテリーの生産を行うことからEVの量産ができ利益も高く、生産台数ではすでにテスラを抜いたもよう
中国のEV/PHEV専業メーカー、BYDの成長が止まらない!自社でバッテリーの生産を行うことからEVの量産ができ利益も高く、生産台数ではすでにテスラを抜いたもよう

| 現在の状況では「バッテリーを持つものが」もっとも強いようだ | さすがはウォーレン・バフェットが投資を行うだけのことはある さて、中国のBYD(比亜迪股份有限公司)の躍進ぶりが恐ろしいと話題に。こ ...

続きを見る

中国発の未来派EV、ハイファイZがカッコいい!全身に4,066個のLEDを内蔵しあちこちが光りまくって1600万円

| この価格設定でも普通に売れるとしたら中国市場の底力は計り知れない | たしかにカッコいいクルマだとは思うが品質がどうなのかはちょっと気になる さて、中国のEV専業スタートアップ、ヒューマンホライゾ ...

続きを見る

参照:Bloomberg

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz/AMG)
-, , , , ,