>メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz/AMG)

メルセデス・ベンツの命名法則はこうなっている。「A」「B」「C」「E」「S」「G」「CL」「GL」「EQ」は何を表し、その後の数字は何を意味するのか

2024/01/06

メルセデス・ベンツ

| 「出自がわからない」ものもあり、かつ同じアルファベットでも複数の意味を持つ場合も |

付与される「数字」についても時代とともに移り変わっている

さて、メルセデス・ベンツはその車名に「名前」ではなく「アルファベットと数字」を用いるメーカーのひとつですが、その車種が増加するに際して「だんだん覚えにくく」なっているのも事実かとも思います。

かつては「C、E、S、G」クラスというシンプルな構成であったものの、MクラスやAクラスが追加され、そしてMクラスがMLになってさらにGLになったり、SLKがSLCになったり、最近だとあたらしくCLEクラスも誕生するなど、ますます「複雑怪奇」になっているのが偽らざる現状。

ここでそれぞの「クラス」の意味を見てみましょう。

メルセデス・ベンツの「クラス」にはその意味が明かされていないものもある

そこでまずは「Aクラス」についてですが、これは現在メルセデス・ベンツにおけるエントリーグレードを示し、しかしその由来は公的に語られていないのだそう。

一説には「アドバンス」という見解もあるようですが、これはひとつの意見にとどまっていて「公式」ではないようです。

なお、ぼくはA」クラスについて「Aセグメント」に位置するからAクラスなんじゃないかと考えていたのですが、これについてもなんら公的な証拠はなく、よって実際の「Aクラス」の由来は一切不明だと考えていいのかもしれません。

IMG_2956

そしてAクラスよりもやや大きく、そして背が高く室内が広いサブコンパクトモデルが「Bクラス」で、こちらは家族向けという位置づけがなされますが、ここで付け加える必要があるのが「GLA」「CLA」などの「ほかにAがつくモデル」。

「G」の出自は明らかで、これはもちろん「ゲレンデヴァーゲン(gelandewagen)」のGであり、現在のメルセデス・ベンツではオフロード系のモデル(SUV)に付与されており、「L」についてはこれまでのモデルだと「軽量( Leicht=Light)」もしくは「ラグジュアリー(Luxury)」。※「GL」の二文字を持ってgelande=SUVラインナップであることを表すという説もある

なお、「GLA」については正式に何を意味するのか語られていないようですが、この場合の「L」は「軽量」のほうを意味するのかもしれません(GLCだと”ラグジュアリー”のLかもしれない)。

L1230749

そして次は「C」クラス。

こちらもA / Bクラス同様、正式にその意味が語られたことがないといい、ただし「コンパクト(Compact)」のCでないのは間違いなく、というのもメルセデス・ベンツはコンパクトを意味する文字としてドイツ語の「Kompakt」から取った「K」を用いているため(CLK、SLKなどに用いられている)。※ただし、過去にはCLC=クーペ・ライト・コンパクトというモデルも存在する

ちなみに現在では「CL」の2文字で「(2ドアであっても4ドアであっても)スポーティーなクーペ」を意味するようになっていて、その後ろにつく文字が「その車両のサイズ」を表現することに。

L1150114

そしてその上の「E」クラスにつき、これは「エグゼクティブ(Exective)」に由来すると解釈されがちなのですが、実はドイツ語で燃料噴射を意味する「Einspritzung」が由来であり、もともとはEクラスの前身であるW124世代の燃料噴射モデル「230E」「300E 」に採用されていたもの。

しかしながら、現代における「E」は、後付的にエグゼクティブの意味を持つという解釈なされているようですね。

L1270227

「Sクラス」の「S」は特別を意味していた

そして次は「Sクラス」。

これはドイツ語で「Sonderklasse」、つまり特別(Sonder=Special)なクルマであることを意図して誕生していて、現代では「Sクラス」はもちろん、「GLS」「EQS」にも採用される文字となっています。

