ハイブリッド化によって911カレラGTSからMTが消滅し、ポルシェ911の2025年モデルでマニュアル・トランスミッションを選べるのは「1モデルのみ」という事実

｜　ただしこれは一時的な現象であり、1-2年後には状況がまた変わるであろう　｜

それでも「電動化」の進行具合によってはMTを選べるモデルが極度に少なくなってしまうかも

さて、ポルシェは昨日、フェイスリフト版となる992.2世代の911カレラ（とカブリオレ）、そして911カレラGTS（とカブリオレ、そしてタルガGTS）を発表していますが、このうち911カレラGTSはハイブリッド化され、これに伴い「マニュアル・トランスミッションが消滅」しています。

その理由としては、マニュアル・トランスミッションとハイブリッドとの相性が極めて良くないためで（制御が非常に難しい）、よってこれから登場するであろうほかの「ハイブリッド」911も同様に、マニュアル・トランスミッションが用意されないと考えていいのかもしれません。

現時点でマニュアル・トランスミッションの911を選ぶとなると「911カレラ」しかない

なお、現時点で注文できるポルシェ911は「新型911カレラ」「新型911カレラGTS」「既存911ターボ」「既存911ターボS」「既存911GT3 RS」の5つとなりますが、このうちマニュアル・トランスミッションを持つのは新型911カレラのみであり、これはポルシェ、そしてポルシェ911ファンにとっては由々しき事態かもしれません。※しかも、MTの911カレラは2024年モデルとしては製造されず、2025年モデルを待つ必要があると言われている

ただ、今後どんどん911ラインアップが入れ替えられてゆくものと思われ、今後追加されるであろう新型「911カレラS」「911カレラT」「911GT3」については（ハイブリッド化されない限り）マニュアル・トランスミッションの選択ができると考えてよく、というのもポルシェの（MTが用意されているモデルにおける）MT販売比率は他メーカーに比較してもかなり高いとされ、メインマーケットの北米だと40％にものぼると言われるから。

ちょっと前の話とはなるものの、かつてポルシェはマニュアル・トランスミッションを廃止しようとしたことがあり、それは「速く走るにはMTは邪魔だから」というもので、しかし911Rの投入とその反響によってポルシェはいかにファンがマニュアル・トランスミッションを欲しているかを知ることとなったわけですね。

よって、それ以降ポルシェは（MTが廃止されたモデルでは）マニュアル・トランスミッションを復活させ、もとより選択できたモデルでもMTを存続させることでファンの要望に応えてきたわけですが、現代では「マニュアル・トランスミッションのスポーツカー」そのものが希少種となっていて、これを用意するというだけでもライバルに対する大きなアドバンテージとなり得ます。

たとえばフェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン、そしてメルセデスAMGにはマニュアル・トランスミッションが存在せず、MTを選べる（メジャーメーカーによる）ハイパワースポーツカーだとBMW M2、M3、M4（ただしすべてのグレードでは選べない）、そしてアストンマーティン（同社では限定モデルにしかMTを搭載しないという決断を下しているので、レギュラーモデルでは選べない）くらい。

そのため、ポルシェがもしMTを廃止してしまうとなると、こういった優位性をも手放してしまうことになり、ニッチではあるものの、ブランディングに貢献し、間接的に利益を生み出すMTを終了させることはないだろうと考えています。

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