ただし注意を要するのは「CLS」だと「Cクラスの軽量(もしくはラグジュアリー)、そしてスペシャル」なモデルではなく、この場合の「SLK」は「スポーツ」のS。

つまり同じ文字であっても複数の意味を持つ場合があり、これは注意を要する部分です。

参考までに、「SL」は「Sport Leichtbau」もしくは「Sport Light」に由来しており、つまりその「S」はスポーツを表していて、「SL」と名がつくクルマ(SLKやSLC、SLS)は今までのところすべて2ドアのスポーツカー。

L1500429

「EQ」は2016年に新設される

そして「EQ」は従来のガソリンエンジンラインナップと電動化車両を区別するために設立されたサブブランドで、メルセデス・ベンツによると「Electric Intelligence」の略。

EQの名が頭に付くモデルはすべて純粋なバッテリー電動モデルであり、この二文字の後ろに車格を表す文字が付与されていて、現在ではEQB、EQC、EQE、EQSがラインナップされています。

L1500578

ただしこのEQシリーズにつき、SUV(GL)であっても4ドアクーペ(CL)であっても「EQGL」「EQCL」とはならず、SUVだと「EQE SUV」「EQS SUV」という命名法則が採用されることに。

なお、このEQとは上述のように「ガソリン車と区別する」ために用いたもので、よってメルセデス・ベンツは「将来的にすべてのクルマがEVになれば、EQの意味がなくなる」としてEQブランドを消滅させる意向を示しています。※実際のところガソリンモデルとEQシリーズとのデザイン的境界線も薄れつつあり、遅かれ早かれ両者は融合されるものと思われる

アウディ
アウディは電動化時代でも「E-Tron」の名称を継続し、さらなる差別化としての文字列も検討中。一方メルセデス・ベンツは「EQ」を廃止

| アウディはもともと「スポーツバック」「クワトロ」「オールロード」など独自の呼称が好きなブランドでもある | アウディに限らずVWグループ各ブランドは機能や特徴に名称を付与することが多い さて、先日 ...

続きを見る

そのほか、メルセデス・ベンツにはこういった命名法則も

そしてこれらのアルファベットのほかにも「数字」が重要な意味を持っており、たとえば「250」だと2.5リッター、「550」だと5.5リッターといった具合に排気量を表してきたものの、現代のメルセデス・ベンツではこれにマッチしない事例も出てきており、BMW同様に「250=2.5リッター相当の馬力を持つエンジンを搭載するモデル」といった意味合いで使われることが多くなっています。※現在は250から680までの数字が存在する

L1230067

ちなみにこの法則はガソリンエンジンを積まないEQシリーズにも継続され、「EQ」の後ろにも数字が不要されることに。

L1480701

このほか4WDモデルには「4MATIC」というバッジが与えられ・・・。

L1150096

ディーゼルモデルには「d」という文字も。

L1230742

「AMG」はこういった命名法則を持っている

そして最後にはAMGについて触れてみたいと思いますが、「AMG」の3文字は「Aufrecht Melcher Grossaspach」を表し、最初の2文字はAMG創設者の名前、3文字目は創設者が生まれたドイツの都市の名前を意味します。

L1500366

そして現在、メルセデス・ベンツのAMGバージョンは「メルセデスAMG」を名乗り、その後ろにモデル名(A、SL、Gなど)、そしてそのまた後ろに35、43、45、53、63という5つの数字が付与されており、もちろんこの数字はパフォーマンスが向上するほど大きくなりますが、これも今では排気量を表すものではなく、「排気量相当」を表す単なる数字となっていて、しかしメルセデス・ベンツの通常ラインナップとは異なり「数字は2桁」に統一されています。

L1500367

そしてAMGについて付け加えておくならば、さらなる高性能モデルには「S」の文字が追加され、これにハイブリッドシステムが付与されると「Eパフォーマンス」という文言がさらに追加。

L1510750

こういった感じでとにかくややこしい内容を持つのが現在のメルセデス・ベンツの命名法則ではありますが、BMWやアウディ同様に例外も多く、つまりはこの法則ではカバーできない範囲が非常に多くなっているということを意味しており、どこかで大規模な見直しが行われるのかもしれませんね。

合わせて読みたい、自動車メーカー各社の命名法則(ネーミング)関連投稿

ロータス
ロータス公式!「ロータスの車名はなぜEではじまるのか」がついに明かされる

| そのはじまりは「マークXI」の「XI」をアルファベットにて「ELEVEN」と記載したことだった | 「イレブン」はシリーズ1、シリーズ2通じて270台が製造されるヒット作に さて、ロータス車のネー ...

続きを見る

BMWが自ら「モデルネームの数字や英文字はこう読み解く」と解説。かつてはルールがなく個別に命名されており、現在の命名法則ができあがったのは1972年
BMWが自ら「モデルネームの数字や英文字はこう読み解く」と解説。かつてはルールがなく個別に命名されており、現在の命名法則ができあがったのは1972年

| おそらくはBMW自身、ここまでラインアップが拡大するとは考えてもみなかったのだろう | いくつかの例外はあるものの、おおよそわかりやすい命名になっていると思う さて、様々な自動車メーカーが様々な命 ...

続きを見る

レクサスLFA
レクサス各モデルはこういった命名法則を持っている!変わり種だと「LY=ラグジュアリーヨット」、そして「S」であってもモデル間で意味が異なる

| レクサスは日本のブランドだけあって破綻のない命名法則を持っている | 欧米ブランドだと多様化しすぎて命名の意図が不明瞭になる場合も さて、各自動車メーカーはそれぞれの命名法則を持っていて、ランボル ...

続きを見る

「タイカンを体感」?ポルシェからダジャレのようなDMが届く!しかし実際に「タイカン」は「体感」も考えてのネーミングだった!
「タイカンを体感」?ポルシェからダジャレのようなDMが届く!しかし実際に「タイカン」は「体感」も考えてのネーミングだった!

| 「タイカン」は23言語の中から、様々な言語を母国語とする人々にも覚えやすいようにと名付けられた | 日本人にとってはそれなりに覚えやすくていいかもしれない さて、ポルシェ・ジャパンは7月31日から ...

続きを見る

アストンマーティン
アストンマーティンはなぜ「V」で始まる車名を採用するのか?「なぜなら、”V”はそのセグメントでの頂点を意味するからだ」

| アストンマーティンの「V」は1988年のヴィラージュから始まった | アストンマーティンはその車名に「V」で始まる名称を用いることで知られますが、今回Carfectionがその理由について説明した ...

続きを見る

ポルシェの「コードネーム」には知られざる秘密があった。「なぜ900番台を使用したか」他

| ポルシェのコードネームには規則性がある | ポルシェの各モデルには「コードネーム」があり、古くは「356」「550」「911(これは現代ではモデル名になっている)」、「914」「924」「928」 ...

続きを見る

アウディ
アウディが今後「ガソリンなど内燃機関搭載車は奇数に、EVは偶数に」呼称を変更すると発表!たとえばA4は今後EVのみに、現在のA4はA5へと車名が変わることに

| 現在、各社とも電動化の推進にあわせ車名の変更、命名法則の変更を開始している | ただし今後もラインナップが変化し続けるものと思われ、さらなる変更も余儀なくされそう さて、ここ最近だとメルセデス・ベ ...

続きを見る

BMWは2025年のノイエクラッセから命名法則を変更するようだ。例えば3シリーズのガソリン車だと330、EVだとi330となり、両者とも「3シリーズ」と呼ばれるもよう
BMWは2025年のノイエクラッセから命名法則を変更するようだ。例えば3シリーズのガソリン車だと330、EVだとi330となり、両者とも「3シリーズ」と呼ばれるもよう

| 近年のBMWの命名法則は大変にややこしく、トランクリッドに大量の文字が溢れている | 2025年以降に登場するニューモデルでは様々な問題を解決できそうだ さて、BMWがどうやら命名法則を変更するも ...

続きを見る

参照:CARBUZZ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz/AMG)
-, , , ,